研究成果情報

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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら

  • スリランカにおける農村再構築手法の実証とガイドラインの作成(2010)

    津波被災により疲弊した農業農村の再構築を図るため、地方行政の能力向上や住民組織の強化等の手法を検証し、得られた成果や教訓を現地語(シンハラ語)のガイドラインとしてまとめている。このガイドラインは、地方行政官の実務手引書として、農民サービス野生生物省を通じて全国の農民サービスセンターに配布され、災害等で被災した農業農村の復興に使われる。

  • 東ティモールにおける農村再構築ガイドライン(2010)

    このガイドラインは、独立紛争により疲弊した農業農村の機能回復のための技術・手法に関する実証調査を行い、その成果を基に作成したものである。本ガイドラインは東ティモールの農業普及員研修テキストとして採用されており、今後の農業農村の再構築を効果的に実施することが期待できる。

  • 野生ダイズのアルカリ塩耐性QTLの同定と選抜マーカーの開発(2010)

    日本由来の野生ダイズ系統「JWS156-1」は非常に高いアルカリ塩耐性を示す。QTL解析では、第17染色体に効果の大きな量的形質遺伝子座(QTL)が認められる。このQTLは既往の塩化ナトリウム塩耐性に関与するQTLとは異なる。それぞれのQTLに隣接するDNAマーカーの利用により、アルカリ塩耐性と塩化ナトリウム塩耐性の両方を同時に目的とする遺伝的背景へ集積することが可能になる。

  • 3種類のAREBはアブシシン酸を介した乾燥耐性を協調的に制御する(2010)

    乾燥ストレス時に蓄積するアブシシン酸によって活性化されるAREB型転写因子は、イネなどの陸上植物に広く存在する。シロイヌナズナの3種類のAREB型転写因子は、重複した機能を保持しながら、固有の役割も担っており、アブシシン酸を介した乾燥耐性能を協調的に制御する。

  • イネいもち病判別抵抗性品種としての準同質遺伝子系統群(2010)

    ジャポニカ型のイネ品種麗江新団黒谷(LTH)およびインディカ品種CO 39を遺伝的背景とし、いもち病抵抗性遺伝子を一つのみ導入した準同質遺伝子系統群は、いもち病菌菌系の病原性判別抵抗性品種および育種素材として国際的に活用できる。

  • インド型水稲品種IR64の遺伝的背景に農業有用形質を導入した染色体断片導入系統群(2010)

    イネ(Oryza sativa L.)品種IR64を遺伝的背景に、農業上重要な到穂日数や収量関連形質などに変異のある染色体断片導入系統群は、遺伝解析材料や育種素材として活用できる。

  • 効率的なエタノール生産を目的としたオイルパーム廃棄木からの柔組織分別調製装置(2010)

    オイルパーム廃棄木から効率的にエタノールを生産するため、樹液搾汁後の残渣から柔組織を分別する装置を開発する。本システムは、パドルを有するスクリューコンベアとサイクロン方式の分別機により構成され、搾汁残渣より柔組織を純度85%以上、回収率80%以上で分別することができる。

  • カビ酵素に代わり得るセルロース系バイオマス分解酵素の開発(2010)

    好熱嫌気性細菌由来のセルロソームとβグルコシダーゼの組み合わせで、セルロース分解能を飛躍的に向上できる。本酵素の組み合わせによりアンモニア処理稲わらを91%の高効率で分解でき、世界のバイオマス分解の主流技術であるカビ酵素に代わり得る糖化技術となる。

  • Bacillus amyloliquefaciens を用いたα-グルコシダーゼ阻害活性を有する機能性食品素材の製造方法(2010)

    Bacillus amyloliquefaciensを用いることにより、α-グルコシダーゼ阻害活性を有する納豆様の機能性食品素材の製造が可能である。

  • 屋内型エビ生産システムで飼育されたバナメイエビのおいしさ(2010)

    薬を使用せず環境にやさしい養殖法である屋内型エビ生産システムで飼育されたバナメイエビは、商品価値として重要なおいしさ(遊離アミノ酸含量)に関しても国内産クルマエビと同等で、外国産輸入クルマエビ類よりも優れている。

  • 西アフリカサヘル地域におけるMother-Baby手法を用いた肥沃度管理技術の普及可能性の評価(2010)

    サヘル地域で普及確度の高い技術は、トウジンビエとササゲの間作、トウジンビエ脱穀残さ、家畜糞尿の利用や化学肥料との併用である。普及可能性は技術の有効性と投入資材の入手しやすさによって決定される。

  • 東北タイ農民による節水野菜栽培技術指針(2010)

    農民参加型手法により、土壌水分を活用した野菜の節水栽培法の技術指針を策定した。東北タイの乾期でも、土壌水分を活用することで多種野菜を栽培することができる。

  • 長期にわたる農牧輪換システムの有効性と特徴(2010)

    亜熱帯サバンナ地域において、連作大豆畑に農牧輪換システムを導入すると大豆の生産性は回復し、放牧草地期間が長く粗放牧利用の方が、放牧草地期間が短く集約利用するより、その効果は大きい。これには、有機物の蓄積やリン酸の地表面への蓄積解消効果が大きい。

  • イネOsNAC5遺伝子を利用した環境ストレス耐性イネの開発(2010)

    イネの環境ストレス誘導性NAC型転写因子であるOsNAC5の遺伝子をイネで過剰発現させると、生育を阻害することなく、乾燥や塩ストレスに対する耐性を向上させることができる。

  • タイ国で収集したエリアンサス属植物遺伝資源の特性評価と分類(2010)

    タイ国で収集したエリアンサス属植物の遺伝資源は、形態や開花期、乾物生産等の農業特性において多様な変異を示す。これらは、Erianthus procerusおよびE. arundinaceus の2種を含み、E. arundinaceus についてはさらに3つの類型に分類できる。

  • 養殖対象として有望なラオス在来コイ科魚類Hypsibarbus malcolmi の種苗生産および成長(2010)

    Hypsibarbus malcolmiは、孵化後2日目(2日令)には親由来の栄養である卵黄の吸収完了と同時に、人為的に培養した小型動物プランクトン(淡水産ワムシBrachionus angularis)を摂餌し、体長10 mm強となる孵化19日後には主な器官が完成し稚魚となる。共食いせず、活発に摂餌することから種苗生産期間の生残率も高く(>90%)、養殖対象種として有望である。

  • 東南アジアの集約的養殖汽水エビから薬剤耐性菌を検出(2010)

    東南アジアで集約的養殖されたウシエビおよびバナメイエビに付着した薬剤耐性菌の分布実態を調査したところ、いずれにも薬剤耐性菌が検出され、多剤耐性菌もみられる。薬剤耐性菌の分布はエビへの抗生物質の投薬歴を反映していると考えられる。

  • 西アフリカサバンナ低湿地における雑草データベースの構築(2010)

    アフリカ氾濫原低地のイネの収量向上に効果的な雑草防除体系を確立するための基盤情報として、低湿地に生育する雑草を同定・分類するとともに、さく葉標本と生植物の画像を作成し、データベース「Plants in lowland savanna of West Africa」を構築した。

  • イネにおける生物的硝化抑制能(2010)

    イネ遺伝資源36品種等の中でもブラジル原産の陸稲品種IAC25は高い生物的硝化抑制活性をもつ。IAC25は硝化抑制活性の弱い日本晴よりも土壌中で硝酸態窒素の蓄積を抑制する。

  • 早生樹林を郷土樹種の森へ転換するには小面積皆伐が有効(2010)

    明瞭な乾期のある熱帯モンスーン地域において、早生樹林を郷土樹種の森林へと転換する造林手法を検討した。成熟した早生樹林で小面積皆伐を行い、郷土樹種を植える方法が郷土樹種の成長にとって最も有効である。