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1558. 世界で拡大する森林火災:最新データが示す気候変動との関係
1558. 世界で拡大する森林火災:最新データが示す気候変動との関係
世界資源研究所(WRI)は、メリーランド大学が提供する最新データに基づき、世界の森林火災が過去20年間で拡大し、森林の樹冠被覆損失に占める火災の割合も高まっていると報告しています。2001年から2025年までのデータによると、森林火災による年間の樹冠被覆損失面積は20年前と比べて2倍以上に増加し、熱帯地域では3倍以上に達したとされています。
WRIによると、近年の森林火災は記録的な規模で発生しており、2023年から2025年までの3年間では、火災が世界全体の樹冠被覆損失の約43%を占めました。これは、2001年から2022年までの平均である約27%を大きく上回る水準です。農地拡大や伐採など従来からの要因に加え、森林火災が森林損失の主要な要因の一つとなりつつあることが示されています。
WRIは、その背景要因として気候変動の影響を挙げています。気温上昇に伴い、熱波や干ばつが発生しやすくなり、森林や草地が乾燥することで、大規模かつ頻発する火災が起こりやすい条件が形成されると指摘しています。また、森林火災のよって樹木や土壌に蓄積された炭素が大気中へ放出されることで、さらなる気候変動につながる可能性があり、「火災と気候のフィードバック」が懸念されるとしています。
特に火災の影響が大きい地域として北方林が挙げられています。WRIによれば、2001年から2025年までの火災によって失われた樹冠被覆の60%以上が北方林で発生しました。北方林は自然火災を含む生態系ですが、高緯度地域では温暖化が世界平均を上回る速度で進んでおり、火災シーズンの長期化や干ばつの増加によって火災の規模や強度が高まっていると報告されています。カナダでは2023年に約780万ヘクタールの森林が焼失し、その後も高い火災活動が続いているとされています。
熱帯林においても火災リスクの増大が報告されています。熱帯雨林は本来、火災への適応度が低い生態系ですが、農地や牧草地の造成に伴う火入れ、森林劣化、乾燥化などの影響により、アマゾンやコンゴ盆地などで火災が拡大しているとされています。WRIによると、2024年には熱帯地域における火災由来の樹冠被覆損失が400万ヘクタールを超え、熱帯一次林の損失要因として火災が農業活動を上回りました。また、エルニーニョ現象による高温・少雨も火災リスクを高める要因として挙げられています。
温帯・亜熱帯地域では、森林火災が人命やインフラ、経済活動に及ぼす影響も重要な課題です。WRIは、欧州において熱波や干ばつを背景とした大規模火災がスペイン、フランス、ポルトガルなどで発生していることや、韓国で2025年に記録的な森林火災が発生したことを紹介しています。また、米国では住宅地と森林・草地が接する地域の拡大に伴い、火災リスクと被害規模の増大が懸念されています。
WRIは、森林火災リスクの低減には、気候変動対策に加えて、森林減少・森林劣化の抑制、火入れの適切な管理、防火帯の整備や計画的な低強度火入れなどの予防的管理、地域住民や先住民の知識を活用した火災管理、さらには衛星データを用いた早期警戒と迅速な対応が重要であると指摘しています。森林は炭素貯留だけでなく、水循環の維持、生物多様性の保全、食料生産、地域社会の安全にも重要な役割を果たしています。今回紹介したデータは、森林管理と気候変動対策を一体的に進めることの重要性を示すものといえます。
(参考資料)
World Resources Institute, The Latest Data Confirms: Forest Fires Are Getting Worse https://www.wri.org/insights/global-trends-forest-fires
(文責:戦略統括室 飯山みゆき)