研究成果情報
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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら。
- 南米におけるダイズさび病菌の病原性の変異(2012)
ダイズさび病菌に対する16のダイズ判別品種の反応を抵抗性型、中間型、感受性型に分類することで、南米のダイズさび病菌の病原性を評価する。2007年~2010年の3ダイズ作期に採集したブラジル、アルゼンチン、及びパラグアイのダイズさび病菌は、高い病原性変異を有し、同一作期中に、各国で採集した菌の病原性は、パラグアイの1組を除き全て異なる。南米各国の同一採集地において、作期ごとに異なる病原性を有するダイズさび病菌が検出される。
- 陸稲ネリカ品種を識別・分類できるDNAマーカー(2012)
DNAマーカーを用いた陸稲ネリカ18品種のゲノム染色体構成解析に基づいて選定されたDNAマーカーは、陸稲ネリカ18品種を11の単独品種及び3つの品種グループとして識別・分類できる。
- DREB1C 遺伝子の発現による陸稲ネリカの乾燥抵抗性の向上(2012)
シロイヌナズナ由来の転写因子DREB1Cを発現させた陸稲ネリカ(NERICA1)は、乾燥条件下における生存性、地上乾物重、穎花数および稔実数が向上する。
- レーザー距離計を用いた土水路の動水勾配の計測方法(2012)
開発途上国の水田地帯は土水路が多いことから、土水路の機能を評価するために必要な動水勾配についてレーザー距離計を用いることにより簡易に測定することができる。
- ガーナ北部の氾濫低湿地における水稲作導入に向けた湛水可能性の評価(2012)
マイクロ波衛星画像が捉えた冠水域の地理的分布特性に基づいて湛水可能性を評価する手法は、天水による稲作に必要な湛水が期待できる場所の選定に役立ち、アフリカに広く分布する氾濫低湿地への稲作の導入に貢献する。
- ガーナ北部氾濫低湿地での稲作拡大に向けた土壌炭素分布と硫黄欠乏の解明(2012)
土壌炭素量の空間分布を「水源(河川と湖沼)からの距離」の対数関数として推定するモデル式と欠乏する硫黄成分の施用を組み合わせることにより、窒素供給力の高い地点の選定とイネ生産に対する効率的な窒素利用が可能となり、未利用の氾濫低湿地におけるイネ栽培面積の拡大に貢献できる。
- 乾燥ストレス条件下でイネの生長を制御する遺伝子の同定(2012)
イネのOsPIL1は、細胞壁関連遺伝子の発現を制御して植物の生長を促進するbHLH型転写因子である。この遺伝子の発現は乾燥ストレス条件下において強く抑制されることから、ストレス下のイネの生長を制御する重要な因子と考えられる。
- 在来イネ由来のPSTOL1 遺伝子はリン酸欠乏耐性を向上させる(2012)
インド型イネ品種「カサラス」に由来するタンパク質キナーゼPSTOL1遺伝子は、これまで見つけられていたリン酸欠乏耐性に関する量的形質遺伝子座Pup1内にあり、冠根の発生と根の総量を増加させることにより耐性発現に貢献する。
- 高地下水位条件下における圃場レベルの塩害軽減対策のガイドライン(2012)
地下水に含まれる塩類に起因する塩害が深刻な中央アジアにおいて、農家が自ら実施できる圃場レベルの塩害対策技術を実証し、これを塩害軽減対策ガイドラインとして取りまとめた。
- 河北省トウモロコシ単収への気候要因と投入財の影響解明(2012)
トウモロコシの重要産地である河北省の2003年~2010年間の4,152戸の農家調査データをベースに、マルチレベルモデル分析を用いてトウモロコシの単収に対する気候要因と投入財の影響を解明した。単収増加への影響は、投入財の影響より気候要因の影響のほうが大きい。
- バジル類の抗酸化性および総ポリフェノール含量は調理法により変化が異なる(2012)
バジル類の抗酸化性及び総ポリフェノール含量は、油炒め調理や蒸し調理により増加する。ゆで調理では、ゆで汁中に成分が溶け出すため、野菜中の抗酸化性および総ポリフェノール含量は減少する。
- 好アルカリ好熱嫌気性セルロース分解菌の発見(2012)
アルカリ下でセルロース分解能を有する新しい好アルカリ好熱嫌気性細菌を発見した。本菌は国際原核生物分類命名委員会より新属、新種と認定された。本菌はアルカリ環境下でセルロースおよびヘミセルロース分解能を有する。
- 熱帯地域における無冷却発酵技術のための耐熱性酵母の分離(2012)
熱帯地域における低コスト燃料エタノール生産技術開発のため、耐熱性酵母の分離を試みる。40°C以上の条件下でエタノールを生産する耐熱性酵母Kluyveromyces marxianusとIssatochenkia orientalisを分離した。これらの株はバイオマス糖化液に含まれる発酵阻害物質(弱酸とフラール)に対して耐性を有する。
- 好塩菌を使ったパーム樹液からの無殺菌バイオプラスチック生産(2012)
好塩菌を用いパーム樹液から無殺菌バイオプラスチック発酵プロセスを開発した。塩濃度を高めることで制菌し、樹液の腐敗を回避することができる。パーム樹液から安定的に安価にバイオプラスチックを生産することができる。
- 東北タイにおけるチーク植栽土壌適地図の作成(2012)
農家がタイ国東北部で有用郷土樹種チークを植栽する際に、その後の成長を大きく左右する土地の潜在的な適性度を知ることができる地図と代表的土壌写真をセットにしたチーク植栽土壌適地図帳を作成した。
- ラオスにおける在来テナガエビMacrobrachium yui の遺伝的多様性(2012)
テナガエビの遺伝的集団構造解析を行ったところ、本種は集団間で遺伝的に分化しており、河川間で遺伝的交流は見られない。ラオス北東部に生息する集団は集団サイズ及び遺伝的多様度ともに低下しており、各地域集団の遺伝的特性に適した資源回復手法が必要とされる。
- マレーシア半島セランゴール沿岸における麻痺性貝毒原因プランクトンの発見(2012)
麻痺性貝毒はヒトに重篤な食中毒被害をおよぼし、その予察防除は食品安全上の重要な課題である。貝を毒化させるプランクトンを調査したところ、ハイガイ養殖の中心漁場で、その原因プランクトン2種の遊泳細胞および1種の休眠胞子の分布が初めて明らかになる。今後、ハイガイ養殖の安定化に向けて、同漁場での貝毒モニタリング体制の確立が必要である。
- 限られた水資源を利活用した乾期野菜栽培促進のためのマニュアル(2011)
ニジェール国において限られた水資源を利活用し乾期の野菜栽培を促進する手法を、実証調査の結果に基づき、組織化、家畜の食害対策、栽培技術の改善の分野から、農業省調査計画局と協力し、取りまとめたマニュアルである。
- 気候変動下の蒸発散量の変化がメコン川下流域のコメ市場に与える影響と生産余力(2011)
メコン川下流域を対象とする気候変動の影響の分析が可能なコメの需給モデルを用いて、気候変動が、メコンデルタ地域のコメ生産量を減少させることを示し、また、灌漑開発計画とモデルで推定された作付面積の比較により、メコン川下流域4カ国各県各地域の生産余力を示した。
- 出穂性の異なるIR64の準同質遺伝子系統群(2011)
イネ(Oryza sativa L.)品種IR64の遺伝的背景をもち到穂日数が異なる5つの準同質遺伝子系統は、IR64の栽培適応範囲の拡大や育種素材として活用できる。