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開発途上地域農業の温室効果ガス排出抑制とリスク回避技術の開発(気候変動対応)

2017-10-20

開発途上地域農業の温室効果ガス排出抑制とリスク回避技術の開発(気候変動対応)

 農業分野からの温室効果ガス(以下GHG)排出量は、人間活動全体のうち約14%を占めると言われています。特に、温室効果の高いメタンと一酸化二窒素は、人為発生源の半分を農業セクターが占めており、これらガスの排出抑制と農業からの生計の確保とを矛盾することなく両立させる技術の開発が求められています。
 水田においてGHG排出削減の有効性が確認されている節水灌漑技術AWD(alternate wetting and drying)について、更なる普及を目指した技術開発をメコンデルタで行ないます。具体的には、地域で発生する未利用・低利用資源の活用技術とAWDとを組合せ、地域環境・地球環境の改善と農家の生計向上の両立を図ります。また、農家レベルで普及が始まっているバイオガス発生装置(BD)を改良することにより、メタン排出の削減に寄与します。畜産分野では、稲わら等の地域の未利用・低利用資源を活用し、牛生産に由来するGHG排出の抑制技術をタイ、ベトナムで開発します(図1)。
 気候変動への適応技術の開発としては、以下の3つの課題に取り組みます(図2)。1つは、ベンガル湾地域における極端現象による災害被害への適応策の開発と経済評価です。土木的な防災対策を講じることが困難な開発途上地域において、農家経営を災害から守る農作物天候インデックス保険の設計等の適応策を検討するとともに、適応策が被害の軽減に及ぼす効果を調べます。2つ目は、開発途上地域で重要な天水稲作に関する栽培農家の意思決定支援システムの開発です。これまで他の国際機関等と共同開発してきた同システムをさらに改良することにより、天水稲作の生産性向上に寄与します。3つ目は、ミャンマー中央乾燥地での干ばつへの対応力向上を目指した技術の開発です。水源からほ場までの、灌漑プロジェクト全体としての水利用効率向上技術を開発するほか、農家が取り組み可能な節水型営農技術を開発・提案します。

図1 地域内でのGHG排出減技術のつながり

図1 地域内でのGHG排出減技術のつながり

図2 気候変動適応策の検討

図2 気候変動適応策の検討

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