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369. 気候変動用語の一般人向け解説の必要性

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369. 気候変動用語の一般人向け解説の必要性

2020年10月、日本政府が2050年までに脱炭素化を宣言した後、気候変動への対応が社会の在り方を大きく変えようとしており、関連ニュースも多く報道されるようになっています。しかし、専門家の使用する気候変動関連の用語はしばし一般人には馴染み難いという問題があります。

南カリフォルニア大学などが行った調査は、研究者が気候変動を説明する際に使う用語は非常に複雑すぎて、一般のアメリカ人が理解するのに苦労しており、よりシンプルな代わりの言葉を欲しているという結果を示しました。 調査では、参加者にIPCC報告書から選ばれた次の8つの用語についての難しさについて格付けをしてもらったそうです。

これらのうち、最も理解しづらいとランクされたのが「緩和」で、最も理解しやすいとされたのが「突然の変化」でした。

参加者はまた、代替的な定義を提案するよう求められました。例えば、IPCCの定義では、転換点(臨界点)’tipping point’は、気候システムにおいて不可逆的な変化、と訳されますが、回答者の一人は「既に手遅れ、今更どうしようもないtoo late to fix anything」を提案したとのことです。

調査を行った研究者は、回答者が通常シンプルかつエレガントな代替案を提案していることに言及し、気候変動が複雑な問題であっても、わざわざ複雑な用語を用いてより複雑にする必要はないということだ、としています。また別の研究者は、対策への支持を広く獲得するには、一般の人が理解可能な普段使いの言葉を用いて、気候変動への危機についてより分かりやすい方法でコミュニケーションする必要を訴えました。

ちなみに、「緩和」とは、気候変動の原因となる温室効果ガスの排出を削減し、気候変動の進行を緩やかにすることを指します。気候変動緩和にはイノベーションが重要な役割を果たすことが期待されていますが、国際農研の環境プログラムでも、温室効果ガスである亜酸化窒素や、メタンの削減技術など、有望技術の開発と有効性に関するエビデンスを集めています。

また、気候変動による気象・気候の変化に対し、環境ストレスに対応可能な品種の育種や栽培技術の開発を加速していく必要も生じます。食料プログラムは、生産性・持続性・頑強性向上技術の開発を通じ、気候変動への「適応」に貢献しています。

そして情報プログラムでは、気候変動や世界の食料栄養問題、フードシステムの課題など、地球規模課題に関する情報発信において、わかりやすい解説を試みていきます。

 

参考文献

Wändi Bruine de Bruin et al, Public understanding of climate change terminology, Climatic Change (2021). DOI: 10.1007/s10584-021-03183-0

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)