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345. カウンティング・カーボン―温室効果ガス排出・吸収計測の方法

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345. カウンティング・カーボン―温室効果ガス排出・吸収計測の方法


昨今、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量を差し引いてゼロを達成することを意味する、「カーボンニュートラル」が話題となっていますが、そもそも、温室効果ガスの排出・吸収はどのように計測されているのでしょうか。


まず、各国による毎年の温室効果ガス排出の報告にもとづいた排出量と地球のカーボン吸収力推計値を比較する方法を、ボトムアップ・アプローチというそうです。


一方、衛星観測により、宇宙から大気中の温室効果ガスの量を測り、大気・海洋中の排出源と吸収源をたどる方法をトップダウン・アプローチと呼びます。


人類による土地利用(主に農業)は、温室効果ガス排出の4分の1を占める一方、森林は地上での最大の吸収源です。また、森林火災・山火事が大気へのカーボン排出源となる一方、海洋の植物プランクトンは重要な吸収源の役割を果たします。


ボトムアップとトップダウンの双方のアプローチを用い、観察値とモデル推計値を組み合わせることで、温室効果ガス排出源推計の精緻化を向上させ、農業・化石燃料からのカーボン排出を自然プロセスと区別することが可能になります。


気候変動抑制に関する多国間の国際的な合意であるパリ協定では、産業化以前と比べて気温上昇を1.5℃に抑えるべくゴールを設定しています。これをカーボン・バジェット(予算)としてとらえると、温暖化を1.5℃以下に抑えるには二酸化炭素換算の温室効果ガスを排出する余地は17%相当ということで、現在の排出スピードでは10年しか残されていないことを意味します。 欧州宇宙機関(European Space Agency)が作成したビデオに、わかりやすく示されています。 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

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