研究成果情報
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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら。
- ブラジルと日本のダイズさび病菌に対するダイズ品種の反応の違い(2008)
ブラジル及び日本のダイズさび病菌に対するダイズの抵抗性反応は、抵抗性遺伝子や品種によって著しく異なる。また、ブラジルの菌に抵抗性の品種は少なく、その抵抗性の程度も低い。ブラジルで育種に利用できる抵抗性遺伝子や品種の数は限定される。
- 西アフリカ・サヘル地域における風食抑制と収量増加を可能にする新たな省力的砂漠化対処技術「耕地内休閑システム」(2008)
サヘル地域における省力的砂漠化対処技術「耕地内休閑システム」を開発し、その有用性を実証した。本技術により、砂漠化の主要因である風食の大幅な抑制とトウジンビエの増収を達成できる。
- 前作にクロタラリア類を栽培すると東南アジアのトウガラシのネコブセンチュウ被害は大きく軽減できる(2008)
タイなどの熱帯地域において香辛料の原料として重要なトウガラシ(英名chili)で広がっているサツマイモネコブセンチュウの被害は、クロタラリアとの輪作により軽減できる。
- イネの少分げつ性遺伝子の高精度連鎖解析(2008)
イネ(Oryza sativa L.)品種合川1号の持つ低分げつ性に関わる遺伝子Ltnは、SSRマーカーssr6049-23とssr6049-2の間に位置しており、その候補領域は76.7kbpに絞られる。
- エアロビック・ライスの連作による収量漸減現象に非生物的要因が関与する(2008)
収量漸減現象が認められるエアロビック・ライス連作圃場からの採取土壌を用いたポット試験において、薬剤や熱処理によって生物的要因を排除してもイネの生育に有意な改善が見られないことから、この現象には非生物的要因が関与すると考えられる。
- 東北タイの塩類集積地域における持続的地下水利用可能量マップ(2008)
東北タイのBan Phai流域を例として、地下水流動モデル構築のための調査を実施し、分布型地下水流動シミュレーションにより持続的な地下水利用可能量マップを作成した。
- 東北タイの砂質傾斜農地における表面流出の発生メカニズムとため池の水位(2008)
東北タイコンケン近郊の砂質傾斜農地における表面流出は、粘土層の上にある砂質土層が飽和状態になった時発生し、ため池の水位上昇と強く関連している。
- タイ東北部における在来種育成牛の維持蛋白質要求量(2008)
タイ東北部における在来種育成牛の維持に要する飼料中粗蛋白質含量は6.1%以下、粗蛋白質摂取量は4.38 gCP/kgBW0.75である。この要求量は、欧米系の肉牛(NRCの維持蛋白質要求量:飼料中含量7.2%、摂取量5.67 gCP/kgBW0.75)に比べ低い値である。
- 農牧輪換システムの導入により大豆と小麦の生産性が改善する(2008)
南米の熱帯サバンナ地域において、連作により生産性の低下した大豆-小麦体系の畑に農牧輪換システムを導入すると、土壌の理化学性とともに大豆と小麦の生産性も改善する。
- オイルパーム古木中の糖は貯蔵中に増加し、有望なバイオエタノール原料となる(2008)
オイルパーム古木の樹液中の糖は伐採後貯蔵中に増加し、最大14~16%に達することを見出した。この発見は、伐採され利用方法のない古木が、適切な熟成により、サトウキビに匹敵するバイオエタノール資源となることを意味する。
- アミラーゼ、セルラーゼ、β-グルコシダーゼ表層提示酵母の開発とキャッサバパルプからの直接エタノール生産(2008)
2種類のアミラーゼ、2種類のセルラーゼ及びβ-グルコシダーゼを細胞表層に提示したアーミング酵母を開発した。この形質転換酵母は、デンプンとセルロースを主成分とするキャッサバパルプから直接エタノールを生産することが出来る。
- 栽培時期等の調節によるタイ在来野菜の抗酸化性向上(2008)
タイの在来野菜20種の抗酸化活性は栽培時期により変動し、乾期作では暑期作に比べ抗酸化活性が高まる。バジル類では、遮光または水ストレスを与える処理により抗酸化性が低下する。栽培時期等を調節することにより抗酸化性を向上させることができる。
- 中国伝統のおから発酵食品から分離された枯草菌はα-グルコシダーゼ阻害活性を有するデオキシノジリマイシンを産生する(2008)
中国伝統食品であるおから発酵食品から分離された枯草菌(Bacillus subtilis B2)の代謝物に血糖値を上昇させる働きのある酵素αグルコシダーゼを強く阻害する活性を確認し、その主成分はイミノ糖である1-デオキシノジリマイシンであることを見いだした。
- 早生樹と組み合わせた効率的な郷土樹種の育成(2008)
郷土樹種Hopea odrataはタガヤサン(Senna siamea)と組み合わせて植栽することで生存率・成長量ともに最も高くなり、効率的に育成することができる。早生樹とHopea の成長はトレード・オフの関係であり、ユーカリやアカシアのような特に成長の早い早生樹でも適切な間伐を行い十分な光環境を確保すれば、Hopea を十分に育成できる。
- 初期生活史特性に基づくラオス在来テナガエビMacrobrachium yuiの種苗生産技術(2008)
ラオス北部に生息し、零細農民の貴重な現金収入源である陸封型テナガエビM. yuiの種苗生産技術を開発した。本種は両側回遊型テナガエビ同様、浮遊幼生期を有し、孵化から浮遊幼生期まで洞窟河川内で過ごす。浮遊幼生を3.5 pptに調整した人工海水で飼育することにより、その多くを着底に至るまで成長させ、さらに着底後、直ちに淡水飼育に切り替えることで飼育可能である。
- ラオスにおける淡水在来魚キノボリウオ亜科2種の集約的種苗生産(2008)
仔魚の初期餌料として有効な淡水産ワムシ(Brachionus sp.)の大量培養技術を導入することにより、ラオスにおいて需要の高いキノボリウオ亜科魚類のキノボリウオ(Anabas testudineus)およびスネークスキングラミー(Trichogaster pectoralis)の集約的種苗生産が可能となる。また、キノボリウオの仔稚魚期に頻発する共食いを軽減するには、大型・小型個体の選別および給餌管理が有効である。
- メコンデルタ地域におけるキングマンダリン生育初期のグリーニング病感染率低減技術(2008)
メコンデルタ地域においてキングマンダリンを定植する場合、定植10日前にネオニコチノイド系薬剤を苗の株元に灌注処理し、グリーニング病を媒介するミカンキジラミが低密度となる雨季後半から乾季前半に定植すると、生育初期の感染率を低減できる。
- キャッサバ加工部門への企業の新規参入は農家経営を改善する(2007)
インドネシア最大のキャッサバ生産地であるランプン州では少数の加工業者が市場を寡占していたが、近年のバイオ燃料ブームによってキャッサバの用途が拡大し、加工業への新規参入が進んでいる。新規参入企業が提供する技術普及サービスや農家により有利な条件の契約栽培の導入は、農家の経営を改善できる。
- 水供給変動がカンボジアのコメ市場に及ぼす影響(2007)
水供給変動の影響を把握することが可能なカンボジアのコメ需給確率モデルを開発し、各県のコメ生産および価格の動向を分析した。予期しない水供給変動が生じた場合、標高の高い地域と洪水の被害を受けやすい地域の作付面積変動が大きくなり、また、価格が上方へ変動する確率が高くなる。
- イネいもち病抵抗性遺伝資源の多様性(2007)
イネ遺伝資源におけるいもち病抵抗性には幅広い多様性があるが、地域によって遺伝変異には偏りがある。特に南アジアやインド型の品種は多様性である一方、日本型品種の多い日本や東アジアでは感受性の品種が多いなど著しい偏りがあり、インド型や日本型品種の地理的分布や生態型分化に対応する。