研究成果情報
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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら。
- 半島マレーシア丘陵フタバガキ林における優占種Shorea curtisii の択伐指針(2010)
丘陵フタバガキ林における優占種Shorea curtisii稚樹の密度は、母樹からの距離が近いほど、また周囲から突出した尾根的な場所ほど高いことが示され、稚樹の分布が母樹の周囲に限定されることから、択伐施業においては50 m程度の間隔で母樹を保残するべきである。
- 気候変動影響下におけるバングラデシュの長期的な食料安全保障の条件(2010)
コメを主食とするバングラデシュでは、21世紀中の気温上昇が2.5°C程度までならば、現在の単収(収量)成長率で食料供給が保たれるが、それ以上では減少する可能性がある。今後は長期的な視点から、高い収量成長を保つための品種改良や技術開発が重要になる。
- 衛星データを用いたオブジェクト指向分類で農地の区画と栽培状況を把握(2010)
高解像度衛星画像にオブジェクト指向分類を適用して圃場の区画や作物の生育ムラ等を把握するための適切なパラメータ設定方法を考案した。本手法により、パラメータ未調整時に比べて分類精度が向上し、効率的な圃場区画図の作成や生育診断が行える。
- ベトナムメコンデルタの生育不良グアバから分離された同国初記録のネコブセンチュウ(2010)
ベトナムメコンデルタで多発する生育不良から枯死にいたるグアバの根には、根こぶが形成される。そこから得られる卵嚢由来の線虫幼虫のDNA解析結果から、本種はベトナムでは初記録であるネコブセンチュウMeloidogyne enterolobiiと同定される。
- 媒介虫によるグリーニング病の拡散動態を予測する個体ベースモデル(2010)
個体ベースモデルの枠組みに基づいて開発したモデルを用いることで、媒介虫ミカンキジラミによるグリーニング病の拡散の様子をシミュレートできる。
- フィリピンでの節水灌漑技術普及における情報ネットワークの役割(2010)
フィリピンの深井戸灌漑水利組合を対象に、節水灌漑技術普及における情報ネットワークの役割を解明した。技術の早期採用者は、外部から技術情報を組合に伝える機能、組合内で情報を広める機能、外部に情報を発信する機能を役割分担をしている。
- 環礁島の貴重な水資源である淡水レンズは一度塩水化すると復元は困難である(2010)
太平洋諸島の環礁島では、淡水レンズ貯留量の約1.8倍の涵養があるにも拘わらず、1998年の干魃に発生した過剰揚水による淡水レンズ塩淡境界の部分上昇が2010年まで続いている。一度塩水化した淡水レンズを自然の涵養で復元することは困難である。
- 植林CDMを活用した農村開発を体系的に取りまとめたマニュアル集(2010)
本マニュアル集は、植林によるクリーン開発メカニズム(以下「植林CDM」)を活用して、所得向上及び環境改善に資する農村開発を実施するためものであり、土壌侵食及び地力劣化の進む南米の低所得地域において活用できる。
- バイオエタノール生産を目的としたオイルパーム廃棄木からの樹液搾汁システムの開発(2009)
オイルパーム廃棄木より効率的に樹液を搾汁するシステムを開発した。本システムは、かつら剥き機(既存機)、シュレッダー(新規開発)、圧搾機(新規開発)により構成され、搾汁率約80%の効率で、1時間に約500 kgのオイルパームトランクを処理することができる。
- 安全な国産エビ(バナメイ)の生産技術のシステム化(2009)
エビの育成に必要な生物学的な基礎的知見を背景として、システム工学の知見を融合させ飼育試験を行い、徹底したコスト意識で実験から実証段階までの一貫した生産開発をする(2008年9月より)。同プラントは薬剤を使わない安全・安心なエビを供給する。
- モンゴル国の草原における牧民による自立的な井戸改修・維持管理手法の開発(2009)
モンゴル国の草原において、井戸を拠点とした牧民のグループ化を行い、井戸修理チームによる井戸修理・維持管理体制を確立した。あわせて、資金調達の手段として羊を拠出することによるファンドを設立し、これを運営することで、牧民による自立的な井戸改修・維持管理ができる仕組みを開発した。
- 大果で食味良好な半わい性のパパイヤ新品種「石垣ワンダラス」(2009)
パパイヤの新品種「石垣ワンダラス」は、「ワンダーブライト」の自然交雑実生から選抜した両性系統である。半わい性の生育特性を持ち、大果で糖度が高く食味がよい。
- DREB1Aは糖代謝酵素群、DREB2Aは分子シャぺロン群を特異的に制御する(2009)
DREB1Aは糖代謝酵素群、DREB2Aは分子シャペロン群を特異的に制御し、スターチ分解酵素遺伝子やスクロース代謝関連酵素遺伝子の転写制御を介したスクロースやラフィノース等の蓄積量の増加が、DREB1A過剰発現植物の低温耐性能向上に重要であると考えられる。
- 熱帯牧草Brachiaria humidicola の根から分泌する生物的硝化抑制物質ブラキアラクトンの同定(2009)
熱帯牧草Brachiaria humidicolaの根から分泌される硝化抑制作用を持つ物質「ブラキアラクトン」を同定した。Brachiaria humidicolaを栽培した圃場の土壌ではアンモニア酸化が抑えられ、土壌からの亜酸化窒素発生が抑制される。
- 幼苗期における在来品種の窒素反応は、改良品種よりも敏感である(2009)
イネの相対乾物生産重率と吸収窒素あたりの乾物生産効率には、顕著な品種間差異が幼苗期で認められ、在来品種は改良品種よりも窒素に対する反応が敏感であり、効率的乾物生産が可能である。
- SnRK2型タンパク質リン酸化酵素は乾燥耐性と種子休眠を制御する(2009)
3種類のSnRK2型タンパク質リン酸化酵素の遺伝子が変異したシロイヌナズナでは、乾燥耐性や種子休眠性の低下、アブシシン酸に対する感受性の低下が見られ、これらのタンパク質リン酸化酵素は、アブシシン酸による乾燥耐性と種子休眠の制御において重要な役割を担う。
- バイオマスの糖化に利用できる新規なキシラン分解酵素複合体(2009)
通性嫌気性細菌Paenibacillus curdlanolyticus B-6は、強力なキシラン分解活性を有する新規の酵素複合体(約1,450 kDa)を生成する。この複合体は、骨格蛋白質(280 kDa, 260 kDa)及び4種類のキシラナーゼ活性を有するサブユニットにより構成され、キシランを含むバイオマスの糖化に利用できる。
- 食品中の血糖値上昇抑制物質1-デオキシノジリマイシンの高感度定量法(2009)
東アジア・東南アジアにおける伝統食品等に含まれ、食事後の血糖値の上昇を抑制する1-デオキシノジリマイシンは、高速陰イオン交換クロマトグラフィー・パルス電流検出法(HPAEC-PAD)を用いて、従来法より簡便に定量することができる。
- コブミカン(Citrus hystrix)の葉に含まれる抗変異原物質フラノクマリンの同定(2009)
東南アジアで広く食用に利用されているコブミカン(Citrus hystrix)の葉は、複素環アミン類等の変異原物質に対して強い抗変異原性を示す。コブミカンの葉に含まれる主要な抗変異原物質は、epoxypeucedanin及びepoxybergamottinである。
- 海藻ジュズモ属の一種との混合飼育下でのウシエビの成長促進(2009)
不要とされているエビ養殖池に繁茂する海藻(ジュズモ属の一種)をウシエビとともに飼育した。ウシエビは本種を積極的に摂餌し、稚エビ齢(16,44,58,93,128日齢)のいずれにおいても、海藻と混合飼育するとウシエビは良好な成長を示す。