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168. データ駆動型農業における世界的な格差

 

2020年11月2日、Nature Sustainability誌にて、「データ駆動型農業における世界的な格差」論文が公表されました。

ビックデータとモバイル技術は、小規模農家を利する農業変革を世界的にもたらしうると議論されています。しかし、小規模農家がどの程度モバイル技術にアクセスがあるのかについて、十分理解されていませんでした。本研究によると、3Gあるいは4Gサービスにアクセスを持つのは、土地所有面積が1haを下回る農家では24-37%に留まり、200haを超える大規模農家のアクセスが74-80%であるのとは対照的でした。より詳しく見ていくと、イールドギャップ*が大きい農地条件であったり、気候ストレスに晒された地域、または食料安全保障の危機にさらされた社会層が、モバイル・サービスを受けにくい状況にあることが判明しました。アフリカにおける多くの国において、インターネットにアクセスできるのは40%以下の農家に限られ、接続費用も極めて高く、普及を妨げています。著者らは、政府・開発関係者・民間部門に対し、世界のすべての農家がデータ駆動型農業を利用可能となるような環境整備に努めるよう提言を行いました。

 

*イールドギャップ - 最適な品種・栽培管理法を採択した場合を想定した収量、に対し、農家圃場環境などで実際に観察される収量、との差・乖離を指し、農業技術・栽培方法の改良を通じて収量向上改善の余地があることを意味する。

 

11月10日(火)に予定されている国際農研の国際シンポジウムにおいては、ポスト・コロナ時代における農業技術開発の重要分野として、開発途上国におけるイールドギャップの解消の重要性についても議論します。

https://www.jircas.go.jp/ja/symposium/2020/e20201110

(登録は11月4日(水)で締め切りました。ご登録ありがとうございました。ご登録の皆様にはシンポジウム開催前までに、メールにて接続方法等を連絡させていただきます。問い合わせにつきましては、以下にお願いいたします。)

国際農研 企画連携部 情報広報室 URL: https://www.jircas.go.jp/ja/form/inquiry

 

参考文献

Mehrabi Z et al. The global divide in data-driven farming, Nature Sustainability (2020). DOI: 10.1038/s41893-020-00631-0, www.nature.com/articles/s41893-020-00631-0

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)