研究成果情報 - ベトナム
国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
- ベトナムの米需給の展望(1996)
ドイモイ政策の下で市場経済化を進めているベトナムでは、年率5%近くで米生産の拡大が続いているが、政府の輸出数量規制のため国内では供給過剰が起こっており、国内米価の下落をくい止めるためには輸出規制緩和が必要である。
- 中国雲南省における水稲新品種「合系34号」及び「合系35号」(1996)
中国雲南省の標高1800~2000m地帯に適する多収・良質の水稲新品種「合系34号」及び「合系35号」を育成した。
- 中国上海地域に適するキュウリ、イチゴの耐病性優良新品種(1996)
日本及び中国の遺伝資源を素材として、早生、多収、高品質で耐病性に優れ、上海地域に適するキュウリ新品種「滬(ふ)116号」と「滬119号」及びイチゴ新品種「申旭1号」と「申旭2号」を育成した。
- 東北タイのプラユン地域における塩水地下水の上昇機構の解明(1996)
東北タイの地下60m~150mに分布する岩塩層に由来する塩水地下水の上昇機構を検討した。その結果、断層が塩水地下水の上昇通路として機能していること、、地下水位がデッドラインより低下したときに圧力水頭分布は上向きの地下水流を発生させることを明らかにした。
- マレイシア・ムダ地区における2,4-D抵抗性型ヒデリコの分布と除草剤に対する反応(1996)
マレイシアのムダ地区で発見された2,4-D抵抗性型のヒデリコは、感受性型に比べて29倍の抵抗性を示すが、使用する除草剤を変えることによって容易に防除でき、短期間で抵抗性型の発生率を低下させることが可能である。
- ブラジル南東部におけるハキリアリの分布と密度 ~被害拡大の可能性~(1996)
ブラジル南東部における農業害虫としてのハキリアリの分布と密度の調査から、この地域で分布していること及び、調査地域北西部で被害が深刻である点が判明した。しかしその分布拡大から、今後は地域全域で本害虫による被害が深刻化することが懸念される。
- タイの作物加害ネコブセンチュウ新種の酵素表現型による同定(1996)
これまで、不明確であったタイの有害ネコブセンチュウの種を明らかにするため、エステラーゼなどの酵素の表現型によって、新種1種を含む5種を同定した。これにより、有害線虫の耕種的防除技術が大きく進展するものと期待される。
- マレイシア・ムダ稲作地帯におけるグループ・ファーミングの運営の利点と問題点(1996)
ムダ稲作地帯のグループ・ファーミングは、初期における信用の供与や技術情報の提供等行政主導の組織化が収益の高い経営を作り出す上で有効な手段たりうることを示している。しかし一方で、上からの組織運営に関する不安や自助努力の欠如など持続的発展の上で解決すべき問題も明らかとなった。
- 乾季における乳牛用飼料としてのさとうきびの飼料価値(1996)
タイ国東北部の過酷な環境下で、他の作物・飼料作物と比較しても抜群のバイオマス生産量を誇るさとうきびの乾季における牛用飼料、特に乳牛用飼料としての利用法を、家畜栄養学の見地から示した。
- シリア北東部オオムギ・牧野地帯における過食飼料資源量の広域評価(1996)
シリア北東部乾燥地域のオオムギ・牧野地帯における飼料資源を現地調査および衛生データ解析により8つに区分けし、分布図を作成した。各区毎の分布面積および現存量より可食バイオマス量を算定し、試験地域全体の年間可食飼料資源量を評価した。
- アカシアマンギウムにおける多湿心材の発見と形成要因(1996)
代表的な熱帯早成樹種の1つであるアカシアマンギウムは東南アジアに広範囲に造林されている。しかし多くの個体に多湿心材(Wetwood)の存在が認められ、今後、木材利用上で問題が生ずることが予想される。熱帯早成樹種における多湿心材の存在は初めての報告例であるとともに、従来の温帯産樹種での多湿心材形成要因説のどれにも該当しないことから、別の形成要因があると考えられた。
- 東南アジア産オニテナガエビ(Macrobrachium rosenbergii)の成熟・産卵・脱皮過程の解明(1996)
東南アジアでは重要な養殖対象種である淡水産オニテナガエビの成熟・産卵・脱皮過程の内分泌学的要因との関係を検討し、脱皮ホルモンであるエクジステロイドおよび昆虫で変態を制御する幼若ホルモンはエビ類にも存在し、脱皮だけでなく成熟過程にも関与することを明らかにした。
- 東南アジア産有用魚介類の遺伝変異検索マニュアルの作成(1996)
東南アジア産有用魚介類の遺伝変異検索のため、アイソザイム分析マニュアルを作成した。本マニュアルを用い養殖対象種を分析した結果、ナマズでは地域集団が育種素材として重要なこと、また遺伝変異検索が効率的な育種法の選択に有効であることを示した。
- アズキ亜属4倍体種Vigna glabrescensの遺伝的背景(1995)
リョクトウの主要病害虫に抵抗性を示すアズキ亜属4倍体栽培種のVigna glabrescens は、4倍体野生種 V.reflexo-pilosa の栽培型であり、2倍体野生種の V.trinervia (雌親)と V.minima (花粉親)がこれら4倍体種の両親種であると推定された。
- 乾燥地における複数列の混交防風林帯による微気象改良と作物(1995)
中国トルファン地域の夏季の高温・乾燥・強風条件下において、防風林を複数列にすることで、微気象を改良し、気候緩和する効果が加算されることを明らかにした。
- 乾燥耐性カウピー系統の選抜(1995)
西アフリカの半乾燥地帯で、乾期に残留土壌水分のみで栽培でき、ヘクタール当たり1トン近くの子実収量をあげうる系統、茎葉収量が高く家畜飼料として有望な系統等、カウピーの乾燥耐性系統を選抜した。
- フィリピン低地土壌の分布様式と特性の解明(1995)
フィリピン・ルソン島の主な水田地帯の代表的低地土壌の分布様式とその特性は生成条件(母材、気候、地形)と関連づけて説明できることを明らかにした。この結果、フィリピン低地土壌は概して塩基性母材に由来した特性を有するが、降雨および地形条件が地域間や地域内の低地土壌特性の差異に密接に関与していた。
- 南米サバンナにおける陸稲の酸性土壌耐性メカニズムの解明(1995)
南米のサバンナの酸性土壌において、陸稲の酸性土壌耐性に関する品種間差の生理的機構について検討した。作付期間中に土壌pHが4.3程度に下がると土壌溶液中のアルミ濃度が上昇して根に対する直接害を引き起こすが、耐性品種は感受性品種よりわずかに高い根圏pHを維持してアルミ害を回避することがわかった。
- 熱帯における水田からのメタン発生制御技術の開発(1995)
熱帯地域での水田からのメタン発生制御技術を検討した結果、圃場残存有機物の酸化的分解の促進や、有機物肥料の堆肥化など、易分解性有機物量を減少させる有機物管理技術が効果的であることが示された。
- 熱帯における水田からのメタン発生制御技術の開発(1995)
熱帯地域での水田からのメタン発生制御技術を検討した結果、圃場残存有機物の酸化的分解の促進や、有機物肥料の堆肥化など、易分解性有機物量を減少させる有機物管理技術が効果的であることが示された。