生物的硝化抑制(BNI)能を活用した環境調和型農業システムの開発(BNI 活用)

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資源・環境管理

2016-10-05

生物的硝化抑制(BNI)能を活用した環境調和型農業システムの開発(BNI 活用)

 BNIは、生物的硝化抑制(Biological Nitrification Inhibition)の略称で、植物自身が根から物質を分泌し硝化を抑制することを指しています。硝化(硝酸化成)は、ごく限れた微生物(硝化菌)がアンモニア態窒素から硝酸態窒素へと酸化する経路のことで、地球上の窒素循環にとって非常に重要であり、農作物の生産に必要不可欠です。
 現代農業においては、工業的に生産されたアンモニア態窒素肥料や畜産廃棄物等由来の堆肥が農牧地に多量投入されていることから硝化速度は速くなり過ぎており、結果として様々な問題が引き起こされています。硝酸態窒素になると、地下へと流亡しやすくなり水圏環境の汚染を招きます。また、一部は脱窒により強力な地球温暖化ガスであるの亜酸化窒素(N2O)として大気圏に放出されますが、このガスは硝化の途中からも排出されます。施肥された窒素肥料の多くは、農作物等に利用されずに系外へと流出して無駄となるだけでなく、地球環境にも大きな負荷をかけています。
 これらの問題の解決策の一つとしてBNIの活用が強く望まれています。植物の根域土壌の硝化速度を低く維持できれば、植物による施肥窒素の吸収は増加して利用効率が向上し、結果として減肥が可能となるとともに環境問題の解決へとつながります。
 そこで、これまでの知見をもとにBNI能強化品種の開発や農家ほ場でのBNIの効果的利用技術開発に向けて研究を進め、植物自身がもつBNIを活用した農業システムの早急な構築を目指します。具体的には、BNI能を有するコムギの近縁・遠縁野生種からのBNI因子導入によるBNI能強化コムギ系統の作成と評価を行っています。また、ソルガムとブラキアリア牧草でのBNI能強化品種開発のための遺伝学的解析を進めています。さらに、BNIを活用した作物栽培技術開発のための要因の解明を行っています。

BNI活用プロジェクトでの実施内容とその予想効果

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