研究成果情報 - 日本

国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。

各年度の国際農林水産業研究成果情報

  • 稲わらから効率的に高濃度糖液をつくる微生物糖化法(2025)
    稲わら糖化の実装には、糖化反応を維持し高濃度糖液を得る糖化法が必要である。Tween 20 (界面活性剤) 添加は、酵素の非生産的吸着および酵素活性低下を抑え、高固形分条件での糖化安定化に寄与する。また、Tween 20の添加と、稲わらを段階的に追加投入する半連続運転を組み合わせることで、高固形分条件でも外部酵素添加に依存せずに糖化を維持できる。本手法では、稲わら総投入量250 g L-1に対しグルコース140 g L-1 (理論収率の70.1%) が得られる。本成果は、高負荷糖化の条件設定とスケール検討の指針となる。
  • ゲノム解析に基づくチーク遺伝資源の地域環境適応性と気候変動下での活用戦略(2025)
    熱帯林で深刻化する気候変動への対策技術を開発するためには、熱帯優良樹種チークにおける遺伝的多様性と気候適応性との関係に関する科学的根拠の整理が求められる。気候要因とのゲノム連関解析の結果は、インド南部Malabar地域に分布する集団が高温に対して高いレジリエンスを備えることを支持する。将来の気候がMalabar地域と類似すると予測されるインドネシア・ジャワ島における気候変動に適応した持続的なチーク林業の実現には、同集団の遺伝資源を活用した人工林の改良が有効である。
  • ファルカタの成長は地域個体群で異なり葉の窒素濃度が成長速度の指標になる(2025)
    ファルカタは東南アジアの重要な木材資源である。インドネシアとソロモン諸島の遺伝的に異なる個体群間では成長速度に差がみられ、葉の窒素濃度は光合成速度および成長速度と強く相関する。これらの形質には遺伝的基盤が存在することが示唆され、葉の窒素濃度が高く光合成速度の高い個体を選抜することで、木材生産性の向上に寄与できる。
  • 生産者と消費者双方の取り組みによる窒素負荷削減効果の見える化(2025)
    沖縄県石垣島に食の窒素フットプリントを適用することにより、生産者と消費者の双方の行動が食料システムに起因する島内外の窒素バランス改善に与える影響を評価できる。その前提条件として牛糞堆肥の農地還元促進を生産者の行動とし、植物性たんぱく質中心の食生活や食品ロス削減とその家畜飼料への再利用を消費者の行動と位置付ける。生産者の取り組みでは、島内の化学肥料および窒素負荷量をそれぞれ20%および13%削減できる。消費者の取り組みでは、島外地域での窒素投入および負荷量をそれぞれ19%および31%削減できる。
  • 浅層暗渠や地中灌漑による土壌塩類化を軽減するための技術マニュアル(2025)
    インド北部のヒンドゥスターン平野では、灌漑農業に起因した土壌の塩類化が深刻化している。こうした状況を踏まえて作成された「浅層暗渠と地中灌漑による土壌塩類化の軽減技術マニュアル」では、日本で開発されたトラクターアタッチメント「カットソイラー」を用いた浅層暗渠の施工方法と除塩効果、さらに「ウォータードロップチューブ」を活用した地中灌漑の適用方法と節水効果について解説する。また、深刻な排水不良をもたらす土壌のソーダ質化や土壌の塩類化と密接に関連する地下水位の動態についても詳述する。
  • キヌアの高塩耐性を支える3つのNa+排除輸送体(2025)
    キヌアは高塩濃度環境でも生育可能な作物であるが、その塩耐性機構は十分に解明されていない。遺伝子型の異なるキヌア系統群間では、地上部におけるNa+蓄積量に大きな差が生じる。特に南部高地系統では、海水レベルの塩条件下でも地上部へのNa+侵入が強く抑制される。Na+輸送体遺伝子の発現が抑制されると地上部へのNa+蓄積が増加することから、これら輸送体が地上部へのNa+侵入抑制に関与することが示唆される。本成果は、キヌアの高い塩耐性を支える分子基盤を示し、塩害地農業に資する塩耐性作物開発の基礎知見を提供する。
  • ラオス産黒米由来で玄米のフィチン酸含量を高める量的遺伝子座qPA1の検出(2025)
    ラオス北部などの低肥沃度環境では、初期生育の不良がイネの安定生産を制約している。玄米中のフィチン酸は、発芽・初期生育期における主要なリン供給源であり、低肥沃度環境への適応性と密接に関係する。ラオス産黒米品種 Kampeng の高フィチン酸含量に関与する新規の量的遺伝子座qPA1は第1染色体短腕に存在し、qPA1がKampeng型の系統は安定多収の白米品種Non 型と比較してフィチン酸含量が約23%高い。本成果は、低肥沃度環境における初期生育の安定化を通じ、黒米の安定生産に資する育種基盤を提供する。
  • 黄麹・白麹を用いた麹甘酒化による玄米フィチン酸の脱リン酸化・イノシトール生成促進(2025)
    玄米は微量栄養素に富む一方、糠層に多いフィチン酸(イノシトール6リン酸)がミネラルと結合し利用性を低下させ得る。本成果は、玄米を麹甘酒化することでフィチン酸を段階的に脱リン酸化し、イノシトール生成を促進できる加工条件を示す。黄麹菌由来米麹単独に比べ、白麹菌由来米麹を配合するとフィチン酸分解とイノシトール生成が有意に高まり、併せて白麹菌由来クエン酸による酸性化により、風味設計や保存性向上への応用も期待される。本成果は、玄米の栄養価改善を目的とした発酵加工設計に資する基礎知見を提供する。
  • ツマジロクサヨトウ防除のための天敵昆虫増殖費推計モデルによる経済性評価(2025)
    タイにおけるツマジロクサヨトウ防除を対象として構築された増殖費推計モデルは、天敵昆虫増殖の経済性を汎用的に評価する手法を提供する。このモデルによる分析では、タマゴバチの増殖費は主要農薬と比べて著しく高いとはいえず、化学的防除の一部を補完・代替する選択肢として位置付けられる。また、放飼面積当たりの増殖費を削減するためには、労働負荷を低減し生産規模を拡大することが有効であると示唆される。
  • 淡水エビ類で初の生殖細胞凍結保存による遺伝資源長期保存技術(2025)
    配偶子や初期胚の凍結保存が困難な甲殻類において、生殖細胞の凍結保存は全遺伝情報を保存できる有効な手法である。東南アジア原産オニテナガエビ(Macrobrachium rosenbergii )の生殖細胞は10%ジメチルスルホキシドを凍結保護剤に用いた超急速凍結法により、凍結融解後も高い回収率および生残率が長期間にわたり維持される。本成果は、淡水性エビ類で生殖細胞凍結保存技術を確立した初の報告であり、オニテナガエビやその他甲殻類の将来的な優良系統の維持や育種基盤の構築に資する。
  • 淡水エビ類で初の生殖細胞凍結保存による遺伝資源長期保存技術(2025)
    配偶子や初期胚の凍結保存が困難な甲殻類において、生殖細胞の凍結保存は全遺伝情報を保存できる有効な手法である。東南アジア原産オニテナガエビ(Macrobrachium rosenbergii )の生殖細胞は10%ジメチルスルホキシドを凍結保護剤に用いた超急速凍結法により、凍結融解後も高い回収率および生残率が長期間にわたり維持される。本成果は、淡水性エビ類で生殖細胞凍結保存技術を確立した初の報告であり、オニテナガエビやその他甲殻類の将来的な優良系統の維持や育種基盤の構築に資する。
  • タイ東北部における小型テナガエビ類の生活史特性と資源管理方策(2025)
    インドシナ半島内陸部で重要な水産資源である小型テナガエビ類 Macrobrachium lanchesteri 種群は、タイ東北部において周年産卵を行うが、産卵は雨季中盤の6~8月に集中し、11~12月には停滞する。9~11月には同年生まれの未成熟個体が漁獲対象資源に加入し、翌年3~5月に孵化後1年未満で初回成熟・産卵に至る。本研究で明らかとなったこれらの生活史特性は、同地域で実施されている禁漁措置の有効性評価および資源管理方策の検討に資する基盤情報となる。
  • 紅藻カギケノリの世代交代を利用した配偶体種苗の生産技術(2025)
    紅藻カギケノリは、反すう家畜由来のメタンガス削減に資する海藻として注目されているが、その養殖生産の実用化に向けては安定的な種苗供給技術の確立が課題となっている。本研究では、カギケノリの世代交代に着目し、水温(25℃)および明暗周期(明期8 h: 暗期16 h)による胞子体の成熟および胞子放出の誘導効果、発芽により得られた配偶体の通気培養による成長促進効果を明らかにする。配偶体は低コストな海面養殖に適した世代であることから、本研究成果はカギケノリ養殖の生産性向上に寄与する。
  • 熱帯カキ養殖の生産拡大に向けた小規模養殖向け中間育成装置(2025)
    熱帯マングローブ汽水域における稚ガキの養殖効率向上を目的として開発した簡易構造の中間育成装置は、安価な市販資材により構築され、養殖業者自身による組み立てが可能であるため、現場への設置・導入が容易である。マレーシアの養殖場での飼育試験では、対照となる網カゴでの飼育に比べ、摂餌効率は向上し、また、貝殻の伸長が促進される。熱帯の汽水域では付着物が多く発生するため定期清掃が必要になるが、装置の構造を簡素化したことで維持管理も容易となり、小規模養殖業者への普及が期待される。
  • スーダンサバンナの土壌型を考慮した収量・純収益を最大化するソルガム栽培法(2025)
    サブサハラアフリカ最大のソルガム生産地であるスーダンサバンナでは、土壌型がソルガム収量に大きく影響するが、各国の栽培指針では未だ土壌型が考慮されていない。当該地域で優占する3つの土壌型ごとに、ソルガムの収量と施肥による純収益(施肥で増加する収益と費用の差)を最大化する窒素施肥量、播種密度、品種の組み合わせを「最適な栽培法」として示し、これにより土壌型に応じた栽培指針の見直しが可能となる。最適な栽培法の経済的頑健性も土壌型で異なり、土壌型によっては施肥が経済的な損失をもたらす可能性がある。
  • 乾燥と過湿に強いササゲ遺伝資源の発見とその根の形態変化による土壌水分適応(2025)
    西アフリカの主要なマメ科作物であるササゲの栽培種と祖先野生種を含む99系統の特性評価により、土壌の乾燥ストレスと過湿ストレスの両条件下で耐性を示す10系統を明らかにした。これらの系統は過湿条件で根の通気組織を増やして酸素不足を回避し、乾燥では水の通り道となる通導組織の比率を高めるといった柔軟な根の形態変化を示した。同定した系統群は今後、気候変動による極端な水分変動に強いササゲ品種開発への活用が期待される。
  • ICP全波長スペクトルの深層学習による多項目同時測定可能な土壌診断法(2025)
    現在の土壌診断は費用が高く、特に開発途上地域では土壌診断に基づく技術適用が困難な状況である。これを解決するため、これまでに国際農研が取得したアフリカ・アジアを中心とした約2,000試料の土壌分析結果と、ICP(誘導結合型プラズマ発光分光分析装置)で得られる全波長スペクトルを深層学習し、土壌診断結果の精度を検証する。本法では1つの抽出液で主要な12の土壌診断項目を高精度に評価でき、分析に要する機器や試薬、分析時間を大幅に削減できるため、迅速かつ安価な土壌診断が可能となる。
  • ICP全波長スペクトルの深層学習による多項目同時測定可能な土壌診断法(2025)
    現在の土壌診断は費用が高く、特に開発途上地域では土壌診断に基づく技術適用が困難な状況である。これを解決するため、これまでに国際農研が取得したアフリカ・アジアを中心とした約2,000試料の土壌分析結果と、ICP(誘導結合型プラズマ発光分光分析装置)で得られる全波長スペクトルを深層学習し、土壌診断結果の精度を検証する。本法では1つの抽出液で主要な12の土壌診断項目を高精度に評価でき、分析に要する機器や試薬、分析時間を大幅に削減できるため、迅速かつ安価な土壌診断が可能となる。
  • ICP全波長スペクトルの深層学習による多項目同時測定可能な土壌診断法(2025)
    現在の土壌診断は費用が高く、特に開発途上地域では土壌診断に基づく技術適用が困難な状況である。これを解決するため、これまでに国際農研が取得したアフリカ・アジアを中心とした約2,000試料の土壌分析結果と、ICP(誘導結合型プラズマ発光分光分析装置)で得られる全波長スペクトルを深層学習し、土壌診断結果の精度を検証する。本法では1つの抽出液で主要な12の土壌診断項目を高精度に評価でき、分析に要する機器や試薬、分析時間を大幅に削減できるため、迅速かつ安価な土壌診断が可能となる。
  • 農家の目で土壌を診る:土壌肥沃度認識の妥当性と圃場管理への活用(2025)
    ガーナ北部の小規模農家は、土色や土性、雑草種などの経験的指標に基づき土壌肥沃度を評価している。農家の肥沃度認識はpH、全窒素などの土壌理化学性と高い整合性をもつ。この肥沃度認識は、作物選択や有機資材施用の意思決定に反映される傾向にある。本成果は、ガーナ北部の土に関する農家知識の妥当性を定量的に評価したものであり、農家知識を活用した現地適応型の圃場管理・普及指針の構築に資する。