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1559. 食料システムの進捗評価が示す2030年目標とのギャップと2050年への展望
1559. 食料システムの進捗評価が示す2030年目標とのギャップと2050年への展望
Nature Food誌に掲載された研究では、Food Systems Countdown Initiative(FSCI)が設定する44の指標を用いて、食料システムの変革に向けた各国の進捗状況が評価されました。研究チームは、SDGsや国際条約に基づくグローバル目標に加え、各地域・所得層において比較的高い成果を示す国々の実績を基にベンチマークを設定し、各国の現状、2015年以降の進捗、さらに2030年および2050年までに目標達成に必要な改善率を比較しました。
その結果、多くの国では現在の進捗ペースのままでは、2030年までにグローバル目標やベンチマークを達成することが困難であることが示されました。特に、食料不安、健康的な食事へのアクセス、食料システム由来の温室効果ガス排出、児童労働、ガバナンスなどの分野で大きなギャップが残ると分析されています。
一方で、地域別・所得グループ別のベンチマークは、世界目標との距離を把握するとともに、各国の状況に応じた実践的な参照値として活用できることが示されました。ただし著者らは、これらのベンチマークが自然条件や政策実行能力などの違いを十分に反映するものではない点にも言及しています。
栄養・食料安全保障では、飢餓の解消や健康的な食事へのアクセスに関する世界目標との隔たりが依然として大きく、特にアフリカでは、食料不安や栄養不足、健康的な食事を入手できない人口の割合が高いことが課題として示されました。
環境・自然資源・生産分野では、食料システム由来の温室効果ガス排出の削減が大きな課題として挙げられています。著者らは、2030年までの排出削減目標を各国がネットゼロに近づくことと仮定した場合、一部地域では年率70%を超える削減が必要になると試算しており、短期間での達成は極めて困難であると考察しています。また、論文では、日本がアジア地域において複数のテーマで目標やベンチマークに比較的近い国の一つとして紹介されています。ただし、これは日本の特定の環境指標を直接評価した結果ではありません。さらに、アジアでは農業用水利用、農薬使用、コメを含む農産物の生産あたりの温室効果ガス排出量、アフリカでは農業用水利用、畜産物の生産あたりの温室効果ガス排出量、水産資源の持続可能性などが主要な課題として挙げられています。
著者らは、2050年までの長期的な時間軸では達成可能性が高まる指標もある一方で、食料システム変革に向けた進捗の加速が不可欠であると指摘しています。本研究は、明確な目標とベンチマークに基づいて進捗を継続的に評価することが、政策立案や投資の優先順位付けに有用であることを示しています。
(参考文献)
Carducci, B., Schneider Lecy, K., Nordhagen, S., Beal, T., Béné, C., Gonzalez Fischer, C., Herforth, A., Tubiello, F. N., Ambikapathi, R., Arunkumar, K., Campeau, C., Dasgupta, S., DeClerck, F., del Pino Álvarez, I., Guarín, A., McLaren, R., Vivero-Pol, J. L., et al. (2026). Food systems performance evaluated against targets and benchmarks reveals urgent gaps and a path to 2050. Nature Food, 7, 802–812. https://doi.org/10.1038/s43016-026-01379-0
(文責:戦略統括室 飯山みゆき)