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213. 気候変動適応策の整備の必要性

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2021年1月14日、国連環境計画は、気候変動適応策の進展とさらに必要とされる行動について報告する「Adaptation Gap Report 2020」を公表しました。

2020年は史上最も暑い年の一つとなり、世界で5000万人以上が洪水・干ばつ・嵐・山火事の影響を受けました。気候変動緩和策とともに、これまで以上に各国が気候変動適応策をとる必要性が高まっています。多くの国は気候変動適応策を政策や計画に取り込むようになっていますが、コミットメントの程度や具体策の有無については国ごとに大きく異なります。報告書は、とりわけ、自然環境・生物多様性保護など自然に基づく解決策(nature-based solutions)が気候災害への適応策として重要な役割を果たすことを強調しました。

適応策の絶対的な費用は先進国での方が高くなりますが、金融・技術・人的キャパシティに制約のある途上国の方が対GDP比の負担が深刻です。適応策を講じることで、将来の深刻な危機を回避することができ、その便益は適応策実施費用を上回るとされています。2019年の報告書によると、早期警告システム、気候に強靭なインフラ、乾燥地域農業の向上、マングローブ林保護、強靭な水資源管理システム等への1.8兆ドルの投資は、気候変動の壊滅的な影響を回避し、社会・環境便益によって、7.1兆ドルのリターンをもたらすと推計されました。


適応策実施のための金融オプションは少しずつ増えているものの、十分ではありません。途上国における適応費用は現在年あたり700憶ドルですが、気候変動のペースを踏まえれば、2030年には1400-3000憶ドル、2050年には2800-5000憶ドルに達すると想定されています。


今後の気候変動のもとで、世界の食料栄養安全保障を維持するには、多少の異常気象や気温変化であれば耐えきれる強靭(レジリエント)な農業システムの開発が重要となります。国際農研は、開発途上国において、持続的な農業システム構築に貢献するための自然資源管理技術や、不良環境において適応可能な作物開発技術などの開発を行っています。

参考文献
United Nations Environment Programme (2021). Adaptation Gap Report 2020. Nairobi. https://www.unep.org/resources/adaptation-gap-report-2020

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)