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412. アフリカにおける気候変動適応の現状とトレンド

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412. アフリカにおける気候変動適応の現状とトレンド

COP26では、アマゾン創業者のJeff Bezos氏が自然の回復とフードシステム転換に資金供与することを発表、とりわけアフリカへの投資の重要性を強調したと報道されています。

10月26日、The Global Center on Adaptation (GCA)は、アフリカにおける気候変動適応の現状とトレンドに関する報告書 (“State and Trends in Adaptation in Africa Report 2021 – How Adaptation Can Make Africa Safer, Greener and More Prosperous in a Warming World” :STA21)を公表しました。主要なメッセージを紹介します。
 

アフリカにおける食料・栄養安全保障状況の改善は遅れています。2020年、アフリカでは5人に一人(注:北アフリカ含む大陸人口13.4憶人中2.82憶人)が飢えに直面していたとされ、これは他の地域(世界平均で10人に一人)の倍に相当します。アフリカの農業部門輸出(注:茶・コーヒー・ココアや花き等の商品作物を指すと思われる)は上昇傾向にあるものの、多くの国は食料の純輸入国にとどまっており、毎年3%の率で食料需要が伸びる中、2025年までに輸入額は430憶ドルから1100憶ドルに上昇しかねないと予測されています。

気候変動により、農業適地に大きな変化が及ぶとされ、農業システム、食料生産、輸入依存度は想像を超えるほど変化しかねません。例えば、気温上昇3℃シナリオのもとでは、2050年までに、アフリカはトウモロコシとバナナの適地の30%を失うとされ、豆類については、60%の喪失とする推計もあるとのことです。キャッサバ、ヤム、ミレット、ソルガムも15%の適地喪失が予測されています。この結果、広大な地域が作物生産から撤退することになると考えられています。2050年から2100年のタイムフレームで、アフリカの3%に相当する地域で、典型的な混作地域が純粋な家畜システムに移行する必要が生じます。同時にこうした牧畜(Pastoral)システムでは、牧草の質低下・野火の頻発・水不足を経験することになります。アフリカの海洋水産漁業生産高も大きく低下することが予測され、高栄養価な動物性食品へのアクセスが逼迫することが予想されます。

報告書は、パリ協定目標が達成されたとしても、緩和策の効果が実感されるのは先のこととなり、その間、アフリカの気候変動による経済コストは、その他の地域に比べても、2040年までにGDP比で2-4%と相対的なインパクトの大きさが想定されます。GCAは、次の20年間に適応策をとることで、その投資コストを5倍以上大きく上回る便益が得られるとされています。とりわけ今すぐ対策をとれば、便益―費用比は12:1にもなります。

報告書は、農業部門における適応策の優先分野を、研究・普及、水管理、インフラ、土地再生、気候インフォメーションサービスとし、毎年150億ドルと推計、これに対し、何も対策を取らなかった場合、気候災害への救援費用やその後の復興のために2010憶ドルと推計しています。

多くのアフリカの国々では農業の経済に占める割合が30-40%と高く、しばしば人口の三分の二以上の生業を支えることから、農業への気候変動の影響は経済にも大きなインパクトをもたらします。デジタル農業や金融サービスの展開に期待が高まっています。

同時に、アフリカでは世界でも最も都市化率が高く、現在も人口の半数が都市に居住し、2050年までに自然増と農村・都市移動によって、都市人口は3倍近くに膨らむと予測されています。さらに、アフリカは最も若い人口を抱えており、適応における若者の登用が求められています。

参考文献
Global Center on Adaptation  State and Trends in Adaptation Report 2021: Africa  https://gca.org/reports/state-and-trends-in-adaptation-report-2021/ 
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)