研究成果情報

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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら

  • 微生物によるセルロースの低コスト直接糖化法の開発(2014)

    微生物培養によりセルロースを直接糖化する方法を開発した。セルロース高分解菌クロストリジウム・サーモセラム培養時にリサイクル可能なβ-グルコシダーゼを共存させると培地中にグルコースを高濃度で蓄積できる。セルロース糖化工程でセルラーゼを使用する必要が無い微生物糖化法である。

  • インドネシアのオイルパーム開発プログラムが小規模農家に与えた影響(2014)

    インドネシアにおけるオイルパーム開発プログラムであるNESシステムは、施肥の改善と優良種苗の提供を通じて、小規模農家のオイルパーム果房収量を改善できる。

  • マレーシア半島地区における林業種苗配布区域の設定手法(2014)

    東南アジア熱帯雨林において林業用種苗の地域間移動に制限が設けられていない。そこで、マレー半島に分布する林業樹種の遺伝的変異のパターンを明らかにし、科学的根拠に基づいた地域間の遺伝的な違いを考慮した林業種苗配布区域を設定する手法を提示する。

  • オイルパームからプラスチック原料に有望なp-ヒドロキシ安息香酸を抽出する(2014)

    オイルパームから亜臨界水抽出によってプラスチック原料に有望なp-ヒドロキシ安息香酸等の低分子量フェノール性物質を抽出する最適条件と部位別の収率を示す。種子殻や葉柄はp-ヒドロキシ安息香酸の抽出原料として評価できる。

  • マレーシアにおけるハイガイ養殖の生産阻害要因(2014)

    近年マレーシア半島西岸のハイガイ漁場で顕在化している、稚貝発生量の減少および養殖過程での大量死の要因を把握する。稚貝発生量減少は、過度の有機物負荷に伴う還元的環境が貝の性成熟不良を招いたことが原因であると考えられる。一方、大量死は、大量出水に伴う環境変化が貝の摂餌不良・栄養吸収阻害を引き起こしたことによる衰弱が主因であると判断される。

  • ミャンマーの主要作物の生産・貿易情報(2014)

    地図及びグラフにより、ミャンマーの主要作物の生産及び貿易関係統計データを示す。作付面積や単収、貿易量・額などの基礎データと共に、これらを基に推計した土地利用率や単収変化の生産量変化への寄与率、自給率、輸出率などを網羅的に示す。

  • 小規模農家を対象とした植林CDM事業の実施手法の確立(2013)

    国連から炭素クレジット(CER)を取得したパラグアイの小規模農家向け植林クリーン開発メカニズム(CDM)事業の実施手法は、中南米での植林による炭素隔離事業に活用できる。

  • インド型イネ品種の一穂籾数増加させるQTLは第7染色体に座乗する(2013)

    インド型品種IR64の遺伝的背景で一穂籾数を増加させるホシアオバ由来の量的遺伝子座(QTL)は第7染色体に座乗し、インド型品種における 収量性改善育種素材として活用できる。

  • インド型イネ品種の籾収量を増加させる遺伝子、SPIKEの発見(2013)

    インドネシアの熱帯日本型在来品種に由来し、単離に成功した第4染色体上の遺伝子SPIKEは、インド型品種IR64やIRRI146の遺伝的背景で一穂籾数を増加させるばかりでなく、止葉幅、穂首の維管束数、玄米外観品質などの形態的改善を伴い、籾収量を増加させる。

  • メコンデルタ洪水常襲稲作地域におけるフルダイクの普及と水文環境への影響(2013)

    メコンデルタの洪水常襲稲作地域を対象に稲3期作化のためのフルダイク(輪中)の普及が水文環境に与える影響を分析したところ、フルダイク地区の周辺域で洪水の長期化や水位の上昇傾向が認められる。

  • マメ科作物であるヘアリーベッチ作付け後の不耕起栽培による節肥効果とチッソ溶脱(2013)

    マメ科作物であるヘアリーベッチを休耕期間中に作付け後、その残渣をマルチとして利用するトウモロコシの不耕起栽培では、チッソ施肥量を半量にしても収量が高く維持される。一方、ヘアリーベッチ残渣の土壌への還元量が多い場合には、その分解に伴い浸透水の硝酸態チッソ濃度が上昇し、チッソの溶脱量が増加する。

  • 新規硝化抑制剤としての脂肪酸および脂肪酸メチルエステルの同定(2013)

    各種脂質のうち脂肪酸のリノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、および脂肪酸エステルであるリノール酸メチルはある種の土壌微生物の働きによるアンモニアから硝酸が生成される過程、すなわち硝化(硝酸化成)を強く抑制する。リノール酸メチルは、α-リノレン酸やリノール酸よりも硝化抑制活性が強く、残効性も長い。

  • ソルガム根からの生物硝化抑制物質の分泌機構の解析(2013)

    ソルガムの根からの硝化抑制物質の分泌には、根圏pH、アンモニウムイオン(NH4+)の取り込み、細胞膜H+-ATPアーゼ(ATPの加水分解エネルギーを利用してH+を細胞外へと輸送するタンパク質、プロトンポンプ)が大きく関わっている。低い根圏pHとNH4+の取り込みが硝化抑制物質の分泌を促進する。H+-ATPアーゼ活性促進により硝化抑制物質の分泌量は増加し、阻害により分泌量は減少する。

  • ダイズさび病抵抗性に関する研究のための実験マニュアル(2013)

    ダイズさび病抵抗性に関する実験手法を取りまとめたマニュアルである。本マニュアルをさび病菌の病原性の変異、並びに抵抗性の遺伝解析や選抜育種等に活用することで手法や材料が統一され、大豆生産の重要な阻害要因であるダイズさび病の対応策開発の効率化が期待できる。

  • イネの根において通気組織形成は窒素欠乏によって誘導される(2013)

    イネの根において、細胞の崩壊による通気組織の形成は窒素栄養の欠乏によって誘導される。酸素欠乏による誘導的通気組織の形成とは異なり、窒素欠乏による誘導的通気組織は根の基部から形成される。イネの根の通気組織は、自発的形成、酸素欠乏による誘導的形成に加え、窒素欠乏による誘導的形成の少なくとも3種の形成機構が存在している。異なる機構で形成される通気組織を調査することで、イネの根の通気組織形成に関わる遺伝子群の機能解明が期待できる。

  • ブルキナファソ産リン鉱石は水田への直接施用において高い肥効を示す(2013)

    ブルキナファソ産リン鉱石は水田への直接施用により、イネ収量を向上する。またリン酸あたり同量施用では化学肥料とほぼ同程度の収量を期待できる。

  • イネ種子のプライミングは発芽・出芽の速度および斉一性を向上する(2013)

    イネ種子のプライミング処理は発芽および出芽時間を短縮させるとともに苗立ちの斉一性を改善するため、直播技術開発における苗立ち率の向上に活用できる。

  • カンボジアのイネいもち病菌レースは地域によってその出現頻度が異なる(2013)

    カンボジアのイネいもち病菌菌系は判別品種への反応から3つグル―プに分けられ、グループの出現頻度は、メコン川流域とトンレサップ湖周辺、さらにアンコールワットで知られるシェムリアップ県と他の地域では異なっている。

  • ミャンマーの在来イネ品種に由来する新規いもち病抵抗性遺伝子(2013)

    ミャンマー由来の在来イネ品種Haoruのいもち病抵抗性には、3つの抵抗性遺伝子が関与する。このうち二つは、標準判別いもち病菌菌系に対する抵抗性反応が既知のものとは異なり新規のものであり、第12染色体の遺伝子名はPi58(t)、第6染色体のものはPi59(t)である。

  • イネの生育・老化・ストレス耐性を制御するRNA結合性タンパク質の同定(2013)

    イネのOsTZF1遺伝子は、乾燥などの環境ストレスに応答して発現する。OsTZF1タンパク質は、細胞質の顆粒に局在してRNAに結合する性質をもち、多くのストレス関連遺伝子のRNAの代謝調節を通じて、イネの生育、老化ならびに環境ストレス耐性を制御する。OsTZF1遺伝子過剰発現イネでは生育・老化が遅れるが、乾燥・塩ストレス耐性が向上する。