タイにおいて発酵型米麺の液状化抑制技術を紹介するワークショップが開催されました

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国名
タイ
9月19日、タイにおいて、発酵型米麺(カノムチーン)の液状化抑制技術を紹介するワークショップが開催されました。この技術は国際農研とタイのカセサート大学食品研究所が共同で開発し、農林水産省の「みどりの食料システム基盤農業技術のアジアモンスーン地域応用促進事業」において国際農研が公表した技術カタログにも掲載されています。国際農研からは丸井淳一朗主任研究員が協力者として参加しました。

令和5年9月19日(火)、タイのラチャブリ (Ratchaburi) 県ポータラム(Photharam)郡 において、発酵型米麺(タイ名:カノムチーン; khanomjeen)の液状化抑制技術を紹介するワークショップが開催されました。この技術は国際農研とタイのカセサート大学食品研究所 (IFRPD: Institute of Food Research and Product Development) が共同で開発したものです。本技術は、令和4年度から開始された農林水産省の「みどりの食料システム基盤農業技術のアジアモンスーン地域応用促進事業」において国際農研が公表した「アジアモンスーン地域の生産力向上と持続性の両立に資する技術カタログ」にも掲載されています。

今回のワークショップは、タイ学術研究会議(NRCT:National Research Council of Thailand)の助成を受けたIFRPDが技術普及活動の一環として主催し、国際農研からは、カノムチーンの液状化抑制技術を開発した生物資源・利用領域の丸井淳一朗主任研究員が協力者として参加しました。

カノムチーンはタイで広く普及している伝統食品です。普段の食事や、タイ正月などのお祝いの席でも好んで食べられます。同様の製品は周辺のラオス、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、中国でも作られています。カノムチーンには、製造されて間もない麺から水分が滲み出し急激に溶けてしまう液状化の問題が突発的に発生し、生産者に損失をもたらすため、原因究明と抑制技術の開発が強く望まれてきました。ワークショップで紹介された液状化抑制の技術は現地の生産者にも導入しやすい方法として開発され、食品ロス削減の効果も期待されます。

本ワークショップの会場を提供された製麺業者のクリッサナ・フアッリム (Mr. Kritsana HUADLIM) 氏らは、近隣のコメ農家と連携してカノムチーンの品質向上に取り組み、タイ各地の小・中・高校生や観光客を対象に、カノムチーンづくりを題材とするカルチャーツアーや、製造業者への技術指導も実施しています。

当日はカノムチーン製造、販売業者および地域の行政担当者など28名が参加し、IFRPD主任研究員の シリナン・ションプーセン博士 (Dr. Sirinan SHOMPOOSANG)、パティナン・ワリチャナン氏 (Ms. Patthinan VATICHANAN)、サフィア・サア博士 (Dr. Safiah SAAH)によるカノムチーン液状化に関する講義に続き、液状化を防ぐpH調整方法の実演にはクリッサナ氏も参加しました。参加者からは、カノムチーンの保存性を高める乳酸菌の働きや、麺のpHと液状化の関係についてなど活発な質問や発言があり、本技術への関心の高さが示されました。IFRPDでは、現地のカノムチーン製造業者への技術的な支援を継続し、導入された液状化抑制技術の効果検証も行われます。

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カノムチーン液状化抑制について講義するシリナン主任研究員

ワークショップ会場の様子

ワークショップ会場の様子

食品用デジタルpH計で水質を確認するクリッサナ氏

食品用デジタルpH計で水質を確認するクリッサナ氏

ワークショップ参加者の集合写真

ワークショップ参加者の集合写真

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