研究成果情報

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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら

  • タイ東北部における在来種育成牛の維持蛋白質要求量(2008)

    タイ東北部における在来種育成牛維持に要する飼料中粗蛋白質含量は6.1%以下、粗蛋白質摂取量は4.38 gCP/kgBW0.75である。この要求量は、欧米系の肉牛(NRCの維持蛋白質要求量:飼料中含量7.2%、摂取量5.67 gCP/kgBW0.75)に比べ低い値である。

  • 農牧輪換システムの導入により大豆と小麦の生産性が改善する(2008)

    南米熱帯サバンナ地域において、連作により生産性の低下した大豆小麦体系の畑に農牧輪換システムを導入すると、土壌の理化学性とともに大豆と小麦の生産性も改善する。

  • オイルパーム古木中の糖は貯蔵中に増加し、有望なバイオエタノール原料となる(2008)

    オイルパーム古木樹液中の糖は伐採後貯蔵中に増加し、最大14~16%に達することを見出した。この発見は、伐採され利用方法のない古木が、適切な熟成により、サトウキビに匹敵するバイオエタノール資源となることを意味する。

  • アミラーゼ、セルラーゼ、β-グルコシダーゼ表層提示酵母の開発とキャッサバパルプからの直接エタノール生産(2008)

    2種類のアミラーゼ、2種類のセルラーゼ及びβ-グルコシダーゼを細胞表層に提示したアーミング酵母を開発した。この形質転換酵母は、デンプンとセルロースを主成分とするキャッサバパルプから直接エタノールを生産することが出来る。

  • 栽培時期等の調節によるタイ在来野菜の抗酸化性向上(2008)

    タイの在来野菜20種の抗酸化活性は栽培時期により変動し、乾期作では暑期作に比べ抗酸化活性が高まる。バジル類では、遮光または水ストレスを与える処理により抗酸化性が低下する。栽培時期等を調節することにより抗酸化性を向上させることができる。

  • 中国伝統のおから発酵食品から分離された枯草菌はα-グルコシダーゼ阻害活性を有するデオキシノジリマイシンを産生する(2008)

    中国伝統食品であるおから発酵食品から分離された枯草菌(Bacillus subtilis B2)の代謝物に血糖値を上昇させる働きのある酵素αグルコシダーゼを強く阻害する活性を確認し、その主成分はイミノ糖である1-デオキシノジリマイシンであることを見いだした。

  • 早生樹と組み合わせた効率的な郷土樹種の育成(2008)

    郷土樹種Hopea odrataタガヤサンSenna siamea)と組み合わせて植栽することで生存率・成長量ともに最も高くなり、効率的に育成することができる。早生樹とHopea の成長はトレード・オフの関係であり、ユーカリアカシアのような特に成長の早い早生樹でも適切な間伐を行い十分な光環境を確保すれば、Hopea を十分に育成できる。

  • 初期生活史特性に基づくラオス在来テナガエビMacrobrachium yuiの種苗生産技術(2008)

    ラオス北部に生息し、零細農民の貴重な現金収入源である陸封型テナガエビM. yui種苗生産技術を開発した。本種は両側回遊型テナガエビ同様、浮遊幼生期を有し、孵化から浮遊幼生期まで洞窟河川内で過ごす。浮遊幼生を3.5 pptに調整した人工海水で飼育することにより、その多くを着底に至るまで成長させ、さらに着底後、直ちに淡水飼育に切り替えることで飼育可能である。

  • ラオスにおける淡水在来魚キノボリウオ亜科2種の集約的種苗生産(2008)

    仔魚の初期餌料として有効な淡水産ワムシBrachionus sp.)の大量培養技術を導入することにより、ラオスにおいて需要の高いキノボリウオ亜科魚類のキノボリウオ(Anabas testudineus)およびスネークスキングラミーTrichogaster pectoralis)の集約的種苗生産が可能となる。また、キノボリウオの仔稚魚期に頻発する共食いを軽減するには、大型・小型個体の選別および給餌管理が有効である。

  • メコンデルタ地域におけるキングマンダリン生育初期のグリーニング病感染率低減技術(2008)

    メコンデルタ地域においてキングマンダリンを定植する場合、定植10日前にネオニコチノイド系薬剤を苗の株元灌注処理し、グリーニング病を媒介するミカンキジラミが低密度となる雨季後半から乾季前半に定植すると、生育初期の感染率を低減できる。

  • キャッサバ加工部門への企業の新規参入は農家経営を改善する(2007)

    インドネシア最大のキャッサバ生産地であるランプン州では少数の加工業者が市場を寡占していたが、近年のバイオ燃料ブームによってキャッサバの用途が拡大し、加工業への新規参入が進んでいる。新規参入企業が提供する技術普及サービスや農家により有利な条件の契約栽培の導入は、農家の経営を改善できる。

  • 水供給変動がカンボジアのコメ市場に及ぼす影響(2007)

    水供給変動の影響を把握することが可能なカンボジアコメ需給確率モデルを開発し、各県のコメ生産および価格の動向を分析した。予期しない水供給変動が生じた場合、標高の高い地域と洪水の被害を受けやすい地域の作付面積変動が大きくなり、また、価格が上方へ変動する確率が高くなる。

  • イネいもち病抵抗性遺伝資源の多様性(2007)

    イネ遺伝資源におけるいもち病抵抗性には幅広い多様性があるが、地域によって遺伝変異には偏りがある。特に南アジアやインド型の品種は多様性である一方、日本型品種の多い日本や東アジアでは感受性の品種が多いなど著しい偏りがあり、インド型や日本型品種の地理的分布生態型分化に対応する。

  • LTH一遺伝子系統群を用いたイネいもち病菌レースの分類と新命名法(2007)

    23の抵抗性遺伝子を個々に有するLTH一遺伝子系統をもとにしたイネいもち病菌レース新国際判別体系(命名法)は、これまでのものと異なりレースと抵抗性遺伝子の関係が分かり易く、国際的な比較ができ、詳細な分類が可能で拡張性も備えている。

  • アフリカイネ、アジアイネおよび種間雑種の短期冠水耐性(2007)

    ギニアで広範囲なイネ遺伝資源の短期冠水反応性を評価した。冠水の耐性向上には、冠水中の草丈伸長抑制地上部乾物増加に加え、退水後の倒伏抑制が重要である。アフリカイネの大部分は、冠水感受性であったが、Saligbeliは他のアフリカイネや冠水耐性(Sub-1)品種とは異なる冠水反応性を示した。

  • アグロバクテリウム法によるネリカの形質転換(2007)

    アグロバクテリウムの未熟胚への接種、および接種後の選抜条件を至適化することによりネリカ品種形質転換法を開発した。得られた形質転換体の外来遺伝子の植物染色体への組み込み、発現、後代への伝達および分離を確認した。この手法により、遺伝子組換えによるネリカの品種改良が可能となる。

  • 植物の乾燥や塩害等による浸透圧ストレスのセンサー遺伝子の発見(2007)

    シロイヌナズナのゲノムに存在する11個のヒスチジンキナーゼの機能を解析し、このうちのAHK1遺伝子が、植物の乾燥や塩害等による浸透圧ストレスを受容して、耐性の獲得に働く遺伝子群を制御する受容体の遺伝子であることを示した。このAHK1遺伝子を植物中で高発現すると、多くの耐性遺伝子が高発現して植物の乾燥ストレス耐性が向上することを明らかにした。

  • イネの環境ストレス応答性プロモーターと転写因子OsNAC6を用いた環境ストレス耐性イネ作出技術の開発(2007)

    イネOsNAC6タンパク質は環境ストレスに対する耐性の獲得機構で働く転写因子である。OsNAC6をイネ中で多量に作らせると、環境ストレス時に機能する複数の耐性遺伝子が強くはたらくようになり、乾燥および塩ストレス高いレベルの耐性を示すが、植物には生育阻害が見られる。イネのストレス誘導性プロモーターを利用して、ストレスを受けたときにOsNAC6を多量に作るように改変したイネでは、生育阻害が改善される。

  • 土壌肥沃度に対する風食の影響を評価できる新装置を開発(2007)

    世界で初めて風成粗大有機物(風により飛散する粗大な有機物)の移動量を精度よく測定出来る捕捉装置を開発した。本装置の使用により、風食土壌肥沃度に与える影響を正しく評価できる。

  • 西アフリカ・サヘル帯ファカラ地区に関する研究情報資源のメタデータ作成と公開(2007)

    西アフリカサヘル帯ファカラ地区で、過去および現行のプロジェクトにより得られた生態環境特性把握に関する情報衛星画像及び雨量分布土地利用に関する研究情報資源は、メタデータの作成及び公開によってその利便性が高まった。