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199. フードシステム・イノベーションとSDGsトレードオフ

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情報収集分析

2020年12月、The Lancet Planetary Health誌で公表された論文は、フードシステム・イノベーションと持続開発目標(SDGs)トレードオフについて論じました。 フードシステム・イノベーションは複数のSDGsを同時に達成することも可能ですが、幾つかのSDGsに対してはトレードオフをもたらし、相互連関するグローバル・フードシステムに破壊的な影響をもたらしうる可能性も否定できません。

ほとんどのイノベーションは多くのSDGsに中立あるいは正の影響をもたらしますが、「働きがいも経済成長も:SDG8」、「人や国の不平等をなくそう:SDG10」、「平和と公正を全ての人に:SDG16」に関しては、 しばしトレードオフの結果をもたらすこともあります。とりわけ格差や不正義にかかわる社会的側面への影響に留意し、トレードオフを克服することで真の持続性を達成できるような配慮が必要です。フードシステム転換がもたらす方向性についての十分な検討、重要指標のモニタリング、ローカル・レベルでの科学的ターゲットの実施、等を通じて、トレードオフを回避することは十分に可能です。

トレードオフの問題を回避するには、やはり現場の社会政治経済・環境に配慮した技術開発と介入の設計が必要となります。国際農研は、開発途上国地域の現地情報に関する情報収集提供も行っています。

参考文献

Mario Herrero et al, Articulating the effect of food systems innovation on the Sustainable Development Goals, The Lancet Planetary Health (2020). DOI: 10.1016/S2542-5196(20)30277-1 https://www.thelancet.com/journals/lanplh/article/PIIS2542-5196(20)3027…

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)

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