令和7年7月23日(水) 、未来科学人材アカデミー第5回プログラムとして、静岡市立高等学校科学探究科2年生15名がJIRCASを訪問しました。
令和7年7月23日(水) 、未来科学人材アカデミー第5回プログラムとして、静岡市立高等学校科学探究科2年生15名が国際農研(JIRCAS)を訪問しました。
同高校では、最先端の科学技術についての学びや研究者との交流や施設見学を通して、科学的視野を広め、生徒の進路意識の高揚を図るために、科学探究科2年生を対象に科学研修を実施しています。今回のJIRCAS訪問はその一環であり、国際的な研究活動の現場に触れる貴重な機会となりました。
訪問当日は、まずJIRCASの研究活動や国際共同研究の概要について紹介し、世界各国のパートナーと協力して進める研究が社会にどのように貢献しているかを説明しました。また、今後ますます重要性を増す国際的な農林水産業研究に携わる科学人材の育成についても一緒に考える時間を設けました。
続いて、池浦弘主任研究員(農村開発領域)による講義「空気の中の水を集める ― 世界の水と農業、“身の回りの水”のことを考えてみよう ―」を行いました。講義では、農業に適した水が不足する乾燥地での農業生産向上を目指し、空気中の水分、すなわち“水蒸気”を集めて農業用水として再利用する技術開発について紹介しました。
冒頭では、生徒たちとともに日常的に使用している水について改めて考え、地域によって利用可能な水の量に大きな差があることを確認しました。その後、乾燥地における水資源の制約と、水蒸気が結露する仕組みを応用して淡水を作り灌漑に利用する技術について具体的な事例を交えて説明しました。
説明の後には生徒たちから多くの質問がありました。生徒たちは、理科の授業で学んだ温度・湿度・飽和水蒸気量などの知識が、実際の研究や技術開発に活用されていること、ビニルハウスとパイプで作った簡易な装置でも予想以上に多くの水が得られることに驚きと興味を示していました。また、「世界の国々が食料の輸出入を通じてつながっており、それぞれの取り組みが相互に影響していることに気づいた」といった感想も寄せられました。
今回の訪問を通じて、生徒たちは科学技術の社会的意義や国際協力の重要性を再認識し、自身の進路や将来の目標について考える貴重な機会となったようです。
今後も、未来の科学人材の育成に貢献できるよう、研究現場に直接触れる機会を提供し、科学技術への興味・関心をさらに深めていきたいと考えています。