研究成果情報

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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら

  • 地球温暖化が野菜の栽培に与える影響を生産費に基づいて予測する(2012)

    野菜は品目と品種が多様であり、植物生理の側面から温暖化の影響を予測することが難しい。そこで経済的な側面から影響予測を行う目的で、生産費と気温の関係を統計的に分析する。その結果、生産費と気温の関係には3つのパターンが存在し、影響予測が可能となる。

  • イネの一穂籾数を増加させるQTLを導入したIR64の準同質遺伝子系統群(2012)

    イネ(Oryza sativa L.)品種IR64を遺伝的背景とし籾数を増加させるQTLをもつ準同質遺伝子系統群は、インド型品種の穂重型育種素材として活用できる。

  • ソルガムの根の生物的硝化抑制(BNI)物質の同定と特性(2012)

    ソルガムの根には、親水性硝化抑制物質としてMHPP(methyl 3-(4-hydroxyphenyl) propionate)とsakuranetin(5,4’-dihydroxy-7-methoxyflavanone)、および疎水性の抑制物質としてsorgoleone(2-hydroxy-5-methoxy-3-[(8’Z,11’Z)-8’,11’,14’-pentadecatriene]-p-benzoquinone)がある。水耕栽培においてソルガムの根からの親水性硝化抑制物質の放出は、NH4+により促進される。また、硝化抑制物質採取用溶液のpHを5から7に上げると親水性硝化抑制物質の収量は大きく低下する。

  • 低所得農家を対象としたバイオガス発生装置の導入によるCDM事業の国連登録(2012)

    ベトナムメコンデルタにおいて、低所得農家を対象としたバイオガスダイジェスター利用による持続的な農村開発及び温室効果ガスの排出削減を目的としたクリーン開発メカニズム(CDM)事業を形成する手法を開発・実証し、国連へ登録。

  • マリ、ニジェールにおける自然資源保全管理のためのガイドラインの整備(2012)

    マリ、ニジェールの自然資源が劣化しつつある地域において、土地や植生を保全し農業の持続性を図るため、住民組織や地方行政が一体となって行う自然資源保全管理手法をガイドラインと技術マニュアルに取りまとめている。これらは地方行政官が村落住民と共に保全活動を行う際の手引き書として活用される。

  • 新疆ウイグル自治区における地元行政主導の定住牧畜民への技術支援対策(2012)

    中国・新疆ウイグル自治区において推進されている牧畜民の定住事業に関し、地元行政関係者の役割を重視した定住後の牧畜民への総合的かつ体系的な技術支援上の留意点と、パイロットプロジェクトで得られた技術的知見を、現地の技術支援担当者や牧畜民が利用できるよう中国語ガイドライン並びに中国語及びカザフ語の技術マニュアルとして取りまとめたものである。

  • ココヤシの重要害虫キムネクロナガハムシにおける2種の発見(2012)

    ココヤシを加害する害虫キムネクロナガハムシには、アジア型とパシフィック型の2つの隠蔽種が存在することを明らかにした。現在アジア型の防除のためにパプアニューギニアを起源とする寄生蜂Asecodes hispinarumが東南アジアに導入されているが、本種はパシフィック型の天敵であるため、寄生蜂Tetrastichus brontispaeなどアジア型の天敵の導入が望まれる

  • 南米におけるダイズさび病菌の病原性の変異(2012)

    ダイズさび病菌に対する16のダイズ判別品種の反応を抵抗性型、中間型、感受性型に分類することで、南米のダイズさび病菌の病原性を評価する。2007年~2010年の3ダイズ作期に採集したブラジル、アルゼンチン、及びパラグアイのダイズさび病菌は、高い病原性変異を有し、同一作期中に、各国で採集した菌の病原性は、パラグアイの1組を除き全て異なる。南米各国の同一採集地において、作期ごとに異なる病原性を有するダイズさび病菌が検出される。

  • 陸稲ネリカ品種を識別・分類できるDNAマーカー(2012)

    DNAマーカーを用いた陸稲ネリカ18品種のゲノム染色体構成解析に基づいて選定されたDNAマーカーは、陸稲ネリカ18品種を11の単独品種及び3つの品種グループとして識別・分類できる。

  • DREB1C 遺伝子の発現による陸稲ネリカの乾燥抵抗性の向上(2012)

    シロイヌナズナ由来の転写因子DREB1Cを発現させた陸稲ネリカ(NERICA1)は、乾燥条件下における生存性、地上乾物重、穎花数および稔実数が向上する。

  • レーザー距離計を用いた土水路の動水勾配の計測方法(2012)

    開発途上国の水田地帯は土水路が多いことから、土水路の機能を評価するために必要な動水勾配についてレーザー距離計を用いることにより簡易に測定することができる。

  • ガーナ北部の氾濫低湿地における水稲作導入に向けた湛水可能性の評価(2012)

    マイクロ波衛星画像が捉えた冠水域の地理的分布特性に基づいて湛水可能性を評価する手法は、天水による稲作に必要な湛水が期待できる場所の選定に役立ち、アフリカに広く分布する氾濫低湿地への稲作の導入に貢献する。

  • ガーナ北部氾濫低湿地での稲作拡大に向けた土壌炭素分布と硫黄欠乏の解明(2012)

    土壌炭素量の空間分布を「水源(河川と湖沼)からの距離」の対数関数として推定するモデル式と欠乏する硫黄成分の施用を組み合わせることにより、窒素供給力の高い地点の選定とイネ生産に対する効率的な窒素利用が可能となり、未利用の氾濫低湿地におけるイネ栽培面積の拡大に貢献できる。

  • 乾燥ストレス条件下でイネの生長を制御する遺伝子の同定(2012)

    イネのOsPIL1は、細胞壁関連遺伝子の発現を制御して植物の生長を促進するbHLH型転写因子である。この遺伝子の発現は乾燥ストレス条件下において強く抑制されることから、ストレス下のイネの生長を制御する重要な因子と考えられる。

  • 在来イネ由来のPSTOL1 遺伝子はリン酸欠乏耐性を向上させる(2012)

    インド型イネ品種「カサラス」に由来するタンパク質キナーゼPSTOL1遺伝子は、これまで見つけられていたリン酸欠乏耐性に関する量的形質遺伝子座Pup1内にあり、冠根の発生と根の総量を増加させることにより耐性発現に貢献する。

  • 高地下水位条件下における圃場レベルの塩害軽減対策のガイドライン(2012)

    地下水に含まれる塩類に起因する塩害が深刻な中央アジアにおいて、農家が自ら実施できる圃場レベルの塩害対策技術を実証し、これを塩害軽減対策ガイドラインとして取りまとめた。

  • 河北省トウモロコシ単収への気候要因と投入財の影響解明(2012)

    トウモロコシの重要産地である河北省の2003年~2010年間の4,152戸の農家調査データをベースに、マルチレベルモデル分析を用いてトウモロコシの単収に対する気候要因と投入財の影響を解明した。単収増加への影響は、投入財の影響より気候要因の影響のほうが大きい。

  • バジル類の抗酸化性および総ポリフェノール含量は調理法により変化が異なる(2012)

    バジル類の抗酸化性及び総ポリフェノール含量は、油炒め調理や蒸し調理により増加する。ゆで調理では、ゆで汁中に成分が溶け出すため、野菜中の抗酸化性および総ポリフェノール含量は減少する。

  • 好アルカリ好熱嫌気性セルロース分解菌の発見(2012)

    アルカリ下でセルロース分解能を有する新しい好アルカリ好熱嫌気性細菌を発見した。本菌は国際原核生物分類命名委員会より新属、新種と認定された。本菌はアルカリ環境下でセルロースおよびヘミセルロース分解能を有する。

  • 熱帯地域における無冷却発酵技術のための耐熱性酵母の分離(2012)

    熱帯地域における低コスト燃料エタノール生産技術開発のため、耐熱性酵母の分離を試みる。40°C以上の条件下でエタノールを生産する耐熱性酵母Kluyveromyces marxianusとIssatochenkia orientalisを分離した。これらの株はバイオマス糖化液に含まれる発酵阻害物質(弱酸とフラール)に対して耐性を有する。