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1549. 2023年カナダ森林火災、排出量の76%は土壌・泥炭由来―気候変動との「正のフィードバック」に研究者が懸念

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1549. 2023年カナダ森林火災、排出量の76%は土壌・泥炭由来―気候変動との「正のフィードバック」に研究者が懸念

 

2023年にカナダで発生した記録的な森林火災について、Geophysical Research Letters 誌に掲載された研究(Zhong et al., 2026)は、火災による炭素排出量の大部分が樹木ではなく土壌や泥炭の燃焼に由来していたことを明らかにしました。同年の焼失面積は約1,510万haに達し、過去20年間の平均の約7倍という、カナダ史上最大規模の森林火災となりました。

研究チームは、地上観測データ、衛星データ、気象データを組み合わせて炭素排出量を推定しました。その結果、2023年の森林火災による炭素排出量は総計5億5,400万トン(554 Tg C)に達し、これは2023年の世界の森林火災由来炭素排出量の約23%に相当すると報告しています。
研究チームによれば、排出量の約76%(約4億2,300万トン)は土壌有機炭素の燃焼によるものであり、樹木などの地上部バイオマス由来の排出量(約24%、約1億3,100万トン)を大きく上回りました。さらに、焼失面積のうち泥炭地は全体で発生した排出量の約3分の1を占めたと同研究は報告しています。

カナダには世界の土壌有機炭素の約5分の1が蓄積されているとされ、研究チームは、北方林や泥炭地の火災が長期間にわたり蓄積された炭素を大量に大気中へ放出する可能性があると指摘しています。同研究は、2023年の異常高温、少雪による早期融雪、長期化した火災シーズンが今回の大規模火災の背景にあったと分析しています。

今回推定された排出量を二酸化炭素換算すると約20億トンに相当し、カナダの2022年の人為起源温室効果ガス排出量の約3倍に匹敵するとされています。この比較も研究チームの発表内容に基づくものです。研究チームは、温暖化による火災の激化が土壌炭素の放出を促し、それがさらなる温暖化を引き起こすという「正のフィードバック」のリスクに警鐘を鳴らしています。

今回の研究結果は、森林火災の影響評価において、地上部植生だけでなく土壌や泥炭地の炭素損失を考慮することの重要性を改めて示すものと考えられます。特に北方林地域では、気候変動に伴う火災リスクの増大が地球規模の炭素循環や気候安定性に及ぼす影響について、今後さらに注視していく必要があると思われます。


(参考文献)
Zhong, Z., Ottah, C., Rogers, B.M., Veraverbeke, S., Potter, S., Kurz, W.A., Diaz, L.R., Christensen, S., & Gonsamo, A. (2026). Three-Fourths of Carbon Emissions From 2023 Record-Breaking Wildfires in Canada Traced to Soil and Peat Combustion. Geophysical Research Letters.
https://doi.org/10.1029/2026GL123393
(文責:戦略統括室 飯山みゆき)
 

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