研究成果情報 - インドネシア
国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
- バリ島の水利組合(スバック)の資源配分における価値観の変化をゲーム理論で予測(2022)
バリ島の水利組合(スバック)を対象に、エージェントベースモデルとゲーム理論を組み合わせた手法により資源利用における価値観を分析すると、協力関係の維持に価値が置かれている現在の資源配分が、労働資源の減少の進行に伴う価値観の変化によって、非協力的な資源配分になると予測される。
- フタバガキ科樹種Shorea leprosulaの成長特性の地域個体群間差(2022)
異なる産地の個体を共通の環境で栽培して特性を評価するコモンガーデン試験により、東南アジア地域の有力な林業樹種の一つであるShorea leprosulaの伸長成長とカイガラムシ耐性の地域個体群間差が検出できる。得られる知見は、S. leprosulaの植栽木としての優良個体を探索する際の手がかりとなる。
- 葉脈の構造は熱帯林樹木の葉の丈夫さと光合成能力に関係している(2022)
熱帯林樹木の葉脈構造は、葉を光に透かせば判別でき、その構造は葉の丈夫さと光合成能力に関係している。葉を光に透かした際に、葉脈網が明瞭な樹木は葉が丈夫で明るい環境で光合成が高く、不明瞭な樹木は暗い環境での光合成に有利であったことから、葉脈構造は、樹木の機能的特性の簡便な指標としての利用が期待される。
- カットソイラーによる浅層暗渠は土壌塩分を軽減する(2022)
日本で開発されたトラクターアタッチメント「カットソイラー」による浅層暗渠は、排水不良に伴う土壌塩類化の軽減に貢献する。インド北部のヒンドゥスターン平野において、同手法は土壌塩分を施工から4ヵ月後に8%、1年4ヵ月後に32%減少させる。
- ヤムイモの収量は個体の性別と開花日に強く影響を受ける(2022)
ヤムイモは雄株と雌株に分かれるが、開花日がイモ肥大期よりも早い場合には遅い場合と比べてイモ収量が高くなり、さらにその増加程度は雄株よりも雌株で大きい。雌株や開花日が早い系統を交配親に用いるとともに、そのような系統を選抜することで、収量改善に向けた品種育成を効率的に進めることができる。
- ミャンマー南部ミエック近海における食用熱帯カキの産卵期(2022)
ミャンマー南部に位置するミエックの近海では、食用熱帯カキは周年成熟しているが、10~11月と4~5月に主な産卵期がある。食用熱帯カキの天然採苗をこれらの時期に行うことで、採苗の効率化が期待できる。
- アジアの伝統野菜ヒユナの多様性の解明と育種基盤の構築(2022)
アジアで伝統的な葉物野菜として利用されるヒユナの遺伝的多様性を解析し、品種育成に有用な5,638個の一塩基多型マーカーとコアコレクションを作出した。これらの成果を利用することにより、栄養価・食味・収量などが改善された新しいヒユナ品種の開発が期待される。
- ゲノム予測モデルを用いた亜鉛強化米育種のための有望系統の同定(2022)
マダガスカルの農家圃場での観測値と一塩基多型情報をもとに構築されたゲノム予測モデルにより、国際稲研究所のジーンバンクに保存された3,024系統の玄米の亜鉛含量は系統間で17.1~40.2 mg kg-1の変異を持つと推定される。同モデルで3,024系統から選抜されたアウス種IRIS313-9368はマダガスカルの多様な生産圃場で安定して高い亜鉛含量を示すことから、亜鉛強化米育種への利用が期待できる。
- マダガスカルにおける水稲収量の増加は農家の栄養改善に有効である(2022)
マダガスカルの農村地域において、水稲収量が増えると、農家はコメの自家消費量だけではなくコメを販売した現金収入による栄養価の高い食品(野菜、果物、肉・魚)の購入量も増加させる。これらの消費および市場での購買行動の多様化により、主要穀物の生産性向上が、エネルギー摂取量だけでなくビタミンA、亜鉛、鉄分などの微量栄養素の摂取量の増加、すなわち栄養の量と質の両面において栄養改善に貢献することが示唆される。
- 貯水灌漑技術と確率計画モデルを用いた小規模農家の所得変動リスク管理手法(2022)
アフリカの小規模農家の多くは、不安定な天水作物生産に生計を依存しており、所得が変動しやすいが、ため池等を活用した灌漑の導入によって、生産性、収益性の安定化が期待できる。ガーナ北部を対象として構築した、ため池の利用条件、農家の経営条件、各種作物の収量、価格、費用の変動などを反映した確率的営農計画モデルを用いることで、農家が所得変動リスクに対処するための最適な貯水灌漑・作付を計画できる。
- 根圏土壌を加えたリン鉱石添加堆肥は化学肥料と同等にソルガム収量を増加させる(2022)
サブサハラアフリカの農業生産性を制限している土壌の低いリン肥沃度の改善に向けた新規有機肥料として、ソルガム残渣にリン鉱石と根圏土壌を加えて堆肥化するとリン鉱石土壌添加堆肥が得られる。このリン鉱石土壌添加堆肥は、ソルガム栽培土壌の生物性を高め、既存の化学肥料と同等の増収効果をもたらす。
- 根圏土壌を加えたリン鉱石添加堆肥は化学肥料と同等にソルガム収量を増加させる(2022)
サブサハラアフリカの農業生産性を制限している土壌の低いリン肥沃度の改善に向けた新規有機肥料として、ソルガム残渣にリン鉱石と根圏土壌を加えて堆肥化するとリン鉱石土壌添加堆肥が得られる。このリン鉱石土壌添加堆肥は、ソルガム栽培土壌の生物性を高め、既存の化学肥料と同等の増収効果をもたらす。
- ため池への流入量を精緻に算出できるカーブナンバー推定モデル(2022)
ため池からの越流水をかんがいに利用するには、降雨によりため池に流入する水量(流出量)を推計する必要がある。流域性状等から選択されるカーブナンバー(CN)の値に基づいて流出量を推計するカーブナンバー法において、回帰分析を用いてCN値を推定するモデルを適用することにより、流出量の精緻な算出が可能になる。
- 高いさび病抵抗性を有するダイズ新品種「Doncella INTA-JIRCAS」を開発(2022)
アルゼンチン国立農牧技術院(INTA)と国際農研が共同開発し、アルゼンチンで登録したダイズ新品種「Doncella INTA-JIRCAS」は、ダイズさび病に対する3つの抵抗性遺伝子の導入により、高いさび病抵抗性を有する。
- 水田でのメタン発酵消化液の施用によるメタン排出促進は間断灌漑で相殺できる(2021)ベトナム・メコンデルタの水稲三期作において、メタン発酵消化液の肥料利用と間断灌漑の組み合わせは、現地慣行である化学肥料と常時湛水の組み合わせと比較して、水稲収量を減らすことなくメタン排出量を11~13%削減できる。
- 再生稲の水分消費は、移植稲と比較して生育初期で大きく生育後期で小さい(2021)これまでに報告事例のない水稲再生二期作の用水計画の策定に必要な再生稲の水分消費割合を明らかにする。再生稲の生育に応じた水分消費割合はその旺盛な分げつ特性により生育初期から放物線的増加を示すことから、移植稲と異なる用水計画の策定が必要となる。
- オイルパーム古木の慣例的農地還元は土壌環境に負の影響を及ぼす(2021)オイルパーム古木の慣例的農地還元による影響を確認するために、パーム古木繊維を混合した土壌で植物栽培を行った結果、生育不良や土壌に糸状菌Trichocladium属菌が有意に増殖する。パーム古木繊維の直接的な農地還元は土壌環境に負の影響を与える。
- フタバガキ科熱帯林業樹種Shorea leprosulaの茎の成長と新葉の関係(2021)フタバガキ科樹木のS. leprosulaでは、茎は葉と同調して断続的に成長し、葉の切除により茎の伸長が顕著に抑制される。葉の成長は茎の伸長の制御要因となっており、その制御機構の解明は、木材生産や適切なサイズの苗木の安定供給に役立つことが期待される。
- ラオス山地では植栽密度と立地選択によりチーク成長が倍増する(2021)ラオス山間部では植栽密度のコントロールと植栽する斜面の形状や傾斜の選択によって人工林チークは肥大成長および伸長成長に倍程度の差異を持つことから、適地判定が重要である。凹形緩傾斜面の下部が適地として最も推奨され、密植は避けた方が成長がよい。
- 洪水インデックス保険に対して稲作農家が支払う保険料の算出(2021)
気象災害の多いミャンマー国の沿岸域の稲作農家の経営安定化のためには、農家が受け取る最適なインデックス保険の保険金と保険会社の保険料を求める必要がある。降水量、リスク回避度、コメ販売価格変化にしたがって保険金と保険料を算出する手法を開発する。