国際ワークショップ「Direction of blast studies in Asia, Africa, and Japan(アジア、アフリカそして日本におけるいもち病研究の方向性)」開催の報告

関連プログラム
食料安定生産

本ワークショップは、アジア、アフリカからの参加者を含め、12か国の国立研究機関、大学、国際協力機構(JICA)などの、合計約60名の研究者や学生等が集まり、国際機関としての国際稲研究所(IRRI、フィリピン国)とアフリカ稲センター(AfricaRice、西アフリカ、ベナン国)の協力と国際農業研究協議グループ(CGIAR)のプログラムであるGRiSPの支援も受けながら開催されました。

日時
2013年9月25日
開催場所
国際農林水産業研究センター(JIRCAS)国際会議室 (茨城県つくば市大わし1-1)
主催
国際農林水産業研究センター(JIRCAS)

会議概要

本ワークショップは、アジア、アフリカからの参加者を含め、12か国の国立研究機関、大学、国際協力機構(JICA)などの、合計約60名の研究者や学生等が集まり、国際機関としての国際稲研究所(IRRI、フィリピン国)とアフリカ稲センター(AfricaRice、西アフリカ、ベナン国)の協力と国際農業研究協議グループ(CGIAR)のプログラムであるGRiSPの支援も受けながら開催されました。

  IRRIからは、広範ないもち病菌にたいして高い抵抗性を示す真性抵抗性遺伝子Pi40(t)についての安定性や世界的な利用状況、病理研究グループが進める抵抗性遺伝子や病原性遺伝子の特徴づけに関する取組が報告されました。AfricaRiceからは、西アフリカにおけるいもち病菌レースの変異やイネ遺伝資源の多様性程度の解析結果が示されました。

またJIRCASの進める「環境共生型稲作技術の創生」(通称イネ創生プロジェクト)の研究では、環境に負荷をあたえず調和しながらコメ生産を安定して確保することを目的としています。いもち病研究はその中の一つの課題となっており、農薬や肥料を最小限度にしながらいもち病害をなくすため、新たな抵抗性遺伝子の探索やマルチライン(多系)品種の利用を考えており、熱帯地域で適応できる灌漑水稲品種や天水田向きのマルチライン品種の開発を行っていることが紹介されました。
  日本からは、農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センターより、いもち病の防除技術開発としてのマルチライン品種開発の状況や圃場抵抗性遺伝子の利用と可能性について報告されました。さらに愛知県総合農業試験場から現場に対応した視点から、愛知県がすすめる圃場抵抗性遺伝子の集積による抵抗性の確保について紹介があり、本ワークショップ全体へのコメントもいただきました。
   これらの議論を通して互いの研究状況についての情報交換が行われ、マルチライン品種、圃場抵抗性遺伝子、真性抵抗性遺伝子あるいは圃場抵抗性遺伝子の集積などの技術が、安定的な防除技術の開発にとって重要であり、JIRCAS、IRRI、AfricaRice、我が国及び開発途上地域のイネ研究者が連携しながら、国際的ないもち病害防除技術開発のため共同研究を進めることの必要性が確認されました。

  なお、本ワークショップについては、日本農業新聞(平成25年9月26日、16面)に紹介記事が掲載されました。

ワークショップ参加者(JIRCAS八幡台圃場にて)

ワークショップの様子

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