研究成果情報 - ブルキナファソ

国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。

各年度の国際農林水産業研究成果情報

  • 土壌保全技術の採用と農家間普及における社会構造的要因(2025)
    西アフリカでは、農業普及員の不足などにより土壌保全技術の普及が停滞している。ブルキナファソ農家の分析結果は、土壌保全技術(ザイ・石堤・有機質肥料)の普及が性別による行動差、地縁、宗教的結束等の社会構造に大きく左右されることを示唆する。信頼関係や社会的つながりの活用に加え、労働集約的技術における性別差への配慮を組み込むことが、より包摂的な普及戦略として有効である。これらの知見は、普及員不足の地域における持続的な技術普及モデルの構築に貢献する。
  • リン欠乏水田への家畜ふん堆肥の選択的施用が水稲収量を向上させる(2025)
    サブサハラアフリカの小規模農家にとって、自給可能な家畜ふん堆肥(FYM)を有効に活用する稲作技術の確立が重要である。FYMはリン欠乏水田で特に高い増収効果を示し、窒素肥料と併用することで最大 3.1 t ha-1 の水稲増収が得られる。本成果は、土壌のリン欠乏程度に応じたFYM活用により、化学肥料への依存を抑えつつ、効率的なコメ増産につながることを示す。
  • クエン酸輸送体FRDL1の欠損がもたらすイネの鉄過剰ストレス耐性(2025)
    イネ地上部への鉄蓄積の抑制により、アフリカや東南アジアで発生する鉄過剰ストレスへの耐性が上昇することが知られているが、関連するメカニズムは明らかになっていない。水稲根の導管で主に発現するクエン酸輸送体FRDL1の欠損により、鉄過剰条件において根から地上部への鉄の輸送が制限され、葉身における鉄の蓄積と褐変症状の形成が抑えられる。根におけるFRDL1の働きを制御することで、鉄過剰ストレス耐性が向上したイネの育種素材開発が期待される。
  • マダガスカル中央高地の水田土壌の有機炭素含量は土壌化学性によって規定される(2025)
    マダガスカル中央高地における熱帯水田土壌を対象とした構造方程式モデルによる初の大規模比較研究の結果は、反応性の高いアルミニウム(活性Al)と鉄(活性Fe)の総量が土壌有機炭素(SOC)含量を強く規定し、活性Al優占土壌では活性Alのみが、活性Fe優占土壌では活性Alと活性Feの両方がSOC安定化に寄与することを示す。さらに、土壌pHが高くなるほどSOCが減少する。これらの成果は、熱帯・亜熱帯地域に分布する水田土壌の炭素蓄積能の評価や、pH矯正や有機物投入による土壌改良指針の策定に貢献する。
  • アフリカの灌漑地区に向けた水資源利用効率化技術ガイドライン(2025)
    アフリカの灌漑地区では水利施設の機能劣化や不適切な水管理により計画面積どおりに水配分がなされない事例が散見される。本ガイドラインはタンザニア・ガーナの灌漑地区を対象にその要因を分析し、実証可能な対策を現地で検証したものをとりまとめる。水利施設では分水工と水路の漏水対策や流況改善、圃場においては浸透抑制・排水改善、水管理、節水栽培、循環灌漑を示す。これらの一部技術をローアモシ地区に適用することで、計画灌漑面積の152%まで灌漑面積を拡大できる可能性がある。
  • 小型で安価なマイコンとCO2センサーを用いた簡易光合成測定装置(2025)
    光合成は植物の生育の最も基本的なプロセスであり、個葉の光合成速度は植物科学の多くの場面で活用される生育指標である。一方で、一般に用いられる光合成測定装置は、高精度な測定システムを備えるため、大型で高価となり、導入のハードルが高い。開発した光合成測定装置は、マイクロコンピューター(マイコン)で制御する二酸化炭素(CO2)センサー系と、アクリル製の同化箱(葉を封入する箱)から構成される。小型かつ安価で自作可能な本測定装置は、CO2吸収量に基づく光合成速度の測定において、市販標準機と同等の精度を示す。
  • サトウキビとエリアンサスの属間雑種はサトウキビより葉の水利用効率が優れる(2025)
    サトウキビ近縁属エリアンサスは、耐乾性指標である葉身の水利用効率(光合成速度÷気孔コンダクタンス)が土壌水分条件にかかわらずサトウキビより高い。また、エリアンサスはサトウキビに比べ葉の裏面の気孔密度が低い。サトウキビとエリアンサスの属間雑種F1系統J16-77の葉身特性はエリアンサスに類似し、サトウキビより水利用効率が高く、葉の裏面の気孔密度も低い。一方、乾物分配についてはサトウキビに類似し、茎への分配が多い。今後、戻し交配により糖度を改良することで、高糖度と耐乾性を併せ持つ品種の育成が期待される。
  • 日本在来サトウキビ野生種の遺伝的特異性と遺伝資源としての価値(2025)
    日本のサトウキビ野生種遺伝資源は、北東アジア型に分類され、インドやタイなどの大陸アジア型やインドネシアなどの島嶼アジア型と遺伝的に異なる。世界のサトウキビ製糖品種の遺伝的背景には、大陸アジア型や島嶼アジア型野生種のゲノムは含まれているが、北東アジア型のゲノムはほとんど含まれておらず、わずかに日本および中国の品種で確認されるのみである。そのため、幅広い遺伝的多様性の利用が求められているサトウキビ育種において、日本のサトウキビ野生種や製糖品種は世界的に重要な遺伝資源となる。
  • 倍数性操作によるアジアイネ×アフリカイネ稔性雑種の新たな作出手法(2025)
    アフリカイネはアジアイネとは異なる独自の病害抵抗性やストレス耐性をもつが、両種間のF1雑種は花粉不稔となるため、種子が得られず、育種利用は限定的である。アジアイネとアフリカイネをそれぞれ4倍体化して交雑すると、得られる4倍体F1雑種は部分的に花粉機能をもつ。4倍体の花粉を培養して2倍体に戻し、さらにその花粉を培養して得られる倍加半数体は、通常のイネ品種と同程度の花粉稔性を示し、両種の遺伝子を均等に受け継ぐ。本手法を用いることで、両種の優れた形質を併せもつ品種を育成できる可能性が広がる。
  • 45年超の長期連用試験から熱帯における畑地土壌炭素貯留量を算定(2024)

    タイ農業局が保有する45年超の長期連用試験のデータを解析し土壌炭素貯留量を算定した。化学肥料や有機物は単独で施用するより両者を組み合わせることで大きい土壌炭素貯留量が得られる。また、砂質土壌では土壌炭素貯留量の増加は肥沃度の向上に寄与しキャッサバの収量を増加させる。

  • 熱帯の低pH農地土壌の理化学性と生物性はフィルターケーキ施用により改善される(2024)

    石垣島のサトウキビ畑に製糖副産物であるフィルターケーキ(FC)を施用すると、低pH土壌では物理性および化学性が向上する。また、FC施用により、低pH土壌では大型土壌動物であるミミズの現存量も増加するが、中pH土壌では減少する。低pH土壌でのFC施用は、理化学性の改善に加えて、有機物分解の促進や土壌構造の改変を担うミミズの現存量を増加させるため、物質循環や保水性などの土壌機能の向上も期待できる。

  • 熱帯の低pH農地土壌の理化学性と生物性はフィルターケーキ施用により改善される(2024)

    石垣島のサトウキビ畑に製糖副産物であるフィルターケーキ(FC)を施用すると、低pH土壌では物理性および化学性が向上する。また、FC施用により、低pH土壌では大型土壌動物であるミミズの現存量も増加するが、中pH土壌では減少する。低pH土壌でのFC施用は、理化学性の改善に加えて、有機物分解の促進や土壌構造の改変を担うミミズの現存量を増加させるため、物質循環や保水性などの土壌機能の向上も期待できる。

  • 火山の影響を受けた農地土壌の有機炭素は活性アルミニウムによって安定化される(2024)

    熱帯湿潤地域において火山の影響を受けた土壌では、有機炭素含量が粘土+シルト含量ではなく、酸性シュウ酸可溶性アルミニウム(活性Al)含量に規定される。また、70年以上長期連続耕作が行われている農地でも、活性Alによって安定化された土壌中の有機炭素含量は、二次林・屋敷林と変わらない。今後、火山の影響を受けた農地土壌で炭素の長期大量貯留を実現するためには、活性Alで安定化される有機炭素を増やす技術の開発が重要である。

  • 熱帯モンスーン地域における水稲再生二期作は貯水池水資源管理の向上に寄与する(2024)

    熱帯モンスーン気候下の灌漑地区では、貯水池運用が雨季の降水量に大きく依存し、水利用が不安定になりやすい。貯水池運用シミュレーション分析によると、雨季初頭に作付けを開始する再生二期作は、従来の水稲二期作と比べ、灌漑供給量を最大51%削減しつつ、水生産性を60~87%向上させる。再生二期作は、水資源が限られる灌漑地区において、安定的な水利用に寄与する作付体系として有望である。

  • BNI強化ソルガムの導入によりインドの施肥量削減への貢献が期待される(2024)

    生物的硝化抑制(BNI)強化作物は少ない窒素肥料で高い生産性を可能にする。開発中の土壌の硝化抑制率30%のBNI強化ソルガムがインドの農家へ導入された場合、窒素施肥量はラビ(乾期)作とカリフ(雨期)作ではそれぞれ8.0%と7.4%削減と試算される。この条件では、面積当たりと収量当たりライフサイクル温室効果ガス(LC-GHG)排出量をラビ作で15.6%とカリフ作で11.2%削減可能と推定される。また、農家利益を微増させ、ラビ作では肥料補助金支出9.1%削減が期待される。

  • 熱帯樹木チークの葉のクロロフィル量は成長速度の指標になる(2024)

    チークは熱帯林の重要な木材資源で市場価値が高く安定した供給が求められるが、同一の人工林内でも個体間で成長の差が大きい。チークの葉のサイズや窒素量などの特性は同じ林内の個体間で差が大きく見た目も異なるが、葉のクロロフィル量は個体の直径や樹高成長速度と相関がみられ、成長の指標となる。

  • フタバガキ科樹木ポット苗の葉の特性から土壌乾燥への応答性を予測(2024)

    東南アジアの重要な木材資源であるフタバガキ科樹木8種のポット苗において、土壌乾燥への応答性と葉の水利用特性には種間差が認められる。葉の特性は、種多様性が高いフタバガキ科樹種において、乾燥応答の簡便な指標になり、気候変動に適応的な有用樹種の探索に活用できる。

  • 作物栽培条件下の窒素溶脱量抑制には炭化物の表層土壌への施用が有効(2024)

    土壌への炭化物の施用深度の違いにより施肥由来の硝酸態窒素溶脱量は変化する。作物栽培条件下では表層施用により溶脱量が12.3%減少する一方、作土層施用では6.4%増加する。本試験の条件において表層施用では、無施用と比較して深さ0~30 cmの土壌における窒素吸着量増加と乾燥状態の軽減が見られる。炭化物を適切な深度に施用することで、環境負荷軽減が期待される。

  • 作物栽培条件下の窒素溶脱量抑制には炭化物の表層土壌への施用が有効(2024)

    土壌への炭化物の施用深度の違いにより施肥由来の硝酸態窒素溶脱量は変化する。作物栽培条件下では表層施用により溶脱量が12.3%減少する一方、作土層施用では6.4%増加する。本試験の条件において表層施用では、無施用と比較して深さ0~30 cmの土壌における窒素吸着量増加と乾燥状態の軽減が見られる。炭化物を適切な深度に施用することで、環境負荷軽減が期待される。

  • 航空機LiDARを用いたマングローブ老齢林バイオマスの推定精度の改善(2024)

    フィリピンの広範囲をカバーする国レベルの航空機LiDARデータを用いたフィリピンのマングローブ老齢林のバイオマス推定式を開発した。開発した式により、従来式と比較して、大径木に特徴づけられる老齢林では推定精度の改善が可能となる。従来の式は、LiDARデータを林冠高に変換して、さらに林冠高をバイオマスに変換する必要があった。開発した式は、LiDARデータから直接的にバイオマスを推定する。