沖縄県石垣市に所在する熱帯・島嶼研究拠点(熱研)では、熱研の研究活動の一端を分かり易く市民のみなさまに紹介し、研究活動を理解していただくとともに研究情報が市民のみなさまの生活の一助になることを期待し、熱研市民公開講座を開催しています。2007年5月に初めて開催した熱研市民公開講座も、今回で49回目となりました。
今回の「森のアイスクリーム チェリモヤ ~石垣島での栽培の可能性~」では、熱帯果樹でありながら暑さに弱いというチェリモヤの特徴、世界の主要なチェリモヤ生産地である南スペインの事例、チェリモヤの京都での施設栽培の事例などを紹介し、石垣島でのチェリモヤ栽培の現状と今後の展望などについて説明しました。これまでに、熱研は世界のさまざまな地域で栽培されているチェリモヤの品種を収集し、現在約30品種を保有しています。今後これらの遺伝資源を活用して、チェリモヤを亜熱帯でも安定して生産できる栽培管理技術の開発や、耐暑性に優れた新品種の育成などが期待できます。今回は、熱研発のパパイヤ品種やパッションフルーツ品種と同様に、チェリモヤについても情報提供することで市民のみなさまの認識を深めることを意識しました。参加した石垣市民43人との質疑応答や意見交換では、チェリモヤの栽培管理方法、栽培時期、果実の食味や風味、石垣での栽培の可能性などについて、活発な質問や意見をいただきました。また、終了後の会場では講師や熱研職員へ追加質問をする参加者もおり、チェリモヤについての情報提供の良い機会になりました。これからも、熱研が保有する熱帯果樹遺伝資源の情報が石垣市内の熱帯果樹生産農家の栽培樹種選択の一助となることを期待しています。
今後とも、熱研の発信する研究情報などが市民のみなさまのために役立つことを希望しております。
なお、下記のとおり、報道されました。
- 八重山毎日新聞2019年12月24日朝刊第7面「チェリモヤの可能性語る 熱帯・島嶼研究拠点 市民講座で松田研究員」
- 沖縄タイムス2020年1月13日朝刊第21面「チェリモヤ栽培に関心 石垣で講座 熱研、展望紹介 世界三大美果の一つ」