研究成果情報 - タイ

国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。

各年度の国際農林水産業研究成果情報

  • カンキツグリーニング病の抗血清診断法(1997)

    り病カンキツ葉中肋酵素処理して、し部組織を取る。その組織を磨砕・分画遠心後、最終沈殿をNaCl溶液(中肋重量の40倍濃縮)に懸濁する。この試料1滴を、本病原菌抗血清1滴に滴下する。この微滴法によって、明瞭な陽性診断ができる。

  • マングローブ汽水域における稚幼魚の生産機能の解明(1997)

    マングローブ開発度合の違いに応じた汽水域での魚類生産の差異をインドアイノコイワシ類を例に比較検討した結果、政府の適正な管理下にあり、マングローブの被覆面積の大きいマタンが、マングローブの乱開発が進み消失の激しいメルボックより4~5倍生産性が高いことが示された。

  • ベトナム・メコンデルタの水稲栽培における問題点と改善方策(1997)

    メコンデルタ水稲栽培ファーミングシステムの基幹であり、2期、3期作等の新技術導入により生産性は向上しつつあるが、雨季作はいまだに不安定である。葉色などによる生育診断と、窒素施用法水管理の改善により、倒伏が回避され、生育・収量の安定化が可能である。

  • ドイモイ政策下のベトナム・メコンデルタにおける農業構造変動(1997)

    ベトナム・メコンデルタでは、1988年以降、ドイモイ政策により市場経済が導入される中で、農家の階層分化が顕著に進行している。急速に規模拡大する農家、規模を縮小し土地無し層に転落する農家が存在する一方、2ha未満の中小規模層には、複合経営を取り入れて、経営の安定化を図る動きも認められる。地域単位での複合化を目指す必要がある。

  • ニューラルネットワークを用いた植生変動評価手法の開発(1997)

    オーストラリア中央部に位置するKunoth Paddockを対象地域とし、土壌・水系・植生・地貌・傾斜・水飲み場からの距離・丘陵地からの距離の7要因から、植生の多寡と変動の程度を推定する2種類のニューラルネットワークモデルを開発した。さらに、両評価結果を統合した植生変動評価図を作成した。

  • 衛星データによるインド・デカン高原中央部における農地利用度把握手法の開発(1997)

    衛星データから計算される植生指数値は、土地利用毎に異なった季節変化を示す。インド半乾燥地域を対象とした場合、雨季後の作期(ラビー期)後半において植生指数値により農地と他の用途との区別が可能となる。こうした特性を利用し、年々の農地利用空間分布を推定する手法を開発した。さらに、農地分布と自然条件との対応関係を解析した。

  • タイの畑地土壌からの亜酸化窒素発生量の推定(1997)

    熱帯にあるタイにおける作物栽培期間中に畑地土壌から発生する亜酸化窒素施用窒素に対する比は0.08-0.48%であり、温帯と大差がなかった。

  • ケニアの食生活に占める昆虫食の実態(1997)

    昆虫食の実態とそれが現地の食生活に果たす役割を主にケニアで調査した。最も良く食べられている昆虫はシロアリ羽アリで、特に西ケニアの農村では作物の収穫の途切れる雨期の食料として、不足がちな動物性タンパクおよび脂肪の補給源となっている。

  • コラップス土の力学的特性の解明と定量化手法の開発(1997)

    東北タイに分布する土を対象として、コラップス土の力学的特性を三軸圧縮試験、圧密試験および加圧板試験を行いて明らかにした。また、不飽和土を対象とし、二つのサクション効果を考慮した弾塑性モデルを用いて、コラップス量を定量化する手法を開発した。

  • タイレリア・パルバ原虫感染ダニの牛皮膚付着部位における免疫担当細胞の動態(1997)

    東海岸熱に対するワクチン開発のための基礎的知見を得るために、タイレリア・パルバ原虫感染ダニの付着部位である牛皮膚における免疫担当細胞の動態を、免疫組織化学により明らかにした。

  • 熱帯産水産生物の日齢査定(1997)

    熱帯域に分布する魚類イカ類耳石および平衡石の微細構造を観察し、日周輪による日齢の推定ができるようになった。

  • リョクトウの鉄欠乏耐性品種の特性評価(1997)

    リョクトウには、鉄欠乏に対する耐性に大きな品種間差があること、および鉄欠乏耐性品種は感受性品種にくらべ高い倍地の酸性化能を持っていることを明らかにした。これらの耐性品種を用いることでアルカリ土壌における鉄欠乏問題を回避できる。

  • チーク材に含まれるカウチュークの耐久性への関与(1997)

    チークの心材部の主として放射柔細胞に含まれるカウチューク(ゴム物質)はチーク材の高い耐久性の発現に関与している。カウチュークは材表面の撥水性向上だけでなく、キノン類を中心とした心材成分との相乗効果によりチーク材の耐久性を高めていると考えられる。

  • マレイシアにおけるハイブリッド稲の開発とその利用(1997)

    マレイシアハイブリッド稲を利用する上で問題とされてきた、採種に使う細胞質雄性不稔の稔性の転換の問題を解決した。また、高い収量性を示すハイブリッド稲組合わせを見つけ出した。

  • 水系レベル水資源管理状況把握のための既存潅漑管理データの有効利用法(1997)

    開発途上国の大規模潅漑プロジェクトにおいて、ルーチンに観測されながら活用されていない既存の潅漑管理データを有効利用し、水系レベル水資源管理状況を把握するための基礎データに加工する簡便法を開発した。

  • ベトナムの米需給の展望(1996)

    ドイモイ政策の下で市場経済化を進めているベトナムでは、年率5%近くで米生産の拡大が続いているが、政府の輸出数量規制のため国内では供給過剰が起こっており、国内米価の下落をくい止めるためには輸出規制緩和が必要である。

  • 中国雲南省における水稲新品種「合系34号」及び「合系35号」(1996)

    中国雲南省の標高1800~2000m地帯に適する多収良質水稲新品種「合系34号」及び「合系35号」を育成した。

  • 中国上海地域に適するキュウリ、イチゴの耐病性優良新品種(1996)

    日本及び中国の遺伝資源を素材として、早生多収高品質耐病性に優れ、上海地域に適するキュウリ新品種「滬(ふ)116号」と「滬119号」及びイチゴ新品種「申旭1号」と「申旭2号」を育成した。

  • 東北タイのプラユン地域における塩水地下水の上昇機構の解明(1996)

    東北タイの地下60m~150mに分布する岩塩層に由来する塩水地下水の上昇機構を検討した。その結果、断層が塩水地下水の上昇通路として機能していること、、地下水位がデッドラインより低下したときに圧力水頭分布は上向きの地下水流を発生させることを明らかにした。

  • マレイシア・ムダ地区における2,4-D抵抗性型ヒデリコの分布と除草剤に対する反応(1996)

    マレイシアのムダ地区で発見された2,4-D抵抗性型ヒデリコは、感受性型に比べて29倍の抵抗性を示すが、使用する除草剤を変えることによって容易に防除でき、短期間で抵抗性型の発生率を低下させることが可能である。