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1479. 山火事の拡大と生物多様性への影響―最新研究が示すリスク

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1479. 山火事の拡大と生物多様性への影響―最新研究が示すリスク

 

地球温暖化の進行により、山火事は発生頻度と規模の両面で拡大し、生物多様性の損失を加速させる要因となっています。Nature Climate Change誌で公表された論文は、山火事が生物種に与える長期的な影響を分析し、これまで十分に把握されていなかったリスクの全体像を明らかにしました。

研究では、火災の増加によって影響を受ける9,592種を対象に将来予測を行っています。その結果、中程度の温暖化シナリオにおいて、世界の焼失面積は約9.3%増加し、山火事に脆弱な種の約84%がより高いリスクにさらされる可能性が示されました。特に南米では影響が大きく、多くの種で曝露が大幅に増加すると見込まれています。

一方で、影響は地域ごとに大きく異なります。南米や南アジア、オーストラリアではリスクの増大が顕著ですが、アフリカの一部では降水量の増加により火災の影響が緩和される可能性もあります。このように、将来の山火事リスクには明確な地域差が存在します。

さらに、温暖化に伴い山火事は高緯度地域にも広がると予測されており、これまで火災の影響を受けにくかった生態系にも新たな脅威が及ぶと考えられています。火災シーズンの長期化も進み、地域によっては期間が倍増する可能性があります。

種ごとの特性にも重要な違いが見られます。分布域が狭く、すでに絶滅の危機にある種ほど影響を受けやすく、山火事によるリスクがさらに高まる傾向が確認されました。一方で、分布域の広い種は比較的影響を受けにくいとされています。

また、温室効果ガスの排出削減がリスク軽減に大きく寄与することも示されています。排出を抑えたシナリオでは、山火事による生態系への影響を大幅に抑えられる可能性があります。

今回の研究は、山火事が今後さらに拡大し、その影響が地域や種によって不均一に現れることを示しています。そして、そのリスクに対応するためには、地域ごと・種ごとの特性を踏まえた対策と、気候変動の抑制が不可欠であることを強く示唆しています。

(参考文献)
Yang, X., Urban, M.C., Su, B. et al. Wildfire risk for species under climate change. Nat. Clim. Chang. (2026). https://doi.org/10.1038/s41558-026-02600-5

(文責:戦略統括室 飯山みゆき)

 

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