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457. CGIARの50年史から展望するグローバルフードシステムの転換

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457. CGIARの50年史から展望するグローバルフードシステムの転換

先日、JARQのCGIAR特集号がオンライン公表されました。 

今回特集号に掲載された論文『Changing Agendas of CGIAR’s International Agricultural Research』は、過去50年間、CGIARが国際農業研究をリードしながら、時代とともに移り変わる地球規模課題に合わせてミッションを転換し、組織変革を行ってきた経緯についてレビューしています。

1971年にCGIARが4つの国際研究機関(IRRI, CIMMYT, CIAT, IITA)を中心に誕生した当時、国際社会のアジェンダは開発途上国における飢餓の撲滅にあり、CGIARの研究は主食作物の生産性向上が中心でした。しかし時代の移り変わりとともに、CGIARの研究対象も、生物多様性や環境保全、貧困やジェンダーなどの政策課題へと範囲を拡大し、それに応じて加盟研究機関も増えていきました。

他方、グローバルフードシステムのもとで食料・栄養や土地や土壌・水資源等の問題が密接な結びつきを強めていく中、農業による活動によって地球が持続性の限界を超え、気候変動や生物多様性の喪失をもたらす要因になっているとの認識が高っていきます。これに合わせ、CGIARも21世紀における小規模農民の直面する課題に効果的に取り組むために、研究機関同士の垣根を超えた研究連携の在り方を模索してきました。気候変動における食料栄養安全保障・地球環境問題へのシステム・アプローチの重要性が世界的に認識される中、この2022年からOne CGIARとしてフードシステムの課題に取り組むことになっています。

本論文は、過去50年間を幾つかの年代に区切り、日本の貢献にも言及しながら、CGIARのミッション及び組織沿革の変遷を地球規模課題に位置付けて振り返ります。国際農業研究をリードしてきたCGIARのミッション及び組織沿革の変遷を地球規模課題に位置付けることで、食料栄養安全保障を決定づけてきた要因の変化を振り返り、フードシステム転換の将来を展望します。

(参考文献)
Norihito KANAMORI, Miyuki IIYAMA Changing Agendas of CGIAR’s International Agricultural Research.  Japan Agricultural Research Quarterly vol. 55 Special Issue. https://www.jircas.go.jp/ja/publication/jarq/20ss17

(文責:情報広報室 金森紀仁、情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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