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1409. 2025年を振り返って

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1409. 2025年を振り返って

 

2025年も国際農研Pick Upをご訪問くださり、ありがとうございました。
最近はAIの進展が著しく、ウェブ上で様々なキーワードを入れればソースにあたることなく瞬間的に情報が要約される世の中になり、Pick Up記事といえば旬の話題へのアクセスに比べ過去記事への検索アクセスが目立つ傾向がありました。

そんな中で、今年も世界平均気温上昇トレンドについての話題は注目を集めました。2023年に引き続き、エルニーニョのもとで観測史上最も暑い年を更新した2024年に対し、2025 年 1 月は世界的に最も暖かい 1月となり、産業革命以前の水準より 1.75°C 高い状態で始まりましたが、その後ラニーニャ現象の進展により史上最高気温記録連続更新は小休止となりました。2025年年間平均気温は産業革命以前の水準より1.5℃以上上昇しない可能性もありますが、2023~2025年の観測期間を通した3年間平均値は1.5℃を初めて超えることが予測されています。
1174. 2024年は観測史上最も暑い年
1192. 2025 年 1 月の月別気温は産業革命以前の水準より 1.75°C 高かった
1290. 2025年6月北半球における熱波の報告
1357. 2025年9月は記録上3番目に暖かく、海水温も高止まり
1398. 2025年は記録上2番目か3番目に暖かい年になる見込み


2025年は国際開発において歴史的な変化の年となり、2024年までに盛り上がりを見せたマルチラテラルな気候変動・生物多様性等の国際的なコンセンサスに逆風が吹き荒れ、その結果か全般的に国際協調に関するタイムリーな話題も低調な印象でした。

そんな中でも、食料システム変革を推進する国際的な潮流はとどまりませんでした。食料システムは、プラネタリーバウンダリーを超える最大の要因と認識される一方、誰も取り残さない持続可能な開発のために、全ての人々に対し栄養に富む食料を供給しなければなりません。世界各地の様々な課題に対応していくには、科学的な知識にもとづくアプローチを積み上げ、成功例を共有する国際連携の場が必要となります。SDGs達成のためには持続可能な食料システムへの転換が必要不可欠だというグテーレス国連事務総長の考えに基づき、2021年9月に開催された国連食料システムサミット(UN Food Systems Summit: UNFSS)の第2回目のフォローアップ会合(UNFSS+4)が、2025年7月27日から29日までエチオピアのアディスアベバで開催され、各国によるコミットメントの進捗状況を振り返り、連携を強化し、食料システムの変革を加速させるための資金と投資を活性化するための議論が行われました。
1300. 第2回国連食料システムサミットフォローアップ会合(UNFSS+4)

 

国際農研も日本・エチオピア・ベトナム・ウガンダの国立研究機関・政府機関やNGO、国際的に活躍する企業や国連機関とともに対面でサイドイベントを開催、アジアとアフリカから多様な分野、農業研究機関・政府省庁・国際機関・民間企業・NGOと多岐にわたる関係組織を代表する登壇者が参加し、科学と政策のインターフェースおよび官民連携対話のフォーラムも提供しました。
1308. 国連食料システムサミットフォローアップ会合サイドイベントの報告
1341. 国連食料システムサミットフォローアップ会合サイドイベント報告書

UNFSS+4の機運も受け、JIRCAS国際シンポジウム2025は「アジアモンスーン地域における農林水産業技術の実装加速化:生産力向上と持続可能な食料システム構築に向けた進展と展望」をテーマに開催、多国間協力を通じて技術の適用を加速化する「グリーンアジアプロジェクト」の成果と教訓を広く共有し、今後の国際連携の方向性を展望について、識者と議論しました。
1373. JIRCAS国際シンポジウム2025を開催しました

今後とも、国際農研は、食料システム変革をめぐる科学的議論・国際的な政策動向についての情報を発信していく予定です。2026年は1月5日にPick Upを再開する予定です。

 
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

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