Pick Up

467. 農業・食料に関するSDGs進捗

関連プログラム
情報

 

467. 農業・食料に関するSDGs進捗報告書

2015年に持続可能な開発目標(SDGs)が採択された後、日本をはじめ世界中でその実施のための体制が整備され、今はその認知度も高くなっています。 

フードシステムの安定性・持続性は、多くのSDGsの達成と関連しています。本日は、昨年9月に公表されたSDGsの食料および農業に関連する指標の進捗状況についてまとめたFAOの報告書「Tracking progress on food and agriculture-related SDG indicators 20211) を紹介します。 FAOは、農村部の貧困と不平等への対応におけるアジェンダ2030に向けた進捗状況をより包括的に把握するため、2021年、SDGsの中でも、とくに1(貧困をなくそう)、2(飢餓をゼロに)、10(人や国の不平等をなくそう)を柱とする新たな戦略フレームワーク「FAO’s Strategic Framework 2022-31」2) を採択しており、本報告書で初めて、食料と農業に重要な意味を持つ指標を選んで議論しています。

報告書の中で、私たちが置かれている状況について、以下の点を挙げています。
 

  • COVID-19の大流行により、2020年さらに8,300万人から1億3,200万人が慢性的な飢餓状態に追い込まれる可能性
  • 全体として、食料と農業の領域での進展は依然として不十分
  • 収穫後に農場および輸送、貯蔵、加工段階で失われるフードロスの割合は、世界全体で13.8%
  • 小規模および大規模な食料生産者間の収入と生産性には格差
  • 植物遺伝資源の世界的な保有量の増加率は、過去10年間で鈍化
  • 一般食料価格が高いまたは中程度に高い国の割合は、2020年に急増
  • 世界の水ストレスは18.4%と安全圏だが、西部・北部アフリカや南部アジアなどの特定の地域では、70%以上という極めて高い水ストレスレベル
  • 小規模漁業のアクセス権を保護する規制・制度的枠組みや、違法・無報告・無規制(IUU)漁業問題対応の国際文書化において、世界的に進展
  • 世界の森林面積は2000年の31.9%から2020年には31.2%に減少
  • 緑で覆われる山地面積は、世界的に安定した水準で推移

本報告書ではさらに、食料・農業分野におけるSDGsへの民間セクターの貢献度を測定するための特別章も設けています。SDGsのアジェンダの中で、具体的な役割がまだ十分に定義されていない重要なアクターは民間企業であるため、国家間で民間の貢献を比較可能にする測定法に関する新しいガイダンス「Guidance on core indicators for agrifood systems -Measuring the private sector’s contribution to the Sustainable Development Goals-」3)について触れています。

 

参考文献:
1) Tracking progress on food and agriculture-related SDG indicators 2021. https://www.fao.org/3/cb6872en/cb6872en.pdf
2) Strategic Framework 2022-31. https://www.fao.org/3/cb7099en/cb7099en.pdf
3) Guidance on core indicators for agrifood systems -Measuring the private sector’s contribution to the Sustainable Development Goals-. https://www.fao.org/3/cb6526en/cb6526en.pdf

関連Pick Up:

 

(文責:情報広報室 金森 紀仁)


 

関連するページ