研究成果情報 - タイ
国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
- 45年超の長期連用試験から熱帯における畑地土壌炭素貯留量を算定(2024)
タイ農業局が保有する45年超の長期連用試験のデータを解析し土壌炭素貯留量を算定した。化学肥料や有機物は単独で施用するより両者を組み合わせることで大きい土壌炭素貯留量が得られる。また、砂質土壌では土壌炭素貯留量の増加は肥沃度の向上に寄与しキャッサバの収量を増加させる。
- 熱帯の低pH農地土壌の理化学性と生物性はフィルターケーキ施用により改善される(2024)
石垣島のサトウキビ畑に製糖副産物であるフィルターケーキ(FC)を施用すると、低pH土壌では物理性および化学性が向上する。また、FC施用により、低pH土壌では大型土壌動物であるミミズの現存量も増加するが、中pH土壌では減少する。低pH土壌でのFC施用は、理化学性の改善に加えて、有機物分解の促進や土壌構造の改変を担うミミズの現存量を増加させるため、物質循環や保水性などの土壌機能の向上も期待できる。
- 熱帯の低pH農地土壌の理化学性と生物性はフィルターケーキ施用により改善される(2024)
石垣島のサトウキビ畑に製糖副産物であるフィルターケーキ(FC)を施用すると、低pH土壌では物理性および化学性が向上する。また、FC施用により、低pH土壌では大型土壌動物であるミミズの現存量も増加するが、中pH土壌では減少する。低pH土壌でのFC施用は、理化学性の改善に加えて、有機物分解の促進や土壌構造の改変を担うミミズの現存量を増加させるため、物質循環や保水性などの土壌機能の向上も期待できる。
- 火山の影響を受けた農地土壌の有機炭素は活性アルミニウムによって安定化される(2024)
熱帯湿潤地域において火山の影響を受けた土壌では、有機炭素含量が粘土+シルト含量ではなく、酸性シュウ酸可溶性アルミニウム(活性Al)含量に規定される。また、70年以上長期連続耕作が行われている農地でも、活性Alによって安定化された土壌中の有機炭素含量は、二次林・屋敷林と変わらない。今後、火山の影響を受けた農地土壌で炭素の長期大量貯留を実現するためには、活性Alで安定化される有機炭素を増やす技術の開発が重要である。
- 熱帯モンスーン地域における水稲再生二期作は貯水池水資源管理の向上に寄与する(2024)
熱帯モンスーン気候下の灌漑地区では、貯水池運用が雨季の降水量に大きく依存し、水利用が不安定になりやすい。貯水池運用シミュレーション分析によると、雨季初頭に作付けを開始する再生二期作は、従来の水稲二期作と比べ、灌漑供給量を最大51%削減しつつ、水生産性を60~87%向上させる。再生二期作は、水資源が限られる灌漑地区において、安定的な水利用に寄与する作付体系として有望である。
- BNI強化ソルガムの導入によりインドの施肥量削減への貢献が期待される(2024)
生物的硝化抑制(BNI)強化作物は少ない窒素肥料で高い生産性を可能にする。開発中の土壌の硝化抑制率30%のBNI強化ソルガムがインドの農家へ導入された場合、窒素施肥量はラビ(乾期)作とカリフ(雨期)作ではそれぞれ8.0%と7.4%削減と試算される。この条件では、面積当たりと収量当たりライフサイクル温室効果ガス(LC-GHG)排出量をラビ作で15.6%とカリフ作で11.2%削減可能と推定される。また、農家利益を微増させ、ラビ作では肥料補助金支出9.1%削減が期待される。
- 熱帯樹木チークの葉のクロロフィル量は成長速度の指標になる(2024)
チークは熱帯林の重要な木材資源で市場価値が高く安定した供給が求められるが、同一の人工林内でも個体間で成長の差が大きい。チークの葉のサイズや窒素量などの特性は同じ林内の個体間で差が大きく見た目も異なるが、葉のクロロフィル量は個体の直径や樹高成長速度と相関がみられ、成長の指標となる。
- フタバガキ科樹木ポット苗の葉の特性から土壌乾燥への応答性を予測(2024)
東南アジアの重要な木材資源であるフタバガキ科樹木8種のポット苗において、土壌乾燥への応答性と葉の水利用特性には種間差が認められる。葉の特性は、種多様性が高いフタバガキ科樹種において、乾燥応答の簡便な指標になり、気候変動に適応的な有用樹種の探索に活用できる。
- 作物栽培条件下の窒素溶脱量抑制には炭化物の表層土壌への施用が有効(2024)
土壌への炭化物の施用深度の違いにより施肥由来の硝酸態窒素溶脱量は変化する。作物栽培条件下では表層施用により溶脱量が12.3%減少する一方、作土層施用では6.4%増加する。本試験の条件において表層施用では、無施用と比較して深さ0~30 cmの土壌における窒素吸着量増加と乾燥状態の軽減が見られる。炭化物を適切な深度に施用することで、環境負荷軽減が期待される。
- 作物栽培条件下の窒素溶脱量抑制には炭化物の表層土壌への施用が有効(2024)
土壌への炭化物の施用深度の違いにより施肥由来の硝酸態窒素溶脱量は変化する。作物栽培条件下では表層施用により溶脱量が12.3%減少する一方、作土層施用では6.4%増加する。本試験の条件において表層施用では、無施用と比較して深さ0~30 cmの土壌における窒素吸着量増加と乾燥状態の軽減が見られる。炭化物を適切な深度に施用することで、環境負荷軽減が期待される。
- 航空機LiDARを用いたマングローブ老齢林バイオマスの推定精度の改善(2024)
フィリピンの広範囲をカバーする国レベルの航空機LiDARデータを用いたフィリピンのマングローブ老齢林のバイオマス推定式を開発した。開発した式により、従来式と比較して、大径木に特徴づけられる老齢林では推定精度の改善が可能となる。従来の式は、LiDARデータを林冠高に変換して、さらに林冠高をバイオマスに変換する必要があった。開発した式は、LiDARデータから直接的にバイオマスを推定する。
- カットソイラー(浅層暗渠)による土壌塩分・pHの改良効果は施工間隔2.5mで高い(2024)
日本で開発されたトラクターアタッチメント「カットソイラー」による浅層暗渠は、灌漑に起因した土壌塩類化や地中ソーダ質化の軽減に貢献する。同工法は、インド北部のヒンドゥスターン平野での2.5m間隔の施工により、土壌塩類化地域では土壌塩分を52%低減させ、また、土壌ソーダ質化地域での石膏併用により、土壌pHを0.16低下させる。
- 地中パイプの配置・構造の変更によりビニルトンネル内の水蒸気を効率的に回収できる(2024)
地中に埋設したパイプおよびビニルフィルムの内外の温度差を利用し、塩水などの蒸発により生じた水蒸気を結露させて淡水を生産できる。この地中パイプをビニルハウスの直下から外へ移動し、さらに直径100 mmのパイプ1本から直径50 mmのパイプ4本に変更することによりパイプ壁温が低くなり、水蒸気の回収率が約3割増加する。
- 凍結剤を使用しない植物由来RNAの抽出保存手法を開発(2024)
インフィルトレーション法により植物葉の細胞間隙へ核酸安定化溶液を浸透させることで、凍結剤を使用しなくても葉のRNAおよび遺伝子発現の傾向が安定に保たれる。また、抽出後のRNAは二酸化ケイ素膜に結合させることにより凍結剤を使用せずに安定に保存できる。これらの技術により、液体窒素やドライアイスなどの入手が困難な開発途上地域の圃場などで得られる植物の遺伝子発現解析が容易になる。また、開発途上地域で得られたRNAを日本国内などの解析設備の整った実験室まで運搬することでゲノミクス解析の進展が期待できる。
- アンデス高地で栽培化された高地型キヌア系統の高精度ゲノム配列情報(2024)
栽培起源地とされるティティカカ湖周辺に生育する北部高地型およびボリビアのウユニ塩湖周辺の過酷環境に適応した南部高地型のキヌア自殖系統の高精度ゲノム配列情報は、キヌアの栽培化の謎を解き明かすだけでなく、その優れた環境適応性や栄養特性を解明するための重要なゲノム解析基盤として活用できる。
- アンデス高地で栽培化された高地型キヌア系統の高精度ゲノム配列情報(2024)
栽培起源地とされるティティカカ湖周辺に生育する北部高地型およびボリビアのウユニ塩湖周辺の過酷環境に適応した南部高地型のキヌア自殖系統の高精度ゲノム配列情報は、キヌアの栽培化の謎を解き明かすだけでなく、その優れた環境適応性や栄養特性を解明するための重要なゲノム解析基盤として活用できる。
- ホワイトギニアヤムの早植えはイモの増収を可能にする(2024)
ホワイトギニアヤムのイモ肥大は日長ではなく主に植え付けからの日数に依存するため、雨季開始初期の早植えにより乾季が始まる前にイモ肥大が完了する。これにより、通常よりも早い収穫とイモ収量の増加が見込める。雨季初めの不安定な降雨はイモ収量にほとんど影響しない一方、降雨開始の遅延に対応するために植え付けを遅らせることは、イモ肥大期の降雨停止による収量低下リスクを高める。
- ホワイトギニアヤムの早植えはイモの増収を可能にする(2024)
ホワイトギニアヤムのイモ肥大は日長ではなく主に植え付けからの日数に依存するため、雨季開始初期の早植えにより乾季が始まる前にイモ肥大が完了する。これにより、通常よりも早い収穫とイモ収量の増加が見込める。雨季初めの不安定な降雨はイモ収量にほとんど影響しない一方、降雨開始の遅延に対応するために植え付けを遅らせることは、イモ肥大期の降雨停止による収量低下リスクを高める。
- ホワイトギニアヤムの早植えはイモの増収を可能にする(2024)
ホワイトギニアヤムのイモ肥大は日長ではなく主に植え付けからの日数に依存するため、雨季開始初期の早植えにより乾季が始まる前にイモ肥大が完了する。これにより、通常よりも早い収穫とイモ収量の増加が見込める。雨季初めの不安定な降雨はイモ収量にほとんど影響しない一方、降雨開始の遅延に対応するために植え付けを遅らせることは、イモ肥大期の降雨停止による収量低下リスクを高める。
- ホワイトギニアヤムの早植えはイモの増収を可能にする(2024)
ホワイトギニアヤムのイモ肥大は日長ではなく主に植え付けからの日数に依存するため、雨季開始初期の早植えにより乾季が始まる前にイモ肥大が完了する。これにより、通常よりも早い収穫とイモ収量の増加が見込める。雨季初めの不安定な降雨はイモ収量にほとんど影響しない一方、降雨開始の遅延に対応するために植え付けを遅らせることは、イモ肥大期の降雨停止による収量低下リスクを高める。