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1548. 観測史上最大級のエルニーニョとなる可能性―2027年は過去最高気温更新の見通しも
1548. 観測史上最大級のエルニーニョとなる可能性―2027年に過去最高気温更新の見通しも
科学誌Natureに掲載されたニュース記事(Dinneen, 2026)によると、米国の研究機関Berkeley Earthなどに所属する研究者らは、2026年に発生したエルニーニョ現象について、過去150年以上の観測史上で最大規模となる可能性があると指摘しています。同記事では、熱帯太平洋の海面水温偏差が、2015~2016年の記録的なエルニーニョを上回る可能性があると報じられています。さらに、人為起源の温暖化と重なることで、2027年の世界平均気温が観測史上最高を更新する可能性があるとされています。
また、米国海洋大気庁(NOAA)の見通しとして、2026年中に「非常に強い」エルニーニョに発達する可能性が高く、その状態が2027年春頃まで持続する可能性があると報告されています。これらを踏まえ、研究者らは2027年の世界平均気温が産業革命前比で約1.7℃程度上昇する可能性にも言及しており、パリ協定の1.5℃目標に極めて近い水準となることへの懸念が示されています。
一般に、エルニーニョは熱帯太平洋の海面水温と大気循環の自然変動であり、世界各地の気候に影響を及ぼします。過去の研究では、熱波、干ばつ、洪水、森林火災などの異常気象の発生リスクを高めることが知られています。さらに、1997~1998年の強いエルニーニョに関しては、その後の世界経済に約5.7兆ドル規模の損失をもたらしたとの推計が報告されています。また、今回のような大規模事象についても、2030年代初頭までに最大で約10兆ドル規模の経済損失つながる可能性があるとの研究結果が紹介されています。
加えて、海洋生態系への影響も懸念されています。海水温の上昇はサンゴ礁の白化を促進するほか、海洋や陸域生態系による二酸化炭素吸収量の低下を招く可能性があるとされています。
一方で、今回のエルニーニョが一時的な自然変動の範囲にとどまるのか、あるいは気候変動の影響により強度や発生頻度が変化している兆候の一部であるのかについては、現時点で科学的な見解は一致していません。多くの気候モデルは、温暖化の進行に伴い今世紀後半に強いエルニーニョの発生頻度が増加する可能性を示していますが、観測データからその傾向を明確に確認するには至っていないとされています。
以上のように、本記事で紹介した研究および報道は、自然変動と人為起源が重なることで、極端気象や社会・経済への影響が一層拡大する可能性を示唆しています。
(参考文献)
Dinneen, J. (2026). This El Niño is set to be the largest on record by a ‘mind-blowing margin’. Nature News.
https://doi.org/10.1038/d41586-026-02293-y
(文責:戦略統括室 飯山みゆき)