令和6年10月15日、ベトナム食品産業研究所(FIRI: Food Industries Research Institute)において、発酵米麺液状化抑制技術の研究開発経緯と実証および普及に関するセミナー (Seminar on research, development and dissemination of liquefaction suppression technology for fermented rice noodles) が開催されました。国際農研からは舟木康郎 社会科学領域長兼グリーンアジアプロジェクトリーダー、金森紀仁 東南アジア連絡拠点代表、丸井淳一朗 生物資源・利用領域主任研究員、および全国農業改良普及支援協会の横山繁樹 客員研究員が参加しました。本セミナーは、昨年11月にベトナム商工省(Ministry of Industry and Trade)科学技術局次長らが国際農研を来訪された際(JIRCASの動き 2023-11-17)、タイ発酵米麺液状化抑制技術の開発など、国際農研が実施する東南アジア発酵食品の共同研究に関心を持たれたことを機に、同省が所管するFIRIで開催されました。
本セミナーでは、舟木プロジェクトリーダーからグリーンアジアプロジェクト及び「アジアモンスーン地域の生産力向上と持続性の両立に資する技術カタログ」について説明し、本技術カタログに掲載された発酵米麺液状化抑制技術のベトナムでの普及に向けた効果を推計するためのパイロット調査(JIRCASの動き 2024-06-07)についても紹介しました。金森東南アジア連絡拠点代表からは、国際農研がベトナムで実施している共同研究や、東南アジア連絡拠点の活動を紹介しました。丸井主研からは、タイにおける発酵米麺液状化抑制技術の開発経緯に加え、本成果の実証・普及の例として、タイで開催された技術普及のためのワークショップとその効果(JIRCASの動き 2023-09-20)についても紹介しました。また、発酵米麺と同様に東南アジアの国々で共通性が見られる淡水魚発酵調味料のラオスにおけるヒスタミン抑制法の開発や、日本の米麹を活用し東南アジアのコメを用いた栄養改善や健康増進に寄与する麹甘酒の研究開発についても紹介しました。
発酵米麺はベトナムでも広く普及し、製造の現場ではタイと同様に液状化など保存性に関する問題の解決が望まれています。発酵米麺など東南アジアの国々で共通性の見られる発酵食品の発酵過程や微生物の働きを解明し、それらの研究知見を現地で求められる課題解決に応用する国際農研の取り組みについてはセミナー参加者からの関心も高く、発酵米麺液状化抑制技術の開発・普及など食品研究を通じた現地の中小規模製造業者の支援の重要性や、今後の連携の可能性についても議論されました。本セミナーの様子は、FIRIホームページでもベトナム語・英語で紹介されています(https://firi.vn/tin-tuc/trung-tam-nghien-cuu-khoa-hoc-nong-nghiep-quoc-te-nhat-ban-jircas-den-tham-va-lam-viec-tai-vien-cong-nghiep-thuc-pham/)。