JIRCAS生産環境・畜産領域の伊ヶ崎 健大研究員と飛田 哲領域長が、このたび「第25回日経地球環境技術賞優秀賞」を受賞したことが、10月16日に日経新聞で発表されました。本賞は、地球の温暖化、オゾン層の破壊、砂漠化、海洋汚染、廃棄物処理など、いわゆる地球環境問題に関する調査、研究、技術開発について、独自性、将来の有望性や実現性などの観点から評価された業績について授与されるものです。
今回受賞対象となった二氏の業績は「暮らしを支える生業活動を通して実施可能な砂漠化対処技術の開発」で、総合地球環境学研究所 田中樹准教授と京都大学農学部 真常仁志准教授との共同研究により行われたものです。
この研究グループは、砂漠化の原因の一つである風食(風による土壌侵食)を防いで作物の収穫量を増やす新技術「耕地内休閑システム」を開発しました。同技術は、農地に幅約5メートルの、種まきも除草もしない「休閑帯」を設けることで、土壌や有機物がその休閑帯に吹き寄せられ、年ごとに場所を変えると畑全体の収穫量を増やせるというものです。手間や資材、費用がほとんど要らず、西アフリカのニジェールでの実験では風食を7割押さえ、作物の収穫量が3~8割増えることを農家の圃場で実証したことなどが高く評価されました。
本賞の授賞式は、2015年11月6日に東京・大手町の日本経済新聞社で行われました。
参考
- 日経環境技術賞 (日本経済新聞社)
- 西アフリカ・サヘル地域における風食抑制と収量増加を可能にする新たな省力的砂漠化対処技術「耕地内休閑システム」(国際農林水産業研究成果情報 第16号、2008(平成20年度))