研究成果情報

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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら

  • セラヤ天然林では自殖種子の選択的排除が健全な他殖種子生産を維持している(2015)

    飛翔力の弱い昆虫によって花粉が散布されるフタバガキ樹種セラヤは、密度低下した択伐林では花粉が有効に散布されず自らの花粉で受精した不健全な種子が多産される。天然林ではこれらの種子を選択的に排除して、他個体の花粉を受精した健全な種子が生産されている。

  • タイ産の高い塩分耐性を持つ新規ジュズモ属緑藻によるウシエビの生産性向上(2015)

    東南アジアで重要な養殖対象種であるウシエビとジュズモ属緑藻(未記載種)を混合養殖する技術を開発した。ジュズモ属緑藻はウシエビの排泄物や残餌から生じる栄養塩類を摂取し成長するとともにエビの餌となることから、混合養殖により生産性を向上させることができる。

  • 未利用バイオマスを活用したバイオガス発生装置の安定利用(2014)

    農家用の小規模なバイオガス発生装置(BD)からのガスの発生量は、原料となる家畜の排せつ物の供給量の影響を受けるが、ホテイアオイなどの未利用バイオマスを補助的な原料として活用することで、BDの安定的な利用が可能となる。

  • 熱帯のイネ品種の遺伝的背景を持つ早朝開花性準同質遺伝子系統の育成(2014)

    インド型品種IR64を遺伝的背景にイネ野生種Oryza officinalisに由来し第3染色体に座乗するQTL(qEMF3)を導入した準同質遺伝子系統IR64+qEMF3は、IR64に比べ熱帯での圃場条件では開花時刻が2時間早まり、熱帯での開花時高温不稔の軽減に向けた育種素材となる。

  • 熱帯地域のイネ主力23品種における高温感受性と開花時刻の比較(2014)

    熱帯地域でのイネ主力23品種について開花時の高温感受性と開花時刻を比較すると、高温感受性には大きな品種間差がみられるが、開花時刻に関しては品種間に大きな差がなく、早朝開花性を有する品種は存在しない。

  • 気候変動下の世界の作物収量の長期予測(2014)

    気候変動シナリオの下で、作物モデルを組み込んだ収量関数を用い、世界126カ国のコメ、小麦、トウモロコシ、大豆の収量の2050年までの予測を行う。低緯度地域での作物収量は、気候変動により低下する。収量予測値は、世界食料モデルで用いる。

  • トウモロコシとダイズの混作が乾燥ストレス軽減と生産性向上に寄与する(2014)

    モザンビーク北部の天水畑作地域において、現地に普及するトウモロコシ品種(Matuba) 2畝とダイズ品種(Olima) 3畝を交互に配置する混作体系を導入することにより、各作物を単作とするよりも生産性が15~49%向上し、その導入効果は乾燥ストレス条件下、もしくはトウモロコシへの窒素施肥量が少ない施肥条件下においてより大きくなる。

  • ガリー侵食の発生域を衛星データの画像解析によって抽出する(2014)

    フィリピン・ルソン島北部カガヤン川沿いの丘陵地帯において、近年顕著になったガリー侵食の発生実態の把握のため、高空間分解能衛星データの画像解析によりガリー発生域を抽出する手法を開発する。衛星データの利用により、現地調査が行われない地域を含めた広域のガリー侵食の分布を迅速に把握する。

  • ソルゴレオンはソルガムの重要な生物的硝化抑制物質の一つである(2014)

    ソルゴレオンは、ソルガムが根から分泌する難水溶性の生物的硝化抑制物質である。ソルゴレオンの分泌量とソルガム根面の難水溶性物質画分の硝化抑制活性との間には高い相関があり、このことはソルゴレオンがこの画分の重要な硝化抑制物質であることを示している。

  • アフリカ稲作振興のための土壌肥沃度改善技術マニュアル(2014)

    サブサハラ・アフリカにおけるコメ生産の増大には、土壌肥沃度の改善が重要である。このマニュアルは、この地域の稲作に適用可能な在来資材を用いた土壌肥沃度改善技術を、ガーナの2地域を試験対象地として実証し、取りまとめたものである。

  • アフリカイネおよびアジアイネの遺伝子を判別するSNPマーカーセットの開発(2014)

    アフリカイネ(Oryza glaberrima)とアジアイネ(O. sativa)の遺伝子を判別する一塩基多型(SNPs)は、従来のSSRマーカーと比較して多型を示すマーカーが多く、大規模集団からの個体選抜も効率的に行えることから、アフリカイネ遺伝資源利用の効率化を図ることが出来る。

  • 乾燥・低温ストレス環境下におけるイネの代謝関連遺伝子の転写制御の重要性(2014)

    乾燥・低温ストレス環境下のイネにおける単糖の蓄積量の増加には、デンプン分解、スクロース代謝、グリオキシル酸回路等の酵素遺伝子の転写制御が関与していることが示唆される。また、植物ホルモンであるアブシシン酸量の増加とサイトカイニン量の減少においても、それぞれの生合成に関与する酵素遺伝子の転写制御が関与していることが示唆される。

  • 4種類のAREB/ABFは3種類のSnRK2の下流で乾燥ストレス耐性を制御する(2014)

    AREB/ABF型転写因子は、陸上植物に広く保存されており、乾燥ストレス応答を制御する鍵因子である。シロイヌナズナの3種類のSnRK2タンパク質リン酸化酵素の下流で機能する4種類のAREB/ABF型転写因子は乾燥ストレス耐性の向上において主要な役割を果たしている。

  • ドリアン‘モントン’は開花期の低夜温で受精が抑制され着果不良になる(2014)

    ‘モントン’においては、開花期の夜温が15°Cでは著しい落果(花)を生じるが、25°Cでは受粉28日後も約30%の着果率を維持する。夜温が15°Cに低下すると、花粉管は伸長するが、胚珠の発達が阻害され受精しない。‘モントン’では、夜間温度が15°Cでは受精が抑制され落果(花)する。

  • Oryza(イネ)属の栽培化以前に起きたPup1 遺伝子座の変異(2014)

    アジアイネ(Oryza sativa )及びその近縁野生種(O. rufipogonO. nivara )、並びにアフリカイネ(O. glaberrima )及びその近縁野生種(O. barthii )におけるリン酸欠乏耐性遺伝子座Pup1 内に同定された候補遺伝子PSTOL1 や他の遺伝子には共通した変異がある。

  • インド型イネの遺伝的背景で広い窒素栄養濃度域で効率良く根を伸長させるQTL(2014)

    インド型イネ品種IR64の遺伝的背景をもつ染色体挿入系統YTH183は根の伸長に関する量的形質遺伝子座(QTL)qRL6.4-YP5を有する。qRL6.4-YP5をIR64の遺伝的背景に導入した準同質遺伝子系統は、qRL6.4-YP5が導入されたことにより窒素栄養濃度の変化に良く対応して総根長が大きくなる。

  • ラオスにおける多様な非木材林産物は農家経済にとって高い有益性を持つ(2014)

    ラオス中山間地域では森林から400種類を越える多種多様な非木材林産物が採集されている。その9割が自家消費であり、中でもキノコ類は周年的に採集されており、安定した食料となっている。また、ホウキグサなどの繊維部門の産品は地域住民の大きな現金収入源である。

  • 生態的特性に基づく小河川での小型コイ科魚類個体群の保全管理(2014)

    インドシナに広く分布する小型のコイ科魚類Rasbora rubrodorsalisは、ラオス中山間農村の重要な食料タンパク源である。本種は短命で、年に複数回世代交代しながら、周年繁殖している。こうした生態的特性に基づき、本種の個体群保全には、季節的な漁獲規制より、上流域の周年的禁漁区の設定が有効である。

  • 中国のトウモロコシ単収に与える投入財価格・量及び環境影響の要因分解(2014)

    中国のトウモロコシ単収変化に与える投入財価格・量及び環境条件の影響の大きさを、要因分解法と要素需要関数、作物応答モデルを用いて推計する。推計の結果、播種密度低下やカリウム肥料増加の、単収増加への寄与度が大きい。また、播種密度の低下には種子価格の上昇が、化学肥料投入量の増加には資本・家畜費上昇が大きく影響する。

  • タイ、ラオスの淡水魚発酵調味料の品質に影響する塩分濃度と発酵期間の重要性(2014)

    タイ、ラオスに共通する淡水魚発酵調味料の塩分濃度、pH、乳酸含量には地域性がある。製品中の主要乳酸菌種は、塩分が10%より高い製品では耐塩性乳酸菌、それより低い製品では乳酸桿菌となる。主に乳酸桿菌を含む製品で乳酸含量が高い傾向が見られる。うま味成分のグルタミン酸含量は発酵の経過に伴い増加する。