研究成果情報
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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら。
- アグロバクテリウム遺伝子組換え技術によるブラジル産ダイズの乾燥耐性の改良(2015)
低いコピー数で遺伝子を植物に導入することができるアグロバクテリウム遺伝子組換え技術をブラジルのダイズ品種で確立し、シロイヌナズナにおいて乾燥ストレス耐性に重要な役割を担っているAREB1転写因子の遺伝子をブラジルのダイズ品種に導入すると、温室条件下で乾燥耐性を示す。
- 長期の乾燥による葉の黄化防止に関わる遺伝子を発見(2015)
植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)は、乾燥ストレスを受けると葉に蓄積するが、シロイヌナズナの環境ストレス応答に関わる7つのSNAC-A遺伝子は、ABAによって誘導される黄化関連遺伝子の発現を調節しており、長期の乾燥による葉の黄化において重要な役割をもつ。
- ダイズ耐塩性遺伝子Ncl の単離とその利用による耐塩性の向上(2015)
ブラジルのダイズ品種FT-Abyaraから単離された耐塩性遺伝子(Ncl )は、植物体地上部のNa+、K+、Cl−の濃度を同時に抑制する。DNAマーカー選抜や形質転換の育種手法によってNclを導入した既存のダイズ品種は耐塩性が向上する。塩害圃場においてNcl 保有系統は高い子実収量を維持できる。
- ヤム遺伝資源多様性解析のためのSSRマーカーの開発(2015)
ヤマノイモ (Dioscorea) 属作物の一種であるD. cayenensisのゲノムDNAより探索した単純反復配列 (SSR) 領域を増幅する90個のマーカーを作成した。これらのマーカーはアフリカで栽培されている6種のヤム遺伝資源において高い汎用性を示し、ヤムの主要な種の系統関係や多様性の評価に適したマーカーである。
- ササゲ遺伝資源の子実品質関連形質の評価とデータベースの公開(2015)
ササゲ育種や研究への遺伝資源の利用の活性化のため、ササゲ遺伝資源の子実品質関連形質(計27形質)について、各形質の多様性の幅や特徴的な形質を有する遺伝資源を明らかにし、検索機能付きデータベースを公開した。
- 機械収穫効率が高いエリアンサスの栄養繁殖品種「JEC1」の育成(2015)
エリアンサスの栄養繁殖品種「JEC1」は、種子で増殖する既存品種「JES1」と同等の乾物収量を示し、1株あたりの茎数と乾物重では個体間の均一性が「JES1」より高い。そのため、「JEC1」の機械収穫効率は「JES1」より高く、バイオマス原料の効率的な生産が可能である。
- イネのリン利用効率に関する新規遺伝子座の同定(2015)
吸収リン量に対する乾物生産量を示す一つの重要な指標であるリン利用効率(PUE)に関する量的形質遺伝子座(QTL)は、イネゲノムの第1および11染色体上にある。
- 日本のイネいもち病菌レースと品種の抵抗性変異との相互関係(2015)
日本のイネいもち病菌レースは地域により異なるタイプが分布している。これはその地域で栽培されてきたイネ品種の抵抗性遺伝子との関係で説明できる。
- サトウキビ野生種を利用しタイで共同育成したサトウキビ新品種(2015)
新品種としてタイで登録されたサトウキビ3品種「TPJ03-452」、「TPJ04-713」、「TPJ04-768」を、サトウキビ野生種との種間交雑を利用して育成した。「TPJ03-452」と「TPJ04-768」は、砂糖収量は普及品種と同程度で繊維収量は多い。「TPJ04-768」は、厳しい乾季を持つ東北タイでも株出し栽培における収量減が少ないため、多回株出し栽培が期待される。
- サトウキビ白葉病を媒介するヨコバイ類の移動分散能(2015)
サトウキビ白葉病の媒介虫であるタイワンマダラヨコバイMatsumuratettix hiroglyphicusおよびヤマトヨコバイYamatotettix flavovittatusの試験期間(20日間)を通した平均移動距離は、それぞれ162.1m、387.5mであり、このデータは圃場での健全種茎生産技術開発に利用できる。
- ラオス中部の田越し灌漑水田では水不足による移植の遅れが水稲減収をもたらす(2015)
ラオス中部の中山間地農村において、田越し灌漑水田の雨季水稲の減収は、主に水不足による移植時期の遅れにより生じている。収量低下を回避するためには、早期の田面湛水を促し、7月中に移植することが望ましい。
- ラオスの養魚餌料として有望なアメリカミズアブの周年採卵技術(2015)
インドシナ一帯に広く分布するアメリカミズアブHermetia illucensは、高栄養な養魚餌料として有望なことから、周年採卵が可能な成虫飼育および採卵法を明らかにした。これにより効率的な幼虫生産が可能となり、ラオス農村部の小規模農家が養魚に利用できる。
- ラオス中部の薪利用は、特定の樹種の資源の減少に影響している。(2015)
ラオス中部の調査対象村の主要な燃料は薪であり、消費量は一世帯当たり年間約1.94トンに達する。また、消費量を村全体で見ると約272トン/年に上り、森林面積に換算すると約16haに相当する。農家は薪として2種類の樹種を好んで採取しており、これらの樹種の減少の原因となっている。
- ラオスの焼畑二次林の有用樹種を含む樹木データベース(2015)
樹木図鑑の整備が遅れているラオスにおいて、焼畑二次林に出現する樹木のさく葉標本を閲覧できるよう整備し、各樹木の特徴、用途、高解像度のさく葉標本画像などを収録したラオス語で検索が可能な樹木データベースを基盤情報として構築する。
- 微酸性電解水を用いた豆類スプラウトの生産性向上(2015)
豆類の種子を微酸性電解水で処理すると、殺菌効果があるだけでなく、種子の発芽率が向上し生長も促進されるため、スプラウトの生産性が向上する。
- タイ伝統発酵食品データベースの構築(2015)
タイの伝統発酵食品を原材料に基づき分類し、特徴、製造方法、栄養情報および画像を整理し、データベースを構築してインターネット上に公開した。
- 貯蔵中に糖濃度が上昇するオイルパーム伐採木の簡易選別法(2015)
貯蔵により樹液の糖濃度が上昇するオイルパーム伐採木を簡便に特定するため、伐採幹の切断面にヨウ素溶液を噴霧する。噴霧した箇所の色の瞬時の変化で貯蔵により糖濃度が上昇するパーム幹を迅速に識別することが出来る。
- 低い糖濃度の搾汁液からのエタノール生産におけるエネルギー収支の評価(2015)
糖濃度が低いオイルパーム廃棄木由来の濃縮搾汁液を発酵してエタノールを生産する際のエネルギー収支を評価すると、投入エネルギーよりも出力エネルギーが上回るのは、糖濃度が6.1%以上の時である。
- オイルパーム廃棄木の搾汁残渣を効率的に分解する酵素の利用(2015)
糸状菌Penicillum rolfsiiから調製した糖化酵素液は、市販糖化酵素と比較して、オイルパーム廃棄木搾汁残渣の糖化反応時に高い温度安定性及び残渣に対して低い吸着性を示し、高い分解活性を有することから廃棄木搾汁残渣糖化用酵素として優れている。
- インドネシアのパーム油企業が実施するCSR活動を促進する要因(2015)
インドネシアのパーム油企業が実施する企業の社会的責任(CSR)活動は、小規模農家に対する農地配分プログラムであるNESの実施により促進される。NESに対する政府支援の強化は、CSR活動の促進にも有効である。