中国には強いアンジオテンシンⅠ変換酵素阻害活性を有する豆豉(トウチー、伝統的大豆発酵食品)がある

国名
中国
要約

四川省の潼川豆豉(トンツァントウチー)は、糸引納豆の約10倍強いアンジオテンシンⅠ変換酵素(ACE)阻害活性(血圧上昇抑制作用の指標)を有する。

背景・ねらい

   大豆の原産地である中国では、様々な大豆発酵食品が多様な微生物を用いた伝統的手法により生産されている。これらの中で、豆豉(写真)は様々な薬理効果があると伝承されているが、その機能は未解明である。中国では様々な種類の豆豉が製造されているため、中国各地から入手した豆豉をAspergillus属型(7種)・Mucor属型(3種)・細菌型(2種)に分類し、これらの血圧降下機能をアンジオテンシンⅠ変換酵素(ACE)阻害活性を指標として探索する。

成果の内容・特徴

中国各地で製造・販売されている豆豉(表)の血圧降下機能を評価するため、アンジオテンシン変換酵素(ACE)を50%阻害する試料濃度(IC50)を計算し、日本の糸引納豆・浜納豆の活性と比較した結果(図)は以下の通りである。

  1. 糸引納豆は各種の発酵食品の中でも高いACE 阻害活性を持つことが知られているが、中国の豆豉及び日本の浜納豆は、糸引納豆と同程度以上の高いACE 阻害活性を有する。
  2. 日本では一般的に使用されていないMucor属を用いた潼川豆豉(四川省産)は糸引納豆と比較して約10倍強いACE阻害活性を有する。

成果の活用面・留意点

  1. 潼川豆豉は天然発酵により生産されているため、発酵・熟成で関与する微生物叢などの各種の製造条件とACE阻害活性との関連を調べることにより、血圧降下機能を増強するための新規加工技術の開発が期待できる。
  2. 中国は、長い大豆食の歴史の中で様々な微生物を利用した大豆発酵食品が数多く生産されている。これらの中には、血圧降下機能に限らず、高い機能性を有するものも数多く存在すると予想できる。

具体的データ

  1.  

    写真
  2. 表
  3. 図
所属

国際農研 食料利用部

中国農業大学日中食品研究中心

分類

研究

予算区分
農水受託
研究課題

伝統的大豆発酵食品の製造における機能性ペプチドの増強技術の開発

研究期間

2004年度(2004~2006年度)

研究担当者

辰巳 英三 ( 食料利用部 )

斎藤 昌義 ( 食料利用部 )

里特 ( 中国農業大学 )

俊峰 ( 中国農業大学 )

ほか
発表論文等

Fan, J., Saito, M., Tatsumi, E. and Li, L.(2003): Preparation of angiotensin I-converting enzyme inhibiting peptides from soybean protein by enzymatic hydrolysis. Food Science and Technology Research, 9 (3), 254-256.

Li, L., Yin, L. and Saito, M.(2004): Function of Traditional Foods and Food Culture in China. Japan Agricultural Research Quarterly 38,(4), 213-220.

日本語PDF

2004_15_A3_ja.pdf835.08 KB