Pick Up

204. 2020年を振り返って

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情報収集分析

 

2020年は本Pick Upサイトをご訪問くださり、ありがとうございました。国際農研は、国際的な農林水産業に関する動向把握のための情報の収集、分析及び提供をミッションの一つとしています。 今年3月上旬に開始したPick Up企画も、今回で204記事目となります。2020年は、昨年末から東アフリカで70年ぶりの猛威を振るうサバクトビバッタ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの拡大、気候変動による極端気象の頻発や温室効果ガス排出削減を巡る国際動向など、タイムリーな情報収集・提供の必要性を裏付ける多くの出来事がありました。

とりわけCOVID-19は、リスクの伝播チャネルとしてのグローバル・フードシステムの役割を浮かびあがらせただけでなく、グローバル・フードシステムを巡る人為的な経済活動が人類と地球の健全性を損ねており、気候変動・生物多様性損失回避と世界食料栄養安全保障確保の視点から、技術開発・介入の戦略的方向性を提示する分析の緊急性も示しました。

2020年12月にNature Food誌で公表された論文は、従来の食料供給攪乱に関する分析はとうもろこし・コメ・小麦などの主要穀物、農業生産、そして極端降雨や気温の問題に集中する傾向があるとし、より包括的な研究の必要性 ― フードバスケット全体、様々な環境変数(気候・土壌栄養素・水サイクル、極端気象のみならず越境性病害虫を含む複合的攪乱要因など)、そして食料生産と消費・栄養を繋ぐローカル~グローバルなリンク ― について述べました。

2020年は、国際農研の創立50周年記念でもあり、国際シンポジウムにおいては「ポスト・コロナ時代のグローバル・フードシステムをとりまく地球規模課題の展開と農林水産業研究における国際連携の役割」を課題としてとりあげました。  

2021年も、国際農林水産業研究に関する最新情報と本質的かつ包括的な分析を提供していきたいと考えております。2021年は1月4日よりPick Upを再開する予定です。

参考文献

Kyle Frankel Davis et al. Towards food supply chain resilience to environmental shocks, Nature Food (2020). DOI: 10.1038/s43016-020-00196-3

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)

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