Pick Up

1554. 生物多様性の損失がアフリカの暮らしと食料基盤に及ぼす影響

関連プログラム
情報

 

1554. 生物多様性の損失がアフリカの暮らしと食料基盤に及ぼす影響

 

国連ニュースは2026年8月4日付の記事で、生物多様性の損失がアフリカや開発途上地域の人々の暮らしや生計に深刻な影響を及ぼしていると報じています。記事では、農地の生産力低下や沿岸水域での水産資源の減少を例に挙げ、生物多様性の危機が食料安全保障や地域経済に直結する課題であることを紹介しています。また、生物多様性は食料供給、清潔な水の確保、気候変動への適応、人々や社会のレジリエンスを支える基盤である一方、世界では自然を保全するための資金よりも自然を損なう活動への資金投入の方が大きいとの問題提起を伝えています。

同記事によると、アフリカは世界の生物多様性の25%を有していますが、産業革命以前と比べて約24%の種が失われたとされています。また、気候変動、侵略的外来種、汚染、土地・水資源の過剰利用が、生物多様性の損失を通じて農村部や沿岸地域の食料、所得、清潔な水へのアクセスに影響を及ぼしていると指摘しています。

こうした課題への対応を議論するため、ケニア・ナイロビでは生物多様性条約(CBD)の科学技術助言補助機関第28回会合(SBSTTA-28)が2026年7月27日から8月1日まで開催されました。さらに、実施補助機関第7回会合(SBI-7)が8月4日から12日まで開催されており、生物多様性に関する科学的知見を具体的な政策や実施勧告へ結び付けるための議論が進められています。

一方、CBD公式サイトは、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)について、4年にわたる協議と交渉を経て2022年12月のCBD第15回締約国会議(COP15)で採択された、生物多様性保全に関する世界共通の行動枠組であると説明しています。GBFは、2050年までに「自然と共生する世界」を実現するための道筋を示すものであり、2050年に向けた4つの長期目標と、2030年までの23のターゲットを定めています。

CBDによると、GBFの実施は、COP15で同時に採択された一連の決定事項によって支えられています。これには、進捗を把握するためのモニタリング枠組、計画・報告・レビューを強化する仕組み、実施に必要な資金動員、能力開発や技術・科学協力のための戦略的枠組、さらに遺伝資源に関するデジタル配列情報(DSI)に関する合意などが含まれています。また、締約国には国別目標の策定と実施が求められるとともに、企業や自治体など多様な主体による自主的なコミットメントの表明も促されています。

以上のように、国連ニュースの記事は、生物多様性の損失がアフリカをはじめとする地域の生活や生計に及ぼす影響を紹介しています。一方、CBDが推進するGBFは、こうした課題に国際社会が対応するための共通目標と実施枠組を示しています。今後は、各国や関係主体が掲げた目標やコミットメントの進捗を着実に確認しながら、GBFの実施をどのように加速していくかが重要な論点となりそうです。

 

 

参考文献
•    UN News. 2026. “Biodiversity crisis threatens lives and livelihoods across Africa.” 4 August 2026. https://news.un.org/en/story/2026/08/1168078
•    Convention on Biological Diversity. “Kunming-Montreal Global Biodiversity Framework.” https://www.cbd.int/gbf

(文責:戦略統括室 飯山みゆき)

 

*PS. 8月7日より、Pick Upは夏休みをいただきます。8月14日に再開予定です。

関連するページ