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688. 2022年を振り返って

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688. 2022年を振り返って 

2022年も国際農研Pick Upをご訪問くださり、ありがとうございました。


Nature誌は、2022年の最大のニュースとして、ロシアによるウクライナ侵攻のほか、気候・環境分野の話題として、11月にエジプトで開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)における「損失と損害」ファンド創設への合意、12月にカナダで開催された国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)におけるグローバル生物多様性枠組み(GBF:Global Biodiversity Framework)の締結、を挙げました。

 

2022年のPick Upを締めくくるにあたり、今年の世界情勢を改めて振り返ると、感染症(COVID-19)の完全な終焉が見えない中、気候変動(Climate Change) に起因すると考えらえる異常気象が頻発、さらに地政学的な混乱・紛争(Conflicts)が国際社会の不確実性を増幅しました。これら全ての要因は密接に絡み合いながら、燃料(Fuel)・食料(Food)・肥料(Fertilizer)の価格高騰に寄与し、食料安全保障に影響を及ぼします。食料安全保障にまつわる不確実性を取り除き、国際協調の道筋を探る上で、地球規模課題に関する情報収集は極めて重要です。

 

昨日のPick Up人気記事の話題でもとりあげましたが、気候変動・環境危機の下での中長期的な食料安全保障を占ううえで、2022年80億人を突破した世界人口が今後も増加を続けることを認識することは必須です。人口増加はアジアおよびアフリカによるところが大きいですが、一方で、飢餓に直面する人々の多くがアジアとアフリカで、それぞれ4.2億人、2.8億人とされています。これらの地域において環境持続性と食料生産性向上を両立するイノベーションが必要とされています。

国際協調に関しては、2022年は持続可能な開発目標(SDGs)が合意された2015年から2030年の中間点にあたりました。2023年9月に国連加盟国がSDGs採択以来2回目の会合を開き、2年連続で後退しているSDGs進捗の回復に向けての優先事項を定義することになっています。


世界の動向が社会の在り方を大きく転換し、同時に経済ショック等の不確実性が高まる今日、タイムリーな情報提供、および中長期的な動向分析の重要性はこれまで以上に高まっています。国際農研は、これからも国際的な農林水産業や地球規模課題に関する科学技術動向把握のための情報の収集、分析および発信しています。


2023年もどうぞよろしくお願いいたします。
2023年は1月4日よりPick Upを再開する予定です。

(文責:情報広報室 金森 紀仁、情報プログラム 飯山 みゆき)

 

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