異常気象の多発や地球温暖化の進行が農業に及ぼす影響が懸念されています。なかでも、コメは世界人口の半数以上の主食であり、高温障害への対策は世界的に重要な課題です。高温による作物の減収への対策について、栽培、育種など複数の分野で研究・開発が進められています。しかし、イネの場合は高温障害に直接関与する水田内環境のデータが十分ではなく、誤った要因解析や影響評価がなされ、適応策を正しく評価できない可能性があります。このため、農研機構農業環境変動研究センターでは、モンスーンアジア農業環境研究コンソーシアム(MARCO)の枠組みを利用して、世界の稲作地域を結ぶ国際観測ネットワーク(MINCERnet)を組織し、水田群落内の環境条件と高温障害・収量との関連が調査されてきました。

2018年1月26日、つくば市内で、農研機構主催、JIRCAS共催の農研機構-MARCO国際シンポジウム「気候変動下のイネの高温障害にたちむかう国際観測ネットワーク MINCERnet」が開催されました。シンポジウムでは、「世界の多様な水田群落熱環境と高温不稔発生の実態」、「高温不稔に対する適応策とMINCERnetの今後の展開」、「将来の水資源の変動下のコメ生産影響評価へのMINCERnetの活用」のセッションが開催され、温暖化による高温障害が世界各地のコメ生産にもたらす影響と対策について発表があり、活発に議論されました。

JIRCASからも辻本 泰弘主任研究員が「西アフリカでの不安定な水環境とケイ素施肥がイネの高温ストレスに及ぼす効果」について発表しました。農研機構からもJIRCASとの共同研究の成果として、高温障害適応策としての早朝開花性に関する発表がありました。最後に、JIRCASの中島一雄プログラムディレクターが、今後も連携して気候変動下のイネの高温障害による減収への対策に取り組むことを呼びかけ、シンポジウムを閉じました。

シンポジウムの様子

研究成果を発表するJIRCAS辻本主任研究員