研究成果情報
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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら。
- ハネジナマコの飼育管理のためのサイズ測定と栄養状態評価手法(2011)
メントール麻酔剤により体型が不定なハネジナマコの体長と体重の測定精度が向上できる。栄養状態により体長と体重が変化するナマコ類は、従来の肥満度による栄養状態の評価ができないが、体腔液の比重と総炭水化物含量を指標として評価できる可能性を示した。
- 熱帯汽水域の最重要養殖魚チャイロマルハタ幼魚の資源評価および漁獲管理(2011)
熱帯において最重要養殖魚のチャイロマルハタは、汽水域に生息する幼魚を種苗として漁獲している。漁獲実態および生物学的解析により同魚の現状は乱獲傾向にあること、漁獲努力量を減らすことで資源管理効果を飛躍的に高めることが明らかとなった。
- タイ在来野菜ゆで汁により抗酸化性を付与した加工米飯(2010)
バジル等の野菜・薬草等の熱水抽出物を用いて炊飯することにより、米飯に抗酸化性や風味・色などを付与することができる。抗酸化性を付与した加工米飯をレトルト包装した製品や、様々な風味の米飯フライ加工品を製造することができる。
- トウジンビエとササゲの4列配置間作、ローテーションと栽植密度の組合せにより作物バイオマスとトウジンビエ収量は増加する(2010)
トウジンビエ(栽植密度6300本/ha)とササゲ(栽植密度6300~2000本/ha)を4列配置間作で配置し、両作物をローテーションすることで、合計バイオマスは4割、トウジンビエ収量は5割増加する。
- インドシナ半島地域における肉用牛飼養標準と飼料資源データベース(2010)
インドシナ半島熱帯地域に特有な在来種及びブラーマン種肉用牛のエネルギー及びタンパク質要求量に基づいた肉用牛飼養標準と、同地域固有の飼料資源の一般成分及び栄養価を収載した飼料資源データベースである。飼料設計を支援するためのソフトウェアが添付されている。
- グリーニング病多発生環境下でキングマンダリンの高収益栽培を可能とする総合管理技術(2010)
無病苗とネオニコチノイド系殺虫剤施用を軸とする生育初期防除の徹底と初期生育量確保のための適切な肥培管理によるグリーニング病の総合管理技術(IPM)により、ベトナムメコンデルタのグリーニング病多発生環境下でもキングマンダリンの高収益栽培が可能となる。
- 協同組合の設立と運営のためのマニュアル(2010)
このマニュアルは、ニジェール国農業畜産省農民組織化・推進局と共同で作成されており、協同組合設置に関する各種法令に基づいた、汎用性があり、かつ実践的な内容となっている。協同組合の設立と運営のための原則的な考え方と手続きが、このマニュアルのみで理解できる。
- スリランカにおける農村再構築手法の実証とガイドラインの作成(2010)
津波被災により疲弊した農業農村の再構築を図るため、地方行政の能力向上や住民組織の強化等の手法を検証し、得られた成果や教訓を現地語(シンハラ語)のガイドラインとしてまとめている。このガイドラインは、地方行政官の実務手引書として、農民サービス野生生物省を通じて全国の農民サービスセンターに配布され、災害等で被災した農業農村の復興に使われる。
- 東ティモールにおける農村再構築ガイドライン(2010)
このガイドラインは、独立紛争により疲弊した農業農村の機能回復のための技術・手法に関する実証調査を行い、その成果を基に作成したものである。本ガイドラインは東ティモールの農業普及員研修テキストとして採用されており、今後の農業農村の再構築を効果的に実施することが期待できる。
- 野生ダイズのアルカリ塩耐性QTLの同定と選抜マーカーの開発(2010)
日本由来の野生ダイズ系統「JWS156-1」は非常に高いアルカリ塩耐性を示す。QTL解析では、第17染色体に効果の大きな量的形質遺伝子座(QTL)が認められる。このQTLは既往の塩化ナトリウム塩耐性に関与するQTLとは異なる。それぞれのQTLに隣接するDNAマーカーの利用により、アルカリ塩耐性と塩化ナトリウム塩耐性の両方を同時に目的とする遺伝的背景へ集積することが可能になる。
- 3種類のAREBはアブシシン酸を介した乾燥耐性を協調的に制御する(2010)
乾燥ストレス時に蓄積するアブシシン酸によって活性化されるAREB型転写因子は、イネなどの陸上植物に広く存在する。シロイヌナズナの3種類のAREB型転写因子は、重複した機能を保持しながら、固有の役割も担っており、アブシシン酸を介した乾燥耐性能を協調的に制御する。
- イネいもち病判別抵抗性品種としての準同質遺伝子系統群(2010)
ジャポニカ型のイネ品種麗江新団黒谷(LTH)およびインディカ品種CO 39を遺伝的背景とし、いもち病抵抗性遺伝子を一つのみ導入した準同質遺伝子系統群は、いもち病菌菌系の病原性判別抵抗性品種および育種素材として国際的に活用できる。
- インド型水稲品種IR64の遺伝的背景に農業有用形質を導入した染色体断片導入系統群(2010)
イネ(Oryza sativa L.)品種IR64を遺伝的背景に、農業上重要な到穂日数や収量関連形質などに変異のある染色体断片導入系統群は、遺伝解析材料や育種素材として活用できる。
- 効率的なエタノール生産を目的としたオイルパーム廃棄木からの柔組織分別調製装置(2010)
オイルパーム廃棄木から効率的にエタノールを生産するため、樹液搾汁後の残渣から柔組織を分別する装置を開発する。本システムは、パドルを有するスクリューコンベアとサイクロン方式の分別機により構成され、搾汁残渣より柔組織を純度85%以上、回収率80%以上で分別することができる。
- カビ酵素に代わり得るセルロース系バイオマス分解酵素の開発(2010)
好熱嫌気性細菌由来のセルロソームとβグルコシダーゼの組み合わせで、セルロース分解能を飛躍的に向上できる。本酵素の組み合わせによりアンモニア処理稲わらを91%の高効率で分解でき、世界のバイオマス分解の主流技術であるカビ酵素に代わり得る糖化技術となる。
- Bacillus amyloliquefaciens を用いたα-グルコシダーゼ阻害活性を有する機能性食品素材の製造方法(2010)
Bacillus amyloliquefaciensを用いることにより、α-グルコシダーゼ阻害活性を有する納豆様の機能性食品素材の製造が可能である。
- 屋内型エビ生産システムで飼育されたバナメイエビのおいしさ(2010)
薬を使用せず環境にやさしい養殖法である屋内型エビ生産システムで飼育されたバナメイエビは、商品価値として重要なおいしさ(遊離アミノ酸含量)に関しても国内産クルマエビと同等で、外国産輸入クルマエビ類よりも優れている。
- 西アフリカサヘル地域におけるMother-Baby手法を用いた肥沃度管理技術の普及可能性の評価(2010)
サヘル地域で普及確度の高い技術は、トウジンビエとササゲの間作、トウジンビエ脱穀残さ、家畜糞尿の利用や化学肥料との併用である。普及可能性は技術の有効性と投入資材の入手しやすさによって決定される。
- 東北タイ農民による節水野菜栽培技術指針(2010)
農民参加型手法により、土壌水分を活用した野菜の節水栽培法の技術指針を策定した。東北タイの乾期でも、土壌水分を活用することで多種野菜を栽培することができる。
- 長期にわたる農牧輪換システムの有効性と特徴(2010)
亜熱帯サバンナ地域において、連作大豆畑に農牧輪換システムを導入すると大豆の生産性は回復し、放牧草地期間が長く粗放牧利用の方が、放牧草地期間が短く集約利用するより、その効果は大きい。これには、有機物の蓄積やリン酸の地表面への蓄積解消効果が大きい。