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80. NASA報告 & Climate Change論文: 世界・南極において観測史上最高気温

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アメリカ航空宇宙局(NASA)は、19世紀以来の気温上昇現象が2000年以降さらに加速し、2020年は観測史上最も暑い年になる見込みであると発表しました。データジャーナリストであるKatharina Buchholz氏は、世界経済フォーラムHPのブログにてNASAが公表した図に言及し、2020年5月は1800年以来の平均気温よりも1.5℃高く、気温の急上昇は地球にとって壊滅的な影響をもたらしかねないと警鐘を鳴らしました。NASAとアメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、2020年2月~4月は、観測史上2番目に暖かく、2020年1月と5月は2016年水準(2、3、4月に関して観測史上最高値を記録した)に達しました。NOAA研究者らは既に2020年は観測史上最も暑い年となる見込みであると予測しています。今のところ、地球の平均気温から最も乖離した値を記録したのは2016年です(1980~2015年を基準として)。2019年も本当に猛烈に暑い年でしたが、現在歴代2位につけています。2019年7月は、地球で観測された月別気温で最高値を記録しました。地表近くの気温に関する世界的なデータは、陸上の気象基地と海上の船舶・浮標・衛星測定値等から集められています。研究によると、地球温暖化の進行は、異常気象の強度・頻度・被害規模・継続期間に変化をもたらすことが予測されています。

2020年6月29日にNature Climate Change誌で公表された論文(Clem et al.)では、過去30年間、南極は世界平均値よりも3倍以上の温暖化を経験しており、10年ごとに0.61 ± 0.34 °Cの気温上昇の進行が統計的に有意であると確認されました。著者らは、気候モデル実験等を複数用い、近年の温暖化が自然変動シミュレーションの上限に達していることを示しました。この温暖化は、太平洋熱帯地域西部での海水温上昇によって引き起こされたウェッデル海におけるサイクロン的異常事象に起因します。この循環は、南極振動の正極性と合わせ、南大西洋から高温多湿の空気を南極内地に移流します。これら結果は、南極大陸内地の気候と熱帯気候の変動が密接に関連していることをはっきりと示しています。さらに、本研究は、21世紀にはいり人為的な温暖化のシグナルを覆い隠してきた南極大陸内地において、大気の内部変動が地域レベルでの極端な気候変動を誘引することを示唆しています。

参考文献

NASA GISS Surface Temperature Analysis (v4) https://data.giss.nasa.gov/gistemp/graphs/

World Economic Forum. 2020 is predicted to be the hottest year on record, according to NASA 02 Jul 2020 Katharina Buchholz https://www.weforum.org/agenda/2020/07/earth-climate-change-nasa/

Clem, K.R., Fogt, R.L., Turner, J. et al. Record warming at the South Pole during the past three decades. Nat. Clim. Chang. (2020). https://doi.org/10.1038/s41558-020-0815-z 

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)