カンボジアにおける水田水管理を通じたメタン排出削減 ~国際農研の提案課題がSATREPSに条件付き採択~

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科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)が共同で実施しているSATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)の令和5年度新規採択研究課題(環境・エネルギー分野)として、国際農研の提案課題が条件付きにて採択されました。

科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)が共同で実施しているSATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)の令和5年度新規採択研究課題(環境・エネルギー分野)として、国際農研の提案課題が条件付き*にて採択されました。

本研究では、国際農研がカンボジア国プルサット州で実施してきた水管理による水田からのメタン排出削減についての研究をスケールアップし、社会実装を目指します。また本研究を通じて、「みどりの食料システム戦略」のアジアモンスーン地域への展開にも貢献します。

*相手国機関との実務協議が合意に至り、正式に共同研究を開始できるまでの暫定処置


研究課題名:トンレサップ湖西部水田における広域的水田水管理システムの確立による温室効果ガス排出削減技術の開発と社会実装

研究代表者:農村開発領域 泉太郎プロジェクトリーダー

主要相手国研究機関:カンボジア・王立農業大学

研究課題の概要:
本研究は、日本のODAにより灌漑排水施設が整備されたカンボジア王国プルサット州ダムナック・アンピル灌漑地区を対象に、水源から圃場までの用水と圃場からの排水を含む効率的な水管理システムを構築する。加えて、圃場での湛水と落水を繰り返す間断灌漑技術を導入して、水稲の品質や収量を維持しつつ、メタンの排出削減につながる広域的な「メタン排出削減型水管理システム」を開発する。また、タワー観測やドローンなどのICT活用により、対象地区の水田から排出されるメタンを効率的に測定・報告・検証(MRV)するための方法論を確立する。さらに、その方法論を用いて「質の高い」炭素クレジットを創出し、農家のインセンティブとして活用する手法を開発する。これらの開発した「メタン排出削減型水管理システム」、MRV方法論および「質の高い」炭素クレジットを創出・活用する手法をパッケージ化し、気候変動緩和と農家の生計向上を同時に達成するモデルの構築を目指す。

JSTプレスリリース:https://www.jst.go.jp/pr/info/info1620/index.html
JICAプレスリリース:https://www.jica.go.jp/press/2023/20230518_41.html

 

SATREPSは「科学技術外交」強化の一環として、実施されているプログラムであり、開発途上国のニーズを基に、地球規模課題を対象とした国際共同研究を推進しています。国際農研は、上記の新規採択課題を含めたSATREPSでの活動により、SDGsに積極的に対応すると共に、国際共同研究を通じた地球規模課題の解決を通じて、国際社会に貢献してゆきます。

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