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1551. 強いエルニーニョへ発達の見通し:世界で高温と降水パターンの変化に警戒強まる

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1551. 強いエルニーニョへ発達の見通し:世界で高温と降水パターンの変化に警戒強まる

 

世界気象機関(WMO)は2026年7月31日、熱帯太平洋で発達中のエルニーニョ現象について、8月以降に強まり、世界の広い範囲で平年を上回る気温と降水パターンの大きな変化をもたらす見通しを発表しました。WMOは、今後3か月は多くの地域で高温傾向が続くほか、地域によって洪水リスクや干ばつリスクが高まると警告しています。

既報のとおり、研究者らは今回のエルニーニョが過去150年以上で最大規模となる可能性を指摘しており(JIRCAS Pick Up 1548)、今回のWMO予測は、その影響が今後数か月で顕在化する可能性を示しています。WMOによると、複数の国際気候モデルは、エルニーニョ監視海域における海面水温偏差が季節平均で2.9℃を超え、強いエルニーニョの水準に達すると予測しています。さらに、インド洋ダイポールモード(IOD)が正の位相へ移行する可能性も示されており、これらの海洋現象が重なることで、インド洋周辺地域を中心に干ばつ、洪水、森林火災リスクが高まるおそれがあります。

気温については、アフリカ、南ヨーロッパ、アラビア半島、インド亜大陸、東アジア、中米・カリブ海地域、南部アフリカ、南米の広い範囲、ニュージーランドなどで、平年を上回る気温が予測されています。WMOは、陸上の気温について、ほぼ世界全体で平年より高くなる見込みだとしています 。

降水については、中央・東部赤道太平洋、アフリカの角地域(Horn of Africa)、中央アジア、南ヨーロッパ、北米西部の一部、南米南東部で平年より降水量が多くなる傾向が見込まれています。一方、インド亜大陸、オーストラリア南部・東部、中米南部、カリブ海地域の一部、南米北西部、北ヨーロッパでは少雨傾向が予測されており、これは強いエルニーニョ発生時に典型的に見られる降水パターンと一致しています。

WMOは、エルニーニョ自体は自然に発生する気候現象である一方、現在は世界の海洋が記録的な高温状態にあり、その影響が増幅される可能性があると指摘しています。これに関連して、国連のアントニオ・グテーレス事務総長はWMOの発表の中で、「エルニーニョはもはや私たちの家の前に来ているだけでなく、すでに家の中に入り込み、さらに熱を強めている」と述べるとともに、化石燃料への依存からの脱却と気候変動対策の加速を呼びかけました。

WMOは、今回の予測が各国政府や農業、防災、保健、人道支援機関にとって、対策を講じるための重要な準備期間になるとして、気候情報の活用と早期警戒体制の強化を呼びかけています。世界各地で異常高温や極端気象が続く中、エルニーニョの発達は今後数か月の気象、防災、農業、保健、人道支援、食料安全保障に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、UN Newsは7月30日、エルニーニョの影響が東部・南部アフリカで特に深刻になる可能性があると報じました。記事によると、東アフリカでは洪水や地滑り、南部アフリカでは干ばつや農作物被害が懸念されています。また、食料不足や栄養不良、水系感染症の拡大などのリスクも高まる可能性があります。国連機関は、事前の現金給付、耐乾性作物の普及、早期警報システムの強化など、「予測に基づく行動(anticipatory action)」を通じて被害軽減に取り組んでいると報じています。

 

(参考文献)
World Meteorological Organization (2026). Strong El Niño expected to intensify as much of the world faces above normal temperatures and major changes in rainfall patterns (31 July 2026).
https://wmo.int/news/media-centre/strong-el-nino-expected-intensify-muc…

United Nations News (2026). El Niño is putting millions of lives at risk in eastern and southern Africa, but the UN is helping communities prepare (30 July 2026).
 https://news.un.org/en/story/2026/07/1169261

(文責:戦略統括室 飯山みゆき)
 

 

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