研究成果情報 - ブルキナファソ
国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
- 土壌型プリンソソルにおけるササゲ栽培では施肥と密植による増収効果が高い(2023)西アフリカのスーダンサバンナでは2つの土壌型(リキシソルとプリンソソル)の圃場が農家内で混在することが多い。プリンソソルは低肥沃であるが、施肥や密植によるササゲの増収効果がリキシソルよりも高く、両者を組み合わせるとより効果が高い。施肥を元肥と追肥に分けた場合、同量を元肥のみで施用する場合よりも収量が増加する。農家内で土壌が混在する場合、プリンソソルへ施肥や密植を優先することで総収穫量の増加が見込める。
- スーダンサバンナの栽培データを用いて気候変動がササゲ栽培に及ぼす影響を推定(2023)西アフリカのスーダンサバンナにおける詳細な栽培データを基にしたササゲの収量予測では、気候変動により今後30年間で降雨量が増すため、保水性の高い土壌(リキシソル)では多雨年にササゲの過湿害が深刻化する。一方、保水性の低い土壌(プリンソソル)では、引き続き干ばつが主な収量低下リスクとなる。半乾燥地であっても土壌型に応じて、干ばつだけでなく過湿害への対策が必要である。
- スーダンサバンナの栽培データを用いて気候変動がササゲ栽培に及ぼす影響を推定(2023)西アフリカのスーダンサバンナにおける詳細な栽培データを基にしたササゲの収量予測では、気候変動により今後30年間で降雨量が増すため、保水性の高い土壌(リキシソル)では多雨年にササゲの過湿害が深刻化する。一方、保水性の低い土壌(プリンソソル)では、引き続き干ばつが主な収量低下リスクとなる。半乾燥地であっても土壌型に応じて、干ばつだけでなく過湿害への対策が必要である。
- 統合環境制御と補光の併用は亜熱帯地域のイチゴ生産を増収させる(2023)高温多湿な亜熱帯地域においても統合環境制御システムを用いることにより、イチゴの収穫量は国内平均と同程度に増加する。また日射量が少ない冬季や雨季においては、環境制御に加えて日中にLED補光することで収穫量は増加し果実糖度も向上する。
- サトウキビとエリアンサスの属間交配によりサトウキビ根系特性の改良が可能である(2023)
エリアンサスは、乾燥ストレス耐性と関連する深根性やリグニンの根への沈着が多い特性を具えるサトウキビの近縁属遺伝資源である。サトウキビとエリアンサスの属間雑種F1は、サトウキビより土壌深層の根長密度が大きく、根のリグニン含量が多いことから、エリアンサスをサトウキビの育種に利用することで、サトウキビの乾燥ストレス耐性に関連する根系特性の改良が可能である。
- ベトナム肉牛ふん天日乾燥過程における温室効果ガス排出係数(2022)
ベトナム南部の肉牛農家は主に天日によりふんを乾燥処理する。その過程における温室効果ガス排出は単位有機物及び初発単位窒素あたりそれぞれCH4: 0.295 ± 0.078 g kg−1 VS、N2O: 0.132 ± 0.136 g N2O-N kg−1 Ninitialであり、当該国当該処理区分における温室効果ガス排出係数として活用できる。天日乾燥処理により、ふん中微生物によるメタン代謝が大きく低減し、メタンは乾燥初期にのみ排出される。
- タイ肉牛生産過程における温室効果ガス排出の包括的評価(2022)
タイ肉牛飼養過程およびふん尿堆積過程におけるメタン排出はそれぞれ6.87%GEI(総エネルギー摂取量), 0.68%GEI程度であり、堆積ふんへの稲わら混合(重量比5%)は有機物分解を促進し、メタン排出ピーク及びメタン生成古細菌によるメタン代謝を低減するが、総温室効果ガス排出量に与える影響は限定的である。
- 東南アジア肉牛反芻胃由来メタン排出推定式(2022)
東南アジアにおける肉牛反芻胃由来メタン排出量は、乾物摂取量、飼料成分(中性デタージェント繊維)、体重を説明変量に用いた推定式により、現行推定方法よりも高精度で簡易に推定できる。
- 東南アジア肉牛反芻胃由来メタン排出推定式(2022)
東南アジアにおける肉牛反芻胃由来メタン排出量は、乾物摂取量、飼料成分(中性デタージェント繊維)、体重を説明変量に用いた推定式により、現行推定方法よりも高精度で簡易に推定できる。
- 東南アジア肉牛反芻胃由来メタン排出推定式(2022)
東南アジアにおける肉牛反芻胃由来メタン排出量は、乾物摂取量、飼料成分(中性デタージェント繊維)、体重を説明変量に用いた推定式により、現行推定方法よりも高精度で簡易に推定できる。
- 三期作を通じた間断かんがいは農家の利益向上と温室効果ガス削減に貢献(2022)
三期作(通年)を通じた調査は作期による栽培管理、生産費用、収量や販売価格の違いを考慮した評価を可能にする。これらを考慮した評価によると、ベトナム・メコンデルタにおいて、間断かんがい(AWD)三期作実施農家はAWD導入により利益を6%上げながら、温室効果ガス排出量を38%削減できる。農家の利益を向上しつつ、気候変動緩和・適応に貢献するコベネフィットな技術としてアジアモンスーン地域への展開が期待される。
- バリ島の水利組合(スバック)の資源配分における価値観の変化をゲーム理論で予測(2022)
バリ島の水利組合(スバック)を対象に、エージェントベースモデルとゲーム理論を組み合わせた手法により資源利用における価値観を分析すると、協力関係の維持に価値が置かれている現在の資源配分が、労働資源の減少の進行に伴う価値観の変化によって、非協力的な資源配分になると予測される。
- フタバガキ科樹種Shorea leprosulaの成長特性の地域個体群間差(2022)
異なる産地の個体を共通の環境で栽培して特性を評価するコモンガーデン試験により、東南アジア地域の有力な林業樹種の一つであるShorea leprosulaの伸長成長とカイガラムシ耐性の地域個体群間差が検出できる。得られる知見は、S. leprosulaの植栽木としての優良個体を探索する際の手がかりとなる。
- 葉脈の構造は熱帯林樹木の葉の丈夫さと光合成能力に関係している(2022)
熱帯林樹木の葉脈構造は、葉を光に透かせば判別でき、その構造は葉の丈夫さと光合成能力に関係している。葉を光に透かした際に、葉脈網が明瞭な樹木は葉が丈夫で明るい環境で光合成が高く、不明瞭な樹木は暗い環境での光合成に有利であったことから、葉脈構造は、樹木の機能的特性の簡便な指標としての利用が期待される。
- カットソイラーによる浅層暗渠は土壌塩分を軽減する(2022)
日本で開発されたトラクターアタッチメント「カットソイラー」による浅層暗渠は、排水不良に伴う土壌塩類化の軽減に貢献する。インド北部のヒンドゥスターン平野において、同手法は土壌塩分を施工から4ヵ月後に8%、1年4ヵ月後に32%減少させる。
- ヤムイモの収量は個体の性別と開花日に強く影響を受ける(2022)
ヤムイモは雄株と雌株に分かれるが、開花日がイモ肥大期よりも早い場合には遅い場合と比べてイモ収量が高くなり、さらにその増加程度は雄株よりも雌株で大きい。雌株や開花日が早い系統を交配親に用いるとともに、そのような系統を選抜することで、収量改善に向けた品種育成を効率的に進めることができる。
- ミャンマー南部ミエック近海における食用熱帯カキの産卵期(2022)
ミャンマー南部に位置するミエックの近海では、食用熱帯カキは周年成熟しているが、10~11月と4~5月に主な産卵期がある。食用熱帯カキの天然採苗をこれらの時期に行うことで、採苗の効率化が期待できる。
- アジアの伝統野菜ヒユナの多様性の解明と育種基盤の構築(2022)
アジアで伝統的な葉物野菜として利用されるヒユナの遺伝的多様性を解析し、品種育成に有用な5,638個の一塩基多型マーカーとコアコレクションを作出した。これらの成果を利用することにより、栄養価・食味・収量などが改善された新しいヒユナ品種の開発が期待される。
- ゲノム予測モデルを用いた亜鉛強化米育種のための有望系統の同定(2022)
マダガスカルの農家圃場での観測値と一塩基多型情報をもとに構築されたゲノム予測モデルにより、国際稲研究所のジーンバンクに保存された3,024系統の玄米の亜鉛含量は系統間で17.1~40.2 mg kg-1の変異を持つと推定される。同モデルで3,024系統から選抜されたアウス種IRIS313-9368はマダガスカルの多様な生産圃場で安定して高い亜鉛含量を示すことから、亜鉛強化米育種への利用が期待できる。
- マダガスカルにおける水稲収量の増加は農家の栄養改善に有効である(2022)
マダガスカルの農村地域において、水稲収量が増えると、農家はコメの自家消費量だけではなくコメを販売した現金収入による栄養価の高い食品(野菜、果物、肉・魚)の購入量も増加させる。これらの消費および市場での購買行動の多様化により、主要穀物の生産性向上が、エネルギー摂取量だけでなくビタミンA、亜鉛、鉄分などの微量栄養素の摂取量の増加、すなわち栄養の量と質の両面において栄養改善に貢献することが示唆される。