中国東北部大豆遺伝資源の特性とその遺伝的多様性

国名
中国
要約

中国吉林省農業科学院大豆研究所で保存している中国東北部大豆遺伝資源のうち、調査した計3,012点の主要形質に関するデータベースを構築した。中国東北部大豆遺伝資源は、日本の大豆とDNAレベルでも大きく異なり、また遺伝的多様性に富んでいる。

背景・ねらい

   中国東北部は大豆の起源地の1つとされており、多様性に富んだ多くの大豆遺伝資源を有している。しかしながら、吉林省農業科学院大豆研究所が保有する多数の大豆遺伝資源の特性評価については十分な研究蓄積がない。そこで、これら遺伝資源を有効に活用するため、主要特性の評価によるデータベースの作製と分子遺伝学的手法による分類・評価を行う。

成果の内容・特徴

  1. 作成した大豆遺伝資源に関するデータベースは、2001年~ 2003年の3ヶ年にわたり、吉林省農業科学院大豆研究所において同一栽培条件下(畦間65cm、株間8cm、1株1本立)で栽培した計3,012点の大豆品種・系統の調査結果で構成される。
  2. データベース化された主要形質は、出芽期、開花期、成熟期、伸育性、葉型、花色、毛茸色、主茎長、種子粒形、種皮色、子葉色、種子蛋白質含量、種子脂質含量、百粒重の14形質であり、多くの形質について多様な変異が認められる(表1)。
  3. 中国東北部大豆遺伝資源の194品種に対する12のDNAマーカーによる分析結果から、中国東北部の大豆遺伝資源は日本国内の大豆とDNAレベルで大きな差異を示し、かつより遺伝的多様性に富んでいることが分かる(図1)。
  4. 12のDNAマーカーを用いて日中品種計244点を分類できたので、これを多数の遺伝資源の品種同定に利用できる。

成果の活用面・留意点

  1. 評価した大豆遺伝資源は、主に吉林省を中心に黒竜江省、遼寧省など中国東北部原産であるが、一部その他の地域の育成品種・在来種も含んでいる。
  2. 主要大豆形質についてのデータベースは公開に向けて準備中である。

具体的データ

  1. 表1 中国東北部大豆遺伝資源の主要特性 

    表1
  2. 図1
    図1 12のDNAマーカーの遺伝子型を基にクラスター分析によって得られた日中大豆遺伝資源の縁類関係
所属

国際農研 生物資源部

分類

研究

予算区分
国際プロ〔中国食料資源〕
研究課題

中国における大豆の遺伝資源の特性評価と新品種素材の開発

研究期間

2003 年度(2001 ~ 2003 年度)

研究担当者

山中 直樹 ( 生物資源部 )

岡部 昭典 ( 農研機構 近畿中国四国農業研究センター )

振宇 ( 吉林省農科院大豆研究所 )

光宇 ( 吉林省農科院大豆研究所 )

智広 ( 生物資源部 )

足立 大山 ( 生物資源部 )

ほか
発表論文等

山中直樹, 佐藤宏行, 楊振宇, 許東河, 足立大山, 坂智広 (2003): SSR マーカーを利用した中国東北部大豆遺伝資源の多様性評価. 育種学研究, 第5巻別冊1号, 221 頁.

岡部昭典, 楊春明, 楊光宇, 菊池彰夫, 猿田正恭 (2003): 中国東北部におけるダイズ遺伝資源の特性評価. 育種学研究, 第5巻別冊1号, 236 頁.

楊光宇, 足立大山, 岡部昭典 (2001): 吉林農業科学, (4), p.6-13.

品種登録: 楊光宇, 劉凱, 王洋, 廖林, 劉玉芝, 楊振宇, 王曙明, 馬暁萍, 閻暁燕, 胡金海, 許明, 王暁東, 孫大敏, 劉玉芳, 富健, 足立大山, 岡部昭典 (2001) : 吉育55号 (吉審豆2001002), 吉育57号 (吉審豆2001007), 吉育58号 (吉審豆2001001), 吉育59号 (吉審豆2001006)

品種登録: 廖林, 劉玉芝, 楊振宇, 張鉄柱, 越国輝, 山中直樹, 閻暁燕 (2003) : 吉育68号 (吉審豆2003013), 吉育71号 (吉審豆2003015)

日本語PDF

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English PDF

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