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227. 米国が気候変動に対してリーダーシップを発揮する4つの方法

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気候変動対策のための国際協調において、ビックプレイヤーである米国の動向は注目に値します。マイクロソフトの共同創業者のビル・ゲイツ氏は、バイデン大統領のパリ協定への再参加決定を歓迎し、彼のブログGates Noteの中で、『米国が気候変動に対してリーダーシップを発揮する4つの方法(4 ways the U.S. can reassert leadership on climate change)』をまとめました。

パリ協定への参加により、温暖化に適応しながら排出量を削減できる革新的な産業の促進、パンデミック後の復興のための雇用の創出など、すべての人が利益を得られると評価し、具体的な計画を実行することで、さらに発展させることができるとしています。ビル・ゲイツ氏がクリーンエネルギーについて学び、投資してきた15年間に、世界各国の政治家、科学者、政策専門家たちと交わした議論を踏まえて、気候変動に対してリーダーシップを発揮し、2050年までに世界をゼロエミッションへの道へと導くための4つの方法を紹介しています。

1.  イノベーションの供給を増やそう
米国は、クリーンエネルギーの研究開発への支出を5倍に増やすことで、37万人以上の雇用を創出するための重要な第一歩となります。また、これまでに成功を収めている国立衛生研究所(NIH)をモデルにして国立のエネルギー研究所を設立して、リソースを最大限に活用してエネルギー貯蔵や再生可能エネルギーなどの研究を行うようにすべきです。

2.  イノベーションの需要を高めよう
技術革新だけでは気候災害を回避できません。また、科学者のブレイクスルーを市場に届ける政策的なイノベーションも必要です。クリーンな代替エネルギーが価格競争をしやすくなるようにすることで、競争力のあるカーボンフリーの代替品を開発し、消費者がそれを購入するためのインセンティブを生み出すことができます。

3.  グローバルに活動しよう
気候変動は世界的な問題です。だからこそ、各国政府は協力して共通目標を設定し、知識を共有し、ある国で開発された技術が他国に早く普及するようにする必要があります。このような協力は二国間だけでなく、国連やMission Innovation*のような場を通じた多国間でも可能です。

4.  温暖化に備えよう
すでに気候変動の影響がではじめています。将来の温暖化を防ぐ方法を開発・展開していくと同時に、気温上昇による影響に適応していく必要があります。より厳しい気候や海面上昇に対応するために、電気系統の改良、雨水排水システムの拡張、防潮堤の建設や拡張といった気候変動に強いインフラへの投資が必要です。また、富裕国が中低所得国を支援として、プライマリー・ヘルスケアに投資し零細農家が食べられるだけの食料を生産できるようにすることです。

ゲイツ氏は、1.イノベーションの供給を増やそう、において、食料生産における気候変動緩和策のイノベーションとして、温室効果ガス排出の24%に相当する農業・森林・土地利用セクターの課題に取り組む必要を訴え、 土壌の炭素貯留の役割や農業生産単位当たり温室効果ガス排出を削減するための化学肥料の有効利用技術の重要性に言及しています。

国際農研も海外の研究機関と共同で気候変動緩和や適応策の開発に取り組んでいます。

*Mission Innovation:COP21にて表明された世界的なクリーンエネルギーのイノベーションを政府および民間が加速的に実現するための誓約。参加国は、オーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、中国、デンマーク、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、メキシコ、ノルウェー、韓国、サウジアラビア、スウェーデン、英国、北アイルランド、アラブ首長国連邦、米国

参照:
4 ways the U.S. can reassert leadership on climate change
https://www.gatesnotes.com/Energy/4-ways-the-US-can-reassert-leadership…

(文責:研究戦略室 金森 紀仁)