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449. 2021年を振り返って 

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449. 2021年を振り返って 

2021年も本サイトをご訪問くださり、ありがとうございます。

2021年の世界情勢として、気候変動を巡る国際的コンセンサスやパラダイムが大きく転換したことが特筆すべきこととして挙げられます。1月アメリカではバイデン政権が誕生し、気候変動対策への強いコミットメントを表明、8月にはIPCC第 6 次評価報告書・第 1 作業部会報告書が気候変動への人為的な影響は疑いの余地がないと発表、そして11月の気候変動枠組条約締約国会議COP26に向けて多くの国が温室効果ガス排出削減のコミットメントを表明しました。こうした脱炭素のパラダイムは、科学技術イノベーションへの投資方針を決定することで、農林水産業を含む全産業の在り方に影響を及ぼしています。

2021年、気候変動の議論と並行し、フードシステムの転換も重要な国際アジェンダとなりました。9月には国連食料システムサミットが、12月には東京栄養サミットが開催され、世界の食料栄養安全保障と脱炭素化・環境保全の同時達成には、消費・流通・生産というフードシステム全体で取り組み、健康・環境への負荷を最小化するために行動変容と技術イノベーションの双方から対応する必要性が訴えられました。
 

このような動向のもと、日本でも5月に「みどりの食料システム戦略」が打ち出され、食料栄養安全保障を維持しながらフードシステム転換を実現するために、生産性向上と持続性の両立を可能にする科学技術イノベーションの重要性が謳われました。同時に、「みどり戦略」は、全ての国や地域に万能な対応策はなく、現場ごとの科学技術イノベーションの適用の重要性を訴えました。そしてその実現のためには、農業生態系・社会経済的状況が似通った国・地域における協力体制の必要性を強調しました。これを受け、11月、JIRCAS国際シンポジウム2021は、『アジアモンスーン地域における持続的な食料システム実現に向けたイノベーション―』をテーマとし、イノベーションの社会実装に必要な研究・政策・普及ステークホルダーの役割と連携メカニズムを提案しました。 

2021年当初は、「より良い復興 ’Build Back Better’」が議論されていました。しかし年末時点において、COVID-19は未だに収束を見せず、ワクチン接種の実施にもかかわらず、感染力が強いとみられるオミクロン株への効果の不確実性によって、ヒトの移動の自由化にブレーキがかかっている状況です。 

気候変動やフードシステム対策など世界の動向が社会の在り方を大きく転換し、同時に経済ショック等の不確実性が高まる今日、タイムリーな情報提供、および中長期的な動向分析の重要性はこれまで以上に高まっています。こんな中、2021年4月、国際農研の新しい五か年計画が始動し、情報プログラムとして、国際的な農林水産業や地球規模課題に関する科学技術動向把握のための情報の収集、分析および発信が中核的なミッションとして位置付けられました。2022年も、国際農林水産業研究に関する最新情報と本質的かつ包括的な分析を提供していきたいと考えております。2022年は1月4日よりPick Upを再開する予定です。


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)