研究成果情報 - タイ
国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
- キャッサバパルプを用いた効率的な燃料エタノール生産技術の開発(2006)
アルコール発酵用実用酵母の細胞表層にアミラーゼを提示させたアーミング酵母を開発し、この酵母を用いてキャッサバデンプン産業副生物のキャッサバパルプを原料としてエタノール生産を行ったところ、キャッサバパルプの主成分であるデンプンの分解と発酵が同時に進行し効率的にエタノールが生産された。
- α-グルコシダーゼ抑制活性(血糖値低下の指標)測定法の開発及びその適用による高活性「豆豉(中国伝統食品)」の発見(2006)
有色試料に適用できる高感度簡便なα-グルコシダーゼ活性測定法を開発し、測定したところ、中国伝統食品である豆豉には、α-グルコシダーゼの抑制活性の高いものがある。
- タイの市販オオバンガジュツにおける機能性ポリフェノール含量の季節変化(2006)
タイ国内の市場を流通するオオバンガジュツでは、主要な4つの機能性ポリフェノール成分の含量に一定の季節変化が観察される。その主な原因は、土中保留中におけるポリフェノール成分ごとの一定方向への含量の増減である。
- アグロフォレストリーにおける換金作物としての薬用植物ノニの有効性(2006)
フタバガキ科等の実生苗定着促進に有効なアカシアマンギウム保護樹の林冠環境下で栽培できる換金作物を探索した結果、植栽後1年足らずで着果し、しかも年間を通じて果実を収穫できた薬用植物ノニ(Morinda citrifolia)を見出した。保護樹を間伐し光環境改善を図るほか、水はけの良い立地を植栽地に選ぶことで、より多くのノニの果実が収穫でき、アグロフォレストリー換金作物として利用可能であることが分かった。
- わい性で、耐暑性に優れた食味良好なパパイヤ新品種「石垣珊瑚」(2006)
パパイヤの新品種「石垣珊瑚」は、「ワンダーブライト」の自然交雑実生から選抜した単為結果性のある雌性系統である。耐暑性を備え、わい性で豊産性の栽培特性を持ち、果実は強い芳香があり、高糖度で食味がよい。
- パッションフルーツ冬実中の酸含量を低下させる温度管理法(2006)
夜温15°C前後の無加温栽培におけるパッションフルーツ(品種:「サマークイーン」)の冬季収穫果実は酸含量が高い。昼温30°C、夜温25°C程度に管理する加温栽培を行うことにより、酸含量が低く糖酸比の高い果実が収穫できる。
- 衛星データの時系列解析による耕作-休閑サイクルの同定と植生回復力の推定(2005)
衛星データを用いた植生被覆の時系列解析による耕作-休閑サイクルの同定と植生指数の組み合わせによって、ラオス北部などの焼き畑地帯の植生の回復力が推定できる。
- パラグアイにおけるダイズシストセンチュウの分布実態とダイズ被害の初確認(2005)
パラグアイの主要ダイズ作地帯では、カニンデジュ県8圃場、アルトパラナ県3圃場、カグアス県2圃場でダイズシストセンチュウが確認され、カニンデジュ県での検出頻度が高い。アルトパラナ県のダイズ圃場では、本線虫がすでに高密度となり、草丈低下40%以上という著しい被害がスポット状に発生している。
- メコンデルタ水田における稲わら堆肥連用効果(2005)
メコンデルタ沖積土壌地帯での稲わら堆肥の連用試験において、化学肥料を慣行の40および60%減肥して稲わら堆肥を施用した水田は、化成肥料のみを慣行量施用した水田に比較していもち病発生時には罹患率が低くなり、統計的有意差はないものの6作目以降の収量が高くなる。
- タイ国コンケン県における農業生産に関わる窒素循環の1990年から2000年への変化(2005)
東北タイのコンケン県における窒素循環の1990年と2000年の比較を行ったところ、農地における窒素収支は-23 kgN/haの収奪から+10 kgN/haの蓄積に変化した。これは、化学肥料施用量と作物残渣還元量の増加によるものである。一方、家畜糞尿投入量が減少しており、有機物よりも化学肥料により、農業生産が支えられる変化が起きている。
- サイレージ用乳酸菌PS1-3株の実用化とその発酵品質改善効果(2005)
タイ国内のサイレージから分離・選抜した乳酸菌PS1-3株を実用化するため、安価な大量培養法を考案して乾燥菌体顆粒を調製した。また、適正添加量を安価に確保するため、この顆粒からの簡易な生菌数増殖法を考案した。この増殖菌体を添加して調製したサイレージの発酵品質は顕著に改善された。
- アルゼンチンチャコ・フォーモサ地域における冬季の農業副産物給与による育成雌肉牛の増体重改善のための推奨給与法(2005)
各種農業副産物の経済的推奨給与量と1kgの増体重に要する費用は次のようであった。
綿実:1kg/頭/日、US$0.26~0.33。小麦糠:体重の0.4%、US$0.36。 米糠:0.4%、US$0.52。綿実粕:体重の0.8%、US$0.39。生大豆:体重の0.5%、US$0.27~0.54。 - タイ東北部におけるサトウキビサイレージの肉牛用飼料としての利用(2005)
タイ東北部においてサトウキビ(株出し6ヵ月)サイレージの可消化養分総量は49.6%(乾物あたり)であり、本サイレージと本地域の飼料資源を用いることにより、肉牛生産ができる。一般的な暖地型牧草に比べ生産性が高くサイレージ適性に優れることから、肉牛飼養規模の拡大ができる。
- ヒハツモドキの成分ピペリンによる貯蔵穀物害虫の発育阻害(2005)
ヒハツモドキ(Piper retrofractum)など多くのコショウ属植物に含まれるピペリンはコクゾウムシ、ココクゾウムシ及びコクヌストモドキの発育を阻害する。
- マレーシア・サバ州におけるアカシアマンギウムの材質(2005)
マレーシア・サバ州で育林されたアカシアマンギウムの木材の密度と繊維長を調べた結果、成育の良し悪しにかかわらず密度と繊維長は髄から外側に向けて高くまたは長くなり、髄から9cm以上離れた部分で安定することを明らかにした。これらの結果は、直径18cm以上のアカシアマンギウムをより速く、より多く育てることができれば、安定した質の良い木材をより多く得ることができることを示している。
- 生態系機能を利用した持続可能な循環型養殖システムモデル(2005)
持続可能なエビ養殖に果たす底生生物の役割を明らかにするとともに、生態系の生産機能と浄化機能を利用した環境にやさしい循環型養殖システムのモデルを開発した。
- ウシエビと海ぶどうの複合養殖(2005)
汽水産エビ類の低投資で持続的な複合養殖技術の開発を目指し、ウシエビ(Penaeus monodon)と食用緑藻類のひとつである海ぶどう(クビレズタ:Caulerpa lentillifera)の混合飼育を行った。海ぶどうは高い水質浄化能力(溶存栄養塩吸収能力および物理ろ過能力)を持つばかりでなく、エビ鰓への付着生菌数を減少させ、飼育水中の生菌数を安定させ、エビ類に隠れ家を提供した。加えて、海ぶどうは高い成長率を示し、施肥を必要としなかった。
- 隣接カンキツ園への距離20m以内にあるカンキツ新植園での定植直後のミカンキジラミ防除の必要性(2005)
カンキツグリーニング病媒介虫ミカンキジラミ(Diaphorina citri)は、既存カンキツ園との距離が20m以内にある新植園には、定植後半月内で多数侵入し、1ヶ月内に第一世代を出現させ、その後個体群を維持する。既存カンキツ園までの距離が20m以内にある新植園は、定植直後より侵入個体の防除が必要である。
- グリーニング病激発地での無病苗の植付と薬剤施用によるカンキツ栽培延長・増収効果(2005)
カンキツグリーニング病激発地のベトナムのメコンデルタ地帯でのカンキツ品種キングマンダリンの栽培において、本病の媒介虫であるミカンキジラミ(Diaphorina citri)に対する浸透性薬剤と無病苗を利用した果樹園では、これらを利用しなかった果樹園に比べて栽培期間が1~2年間長く、所得も高い。
- 雨の少ないマリ共和国南部の浸透速度の低い圃場では、雨が肥料成分を地表面流出させ、収量低下をまねく(2005)
マリ共和国南部の水の浸透速度の低い圃場での作物の低収量の原因は、少雨でなく、雨による肥料成分の地表面流出である。この低収量は、緩効的施肥で改善される。