未来科学人材アカデミー第13回:作新学院高等学校の1年生が国際農研を訪問

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令和7年10月9日(木)、作新学院高等学校の1年生36名を国際農林水産業研究センター(JIRCAS)に迎え、未来科学人材アカデミー第13回講座を開講しました。

未来科学人材アカデミー

令和7年10月9日(木)、作新学院高等学校トップ英進部・英進部の1年生36名を国際農林水産業研究センター(JIRCAS)に迎え、「未来科学人材アカデミー」第13回講座を開催しました。同校では、「科学技術や理科・数学への興味・関心を育み、自然への知的好奇心や探究心を高め、論理的思考力や創造力を備えた人材の育成」を目的にSSA(スーパーサイエンスアカデミー)を推進しており、今回の訪問はその一環として実施されました。

講座の冒頭では、JIRCASの研究活動や国際共同研究の概要を紹介し、世界各国のパートナーと協力して進める農林水産分野の研究が、日本に住む私たちの食や生活にどのように貢献しているかを説明しました。特に、日本の食料生産の現状や国際的な食料生産・流通にも焦点を当て、日本が開発途上国での研究や技術開発への協力を進める意義について、生徒自身が考える機会を提供しました。

続いて、生物資源・利用領域の小賀田拓也主任研究員による「食料生産と植物科学」と題した講義が行われました。講義では、まず自身のキャリアパスについて紹介がありました。高校3年生のときに見た「遺伝子」をテーマにしたドキュメンタリーがきっかけでバイオテクノロジーに興味を持ち、研究の面白さに惹かれて博士課程まで進んだ経緯や、JIRCAS入所後に世界を視野に入れた研究者が多くいることに驚いた経験などが語られました。

また、小賀田主任研究員らのチームが現在展開している南米ボリビアを中心した研究活動について紹介しました。南米はジャガイモやトマトなどの主要な作物の原産地でもありますが、JIRCASでは同様に南米を原産地とするキヌアについての研究を進めています。

タンパク質やビタミンが豊富という優れた栄養特性を持ち、スーパーフードとして注目されるキヌアは、標高が高く乾燥したボリビアの厳しい環境でも栽培可能な特徴を有しています。小賀田主任研究員からは、環境ストレスへの応答反応に着目したキヌアの特性の解析を通じて、ゲノム編集を活用したレジリエンス強化型作物の育成や、過酷な環境下で特性を発揮する未利用作物の活用など、多様なアプローチを行っていることが紹介されました。例として、ベタレイン色素合成遺伝子や、緑の革命遺伝子(矮性化遺伝子)の活用可能性が紹介され、さらに今後は早期開花に関わる遺伝子の理解を深め、育種への応用を目指していることも熱意を込めて語られました。

今回の訪問を通じて、生徒たちは科学の可能性、研究の社会的意義、そして国際協力の重要性について理解を深め、自身の進路や将来の目標について考える貴重な機会となりました。今後も、未来の科学人材の育成に向けて、研究現場に直接触れる機会を提供し、科学技術への興味・関心をさらに高めていきたいと考えています。

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