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1561. 観測史上最大級となる可能性があるエルニーニョと世界の気象リスク
1561. 観測史上最大級となる可能性があるエルニーニョと世界の気象リスク
英国気象庁(Met Office)は2026年8月21日、現在発達しているエルニーニョ現象について、近年では例のない規模となり、19世紀以降で最大級の現象となる可能性があるとの見通しを公表しました。Met Officeの予測では、エルニーニョの強さを評価する代表的な指標の一つであるNino3.4海域(赤道太平洋の西経170度~120度、南緯5度~北緯5度)では、今後数か月で海面水温が平年より3℃を超える可能性があるとされています。
Met Officeによれば、通常のエルニーニョ現象では海面水温の上昇が1~2℃程度であり、2℃でも非常に大きな現象に相当すると説明しています。そのうえで、今回の予測値が現実となれば、近年に経験してきたエルニーニョの規模を大きく上回る可能性があると述べています。
エルニーニョは、熱帯太平洋の海面水温の上昇を通じて大気の循環に影響し、世界各地の降水量や気温の偏りをもたらします。Met Officeは、すでに降水量が平年を下回っているインドの夏季モンスーンに加え、中米、西太平洋の島嶼国、熱帯南米などで少雨となるリスクが高まる可能性を指摘しています。また、エルニーニョの影響が冬に向けて強まるにつれ、南部アフリカやオーストラリア北東部でも干ばつリスクが高まる可能性があるとされています。
一方、同記事によれば、エルニーニョは大西洋熱帯域の風の状態を変化させることで、ハリケーンの発生を抑制する方向に作用するとされています。ただし、ハリケーンの発生数が少ないとしても、大規模なハリケーンが一つ発生すれば甚大な被害につながり得るため、リスクが小さくなるわけではありません。Met Officeは、北西ヨーロッパや英国では、2026年秋から初冬にかけて降雨や暴風の発生確率が高まるとの見通しを示しています。
さらに、大規模なエルニーニョでは海洋に蓄積された熱が大気へ放出されるため、地球全体の平均気温が上昇しやすくなります。Met Officeは、エルニーニョが冬季にピークを迎えた翌年にその影響が顕著になるとしており、2027年には2024年を上回る観測史上最も暑い年となる可能性が高く、産業革命前と比べた世界平均気温が一時的に1.5℃を超える年となる可能性にも言及しています。
今回の予測は、人為起源の気候変動による長期的な温暖化に加え、エルニーニョのような自然起源の気候変動が重なることで、各地の気象リスクが一段と増幅され得ることを示唆しています。特に、農業生産、水資源、防災、食料安全保障に関わる地域では、世界規模の季節予報だけでなく、各地域の気象機関等が発表する予報・警報を継続的に確認し、干ばつ、洪水、熱波、熱帯低気圧等に備えた早期対応を進めることが重要と考えられます。
(参考文献)
Grahame Madge, “An ‘unprecedented’ El Niño and its implications for the weather forecast,” Met Office, 21 August 2026. https://www.metoffice.gov.uk/blog/2026/an-unprecedented-el-nio-and-its-…
(文責:戦略統括室 飯山みゆき)